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ぐん税ニュースレター -社会保険労務士の部屋から- バックナンバー 2020年10月号

この記事は2020年10月に発行されたニュースレターvol.16から「社会保険労務士の部屋から」の記事を再編集したものです。法改正などは最新の記事および官公庁の情報をご確認ください。

採用難時代こそ“リファラル採用
成功のカギは従業員エンゲージメントの向上

「リファラル採用」をご存じですか?

社員紹介採用と言い換えればイメージしやすいかもしれません。これは、求 人を出して応募者を集めるといったような従来の採用手法とは異なり、自社
の社員を通して知人や友人の推薦を受けて選考を行う採用手法
のことを言い
ます。企業の採用競争が激化している中で、自社にマッチする人材の確保が困難といった理由から最近の採用活動では、このリファラル採用に注目が集まっています。つまり、採用段階において企業や組織の本質的な課題まで考えなければならないという、採用担当者の領域を超えた課題が存在することが明らかになってきているためです。

リファラル採用の特徴
◆社員の知人や友人、元同僚などの人脈を活用するため、市場に潜在する人材を発掘できる
◆自社の魅力や社風を伝えやすく、求める人物像にマッ チした人を集めることができ、採用後の定着率が高い
◆求人媒体や紹介会社にかかる採用コストが大幅に抑えられる

成功の鍵は"従業員エンゲージメント"

このように、リファラル採用には従来の採用手法にない魅力がありますが、最大限の効果を得るために最も重要となるのが、既存社員の従業員エンゲージメントを高めることです。従業員エンゲージメントとは、社員が企業の理念やビジョンを理解し、企業や組織に対する信頼 や貢献意欲を持って動けているかを表す指標のことです。今後、ますます人手不足が進む中で、企業が生き残り成長するためには、生産性の向上や優秀な人材の流出を防いでいくことが重要なことは明白であり、これらの課題解決に効果があるのが従業員エンゲージメントの向上です。従業員エンゲージメントが高まるということは、社員のモチベーションが高く、組織の活性化が実現した状態になることです。「この会社は居心地がよい」といった従業員満足度とは似て非なるもので、居心地が良いだけでは企業の業績の向上に繋がっているという科学的根拠はありませんが、 従業員エンゲージメントが高い企業ほど業績向上、離職率低下、顧客満足度が高い、などといった効果があることが明らかになっています。
企業の従業員エンゲージメントが高く、社員にとって自社が「友人・知人に紹介したい会社」となることが、リファラル採用を成功に繋げる最大の鍵となるのです。

従業員エンゲージメントの向上は、まずトップメッセージに共感すること

従業員エンゲージメントを向上させるためには、まず自社の経営理念や明確なビジョンが社員一人ひとりに浸透させることです。それらが理解されるためには、経営者が社員に自らの言葉で伝え、共感されることが重要です。 (社員への直接的な言葉はもちろんですが、日々の経 営者の姿勢そのものがメッセージとして従業員に伝わることを補足しておきます。)
会社はどのような方向性で、何を目指しているのか。
自分の仕事がそのプロセスのどの部分を担っていて、どんな価値を提供出来ているのか。
社員は会社が目指しているものや、ビジョンを理解する事によって、自分の仕事を紐づけて捉える事ができ、会社の目標を自分のこととして捉える事ができるようになります。

まとめ

・採用難時代だからこそ、 リファラル採用に取り組む。
・リファラル採用の特徴は、“潜在する人材の発掘”、“定着率が高い”、“採用コストの抑制”。
・リファラル採用成功の鍵は従業員エンケージメントの向上。
・従業員エンゲージメントの向上は、離職率低下や業績向上、顧客満足度の向上につながる。
・経営トップが自らの “言葉” と “姿勢” で経営理念やビジョンを伝えることが重要。

社会保険労務士 高橋

従業員エンゲージメントの調査法

Q12 (キュートゥエルブ)を測定するための12の質問
Q1: 職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2: 仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3: 職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4: この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5: 上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6: 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7: 職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8: 会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9: 職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10: 職場に親友がいる
Q11: この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12: この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

*参考:アメリカ ギャラップ社のQ12の質問 *
1 課題の洗い出し
2 課題の要因を探る質問内容の設計
3 従業員調査の実施
4 結果分析と改善対策の実行 (※1~4のPDCAを回す)

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