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ぐん税ニュースレター vol.38 page05 -マーケティングコンシェルジュ-

前回のセグメントとターゲットの記事で書ききれなかった部分があるので、何回かに分けて掘り下げて書いていこうと思います。今回からはこれまでのデジタルの話から離れて、マーケティング活動自体において重要なポイントになります。

(前回の記事)

STP分析

前回説明したセグメントターゲットの他にもう一つ重要な観点があります。それはポジショニングです。その名の通り、自社の事業や商品が市場においてどういった立ち位置なのかを明確にするものです。
セグメントやターゲットは外部的な環境分析ですが、ポジショニングはその外部環境(=市場)における自社の事業や商品について、つまり内部分析を行います。
そしてこのセグメントテーション・ターゲティング・ポジショニングの分析をSTP分析と言います。毎度の説明になりますが本当に頭文字とるの好きですね・・・。
頭文字を取ったベタなSTP分析ですが、提唱したのは近代マーケティングの父として知られる経営学者のコトラー氏です。(92歳でご存命!)
コトラーの経営学的な功績は色々あるので、その話もまたしたいと思いますが、何回かに分けてこのSTP分析に絞って解説します。

デジタルマーケティングにおいてセグメントやターゲットは機械学習のサポートを受けることができますが、ポジショニングについてはデータを活用できても自社の強みや差別化ポイントなど自分達で見極めていく必要があります。商品開発までは自動化で完結とはいかない、ということです。STP分析はこうしたマーケティング活動を成功させるための基本的なプロセスです。

セグメントの基準

まず改めてセグメントについて。前回の記事で年齢や地域、趣味嗜好などのセグメント例のお話をしましたがもう少し詳しく解説します。セグメントにはいくつかの細分化の基準があります。

・地理的基準

これは都道府県や市町村、関東や関西などのエリアによる地理的な基準です。例えば地域別に商品を企画する場合などは、この地理的基準を参考にすることになります。特に海外展開をする企業にとっては同じ商品でも国によって消費者ニーズや価格帯などが大きく異なることがありますので、その地域ごとに特化した戦略が必要になります。こうした地理的基準による細分化をジオグラフィックと言います。

・人口統計的基準

これも前回の説明で言うところの年齢や性別、家族構成や所得などにより細分化することです。これは特に個人や家庭向けの消費財で重視されてきた基準です。この人口統計的基準のことをデモグラフィックと言います。ここまでの地理的基準と人口統計的基準による細分化で、前回挙げた例のような「群馬県にいる30代男性」といったターゲットを選定することができます。ですが、こうした基準の細分化では近年の消費者ニーズの多様化や市場や技術の進化に対応しきれないケースが増えています。そのため、次に紹介する心理的基準や行動変数基準といった細分化が効果的になってきています。

・心理的基準

これは消費者の価値観や趣味嗜好、ライフスタイルなどの心理的な基準による細分化です。例えばオーガニックというライフタイルで細分化することにより、オーガニック食品だけでなく衣料や生活空間などの商材にも適用していくことができます。近年の流行だとアウトドアなどがわかりやすい例かと思います。こうした心理的基準はサイコグラフィックと言います。

・行動変数基準

最後に小難しそうな名前が登場しましたが、簡単に言うと消費者の行動を分析した細分化です。わかりやすい例が購買履歴による分析ですが、マーケティングでよく用いられるデータが最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)です。ご丁寧に英語も表記しているのでお察しかもしれませんが、例によってこの頭文字をとってRFM分析と言います。極端な例ですが、新規顧客とリピーター顧客では戦略が変わってくるということです。

これらの基準を用いて市場を細分化していくわけですが、コトラーはこのセグメントを活用するためには4つの要件を満たす必要があると提唱しています。

4つの要件

・測定可能性

これは細分化したセグメントの商圏規模や購買力が測定できるかどうか、です。たしかに、ここが曖昧だとせっかく細分化しても判断基準にはなりません。そもそも測定できないと分析もできません。

・到達可能性

これは細分化したセグメントに対して、自社の商材をアプローチできるか、ということです。例えば上述の基準で細分化しても、そこに向けた自社の商材を届けるためのチャネル(流通経路など)がなければ目的が達成できない、ということです。

・維持可能性

これは文字通り継続していくことが可能かどうかですが、ただ継続するだけでなく継続することで十分な利益を上げていくことができるか、ということです。

・実行可能性

これも文字通りですが、ここまでに挙げていたことが机上の空論やただの理想論・願望ではなく、実行することで効果的に機能するか、ということです。

以上がセグメントにおける重要なポイントです。言葉にすると簡単ですが、こうした考えやデータを実務や戦略・開発に落とし込んでいくのは中々大変です。プロジェクトや商品戦略において今回あげた要件を意識しながら訓練し、定着させていきましょう。

次回はターゲティングについて掘り下げていこうと思います。

マーケティング 原


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