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南イタリア プーリアを巡る旅~南イタリア vs 日本 生魚一本勝負!! トラーニ編〜

[1] トラーニ  観光編

南イタリア、プーリア地方。イタリア半島の、いわゆる(かかと)の辺りですな。

今回の旅は、バーリの空港から車で30分程度の町、トラーニ から。

到着は23時過ぎと遅くなってしまったが、町にはまだ活気があった。新市街には学校があるためか、若者が多く、夜の町を闊歩し、楽しんでいる。

うむ、乳繰り合うも、他生の縁・・・ 

小さな港町、というイメージを抱いていたので、夜がこれほどにぎわうとは意外だった。

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翌日から、本格的な旅がスタート! 

トラーニはアドリア海に面した港町なので、漁業が盛んだ。朝早くから、漁師が魚を並べて売り捌く様は市場のようであり、活気もあって楽しめる。

朝の散歩は是非ともお勧めしたい! 

もちろん、昼間の散策も最高で、大聖堂を対面に望みながらの、旧市街の海沿いの景色は本当に素晴らしい。

容赦の無い日差しが白亜の建造物に照り返される中、のんびりと海沿いを歩くと、ああ、南イタリアへ来たんだなあ、という実感が強く湧く。

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この町の観光のハイライトは、何と言っても、、

大聖堂! 

イタリアには、各地に様々な大聖堂があるが、この大聖堂はわけても大好きだ。 

海をすぐ後ろに控えた最高のロケーションで、青空のもと、簡素なロマネスク様式でたたずむこの聖堂は、何だか清らかな乙女を彷彿させるのだ・・・

あれ!? 

微妙に変態臭い発言でしたか。

明確に読者が減りましたか。

12世紀頃に建立されたこの聖堂には、この辺りで豊富に採掘される、ベージュと、非常に淡いピンクの縞柄の、硬い石灰岩が用いられており、近づくとその色味がはっきりしてくる。

この色合いがまた美しく、聖堂の持つ清らかさ、優美さを醸成させているのだろう・・・

[2] トラーニ  昼食編

旅の楽しみの一つはやはり食事だけれど、この町は期待を裏切らない。

💢生魚は日本の物が最高に決まってんだろ!

と私も高を括っていたのだが、食後は、、、

フ、フン、南イタリアの生魚も、嫌いじゃないからねっ!!

という、ツンデレの境地に達した(今年で43歳です・・・)

昼食は海沿いのGallo Restaurantで。

旧市街のど真ん中とも言える立地で、非常にアクセスしやすい。港に面しており、景色もすこぶる良い。トリップアドバイザーでの評判も良く、現地のレストランガイド IL MANGIAROZZOにも取り上げられていた。

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前菜として、生魚の盛り合わせ。手長海老、赤海老、マグロ、甲イカなど。生の手長海老は日本ではなかなか食す機会に恵まれないため、興味をそそられる。ちゅるん、と身を吸い込むと、牡丹海老よりはあっさりしているが、旨味はちゃんとある、という感じか。

『やっぱさあ~、生のスキャンピ(手長海老)を食べると、イタリア来たなあ~、って感じるよね~』などという、高感度爆下げ発言が脳裏をよぎるが、間髪入れずに赤海老にかぶりつくと、こちらはかなり濃厚な味わい。 

海老はどれも旨い!

どのエビも みんないい 

みんなちがって みんないい

・・・そうだよね、みつを!?

マグロは意外な印象もあるかもしれないが、実はイタリア近海で獲れるのだ。

味は、まあ、、、

そ、そう、マグロはこの辺りで獲れるのだが、シチリア島で行われるmattanza(マッタンツァ)と言われる漁がつとに有名だ。

マグロを網で追い込んだのち、棍棒でボッコボコに殴って気絶させて仕留めるという、マグロ側からしたらノックアウト強盗に襲われるような状況である。

おまえら、生き物としてちゃんと進歩してきてるのか!?という、マグロからの問いかけに真摯に向き合いながら南イタリアで食べるマグロの風味は、格別であった・・・

特筆すべきはイカ。小ぶりで、恐らくは甲イカ。わずかに茹でてあるのか、非常に歯ざわりが良く、プツっと嚙み切れた。臭みも全く無く、素晴らしいイカで、日本でもお目にかかるのは難しいような代物だった!

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パスタは、二品とも生パスタ。魚介類のオレキエッテ(プーリア地方名物の、耳たぶ形のパスタ)と、海老とアーモンドを使った太めのスパゲティ。

味の方向性は似ていたが、オレキエッテの方が塩気のバランスが明らかに良く、旨い。スパゲティの方は、振りかけられたアーモンドの風味が印象的だった。

現地のイタリア料理は、アーモンドやピスタチオなど、砕いた豆類を上手に使う。味にも食感にもアクセントが加わるため、面白い。

日本でもどんどんパク…、あわわ、参考にして欲しい!

この店では、付け合わせとして供されるパンも、じっくり味わいたい。付け合わせのパンは、イタリアと言えども、風味もへったくれもないパンがドンと置かれることが多いのだけれど、こちらのものは抜きん出た質だった。 

それもそのはず、イタリアで最も旨いパンが作られているという、パンの町として名高い、近郊のアルタムーラから取り寄せていたらしい。

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トラーニ の町は小さく、海沿いの散歩と大聖堂の見学以外には特にすることも無いので(失礼)、心ゆくまで散歩を楽しんだ後は、町中の散歩も悪くない。

この町は魚屋、八百屋、肉屋などの、生活に密着した店がたくさんあり、それらを見て回るだけでも面白い。

きっと、小さな出会いがあるはずだから!

[3] トラーニ  夕食編

夕食はミシュラン一つ星の店、QUINTESSENZA。入口は非常に分かりにくいので、注意! QUINTESSENZAとは、イタリア語で『真髄』を意味するらしい。今宵、私は共に旅した彼女の『真髄』まで味わう羽目になるわけだったが・・・

食が細いので、コースでは頼まず、ア・ラ・カルトで。以後も同様。

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まず、突き出しに自家製フォカッチャ、アンチョビ風味のクリームチーズ クラッカー、イベリコ豚の一口パニーニ、薄いフライドポテトの柚子!ディップ添え。

もう、何の問題もなく旨いですよ、ええ

『突き出しの良いお店にハズレなし』

-マタイからの福音書 14章 23-40節-

イエスのお導きによりたどり着いた店なのだろうと、期待が高まる(普通に危なめ)

そして、スタッフがまた、物腰柔らかな兄ちゃんで、まあー、よく喋る。特にワインを頼むと、ブドウの品種・性質、作り方の特徴、収穫された地方の歴史・・・ 

しかも英語で喋っていたかと思うと、途中からイタリア語に。こちらの困惑を見てとるとまた英語に戻し、ふむふむ、と聞いていると、気付いたらまたイタリア語に・・・ 

という具合で、時空が歪んでいるのかと思ったわ!!

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一皿目、海老と生ハムメロン(Scampi, prosciutto e melone)。

えっ!? という、驚き。

写真、間違えていませんよ! 

確かに、茹でた海老、刻んだハムはある。薄いシート状のものは、ミント風味だったが、謎。スープは緑の水玉模様でだけど、うんまあ、海老・・の、風味・・・ 

メロンどこ? この水玉模様? 

冷えたメロンに薄切りの生ハムがペローンとかかっていて~、

んん~、海老はどう絡んでくるんだ、キミぃ?

とか、バスローブを羽織ってブランデーを嗜みながら考えていたので(大ウソ)、予想の遥か斜め上を行く一皿に困惑気味・・・

う、うん、旨いは旨い、んだけどさあ・・・

この店、ミシュラン系にありがちな、捻り過ぎなお店か!?という、微妙かつ不安?不穏?な空気にテーブルが包まれる。

人間も料理も、素直さって大事だよね!?

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二皿目、タコとトマトとインゲン(Polpo, pomodori e fagliolini)。

まさか、タコのかたちにくり抜いてあるトマトとか出てこないだろうな!?などと不安に陥れられていたが、、

どれがタコでどれがトマトでどれがインゲンか、目視で確認でき、ホっとする。

心底ホっとする

タコは炙ってあり、風味が良い。トマトはドライトマトだったが、濃厚で少し酸味も加わり、良いアクセントになっていた。

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三皿目、ジャガイモとブッラータチーズの夏トリュフ添え(Patata, burrata e tartufo estivo)。ペースト状のジャガイモにブッラータ、そこにトリュフの風味が加わる鉄板の一皿! 

こんなの旨くないわけない!!

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ふっ… やる前からわかってるような試合だぜ❗️

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四皿目、子牛の胸腺、ユズ、桃とともに(Animella di vitello, yuzu, pesca)。

胸腺と聞いてギョっとする人も居るかもしれないが、臭みは全く無く、とても食べやすい。火入れが絶妙で、チーズのようなまろやかさ、独特の食感が引き出された、悶絶級の逸品だ!

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最後、甘いものはフルーツタルト。生地がさっくり目で、甘過ぎず美味。

スパークリング、白、赤ワインと頼んでいたが、それでも締めて120€程度。素晴らしい!

ここからは余談。

このお店には、ある秘密があると思う。それには、彼女が先に気付いたのだが。

中心になって接客してくれたスタッフは非っ常~に 物腰柔らか。たまに来るもう一人の若手はきびきびしつつも、手つきなど、どこかかわいらしさも・・・ スタッフは、全員男性。男子トイレに飾ってあるのは、全て男性の俳優の写真。

つまりは・・・

時差ボケにより、食事中に眠気がピークに達した彼女は、あろうことか

『ここのことを思い出すたびにモヤモヤするくらいなら、今、ここで聞いちゃってスッキリしよう!

と、度肝を抜く一言。

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ここまで共感できないことを言われたのは初めてで、マジでビビりました 苦笑

最後、シェフも挨拶に出てきてくれて(もちろん男性)、生暖かい?爽やかさとともに店を後にしたのだった。

[4] トラーニ 身も蓋もないまとめ

おすすめは

ホテル

Mare Resort: テラスからの眺望、観光スポットへのアクセスなど、最高の立地。貴族の館をリノベーションしたものと思われる。設備は近代的。

Hotel San Paolo Al Convento: 立地が良く、修道院をリノベーションしたものなので、雰囲気も良い。朝食も美味しい!

Palazzo Filisio Hotel:大聖堂至近で、立地が良い。館内も清潔で綺麗。

レストラン

Gallo Restaurant: 綺麗で、期待通りの料理を出してくれる。旧市街の海沿いでアクセス良好

QUINTESSENZA: 高級でおしゃれ、料理は捻りのある物もある、大聖堂から10~15分くらい

見どころ

大聖堂[ハイライト]

海沿いの散歩(朝の屋台の見学も含む)

美味しい生魚に舌鼓を打ちつつ、南イタリアの鮮魚に、心の中でこっそりあやまる!


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