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絵本『わたしの森に』を読んでは独り言

独特の空気を身に纏い
まるで人を避けているかの如く
声を張り上げ威嚇しているように
見える人がいる

その人の本心はわからない

身体は大きく
あまり愛想も良くはない

地声は太く低く
身体の大きさが
声の大きさを
生み出しているかのようだ

その人は周りの人から警戒されている

その人に親しげに話しかける人は少ない

でも

よくよく観察してみると

人と交わりたかったり
一人で寂しそうだったり
一見細かくて一見怖いけれど
どこか人間臭さを感じたりもする

そうは思っても

本能的に避けてしまうのも
人間として仕方のないことで

その人と相対する際には
自然と身体は防御反応を示し
身体の反応が心に侵食してくる

そんなことを思い出しながら

今日もまた

読んだんだか読んでいないんだか
積んだんだか積んでいないんだか
といった本達の中から一冊紹介し
心の琴線に触れた一節を取り上げ
ゆるりと書き記していきたい

今回はこちらの本を読んでは独り言

アーサー・ビナードの絵本ということで
ほぼ反射的に借りてきた絵本だ

詩作である『釣り上げては』は
既に購入し折に触れて
読み親しんでいる

彼の言葉を
心の中で読み上げ
彼の世界が
頭の中に描き出される

不思議な詩の世界を堪能し
幸せなひと時を過ごしている

さてさて

いつものように
引用する必要があるんだかないんだか
引用の意味を考えては
自己ツッコミを入れつつ
noteの引用機能を用いて
引用させていただきたい

毒を持つヘビが森に棲息していることを、マイナスとしてとらえる人がいるだろう。環境の実態を知らなければ、単に恐怖を覚えて、無知のまま忌み嫌ってしまうかもしれない。ところが、子どものころからマサソーガたちと向き合って共存して、まったく逆だとぼくは実感した。彼らはミシガンの生態系の中で重要な役割を果たしているだけでなく、ニンゲンにとって森を知るために欠かせない存在だ。
マサソーガに遭う可能性があるから、森に分け入るとき少々緊張する。だらしなく歩くのではなく、平気でズカズカ上がり込む感じでもなく、しっかり足元に注意しながら進んでいくことになる。その結果、発見が多くなる。踏んづける前にキノコに気づくし、新芽にも昆虫にも気づいたりする。シカやクマの足跡を見つけたり、フクロウのフンも見つけたりして、気をつけてちゃんと見ることから、今度は立ち止まって確認することも当たり前になる。もしぼくに観察眼といえるものが備わっているとしたら、それは曲がりなりにもマサソーガたちによって養われたといえる。ちょっとおっかない師匠のような関係か。
(中略)
毒を持つ生き物なので、忌み嫌う人が少なからずいる。けれどマムシの側にいったん立ってみれば、視点が変わってその魅力が見えてくる。嫌うのではなく、段々と畏敬の念を抱くこと請け合いだ。ひょっとして羨望の眼差しで見つめることになるかもしれない。
(中略)
田島さんの絵をトンネルにしてみんなでマムシの森に潜り込み、いくらかニンゲンを脱皮できたらおもしろいと思う。向こう側から世界が違って見えるし、もし読者と一緒にマムシの声まで聞きとれたら、どんなにうれしいか。
「わたしの森に」の英語版もこれから作りたいと思うけれど、その場合、主人公の尾の先にガラガラを付け足すべきかどうか、悩むところだ。とにもかくにも、みんなでマムシとマサソーガに気をつけよう。気をつけることが、注意深く観察することの始まりだから。

アーサー・ビナード 田島征三. わたしの森に. くもん出版, 2018, 付録 作者のことば

独特の空気を身に纏い
まるで人を避けているかの如く
声を張り上げ威嚇しているように
見える人がいる

その人に近づき

その人を理解しようとするのは
なかなかに難しい

しかし

その人の見る世界はきっと
私の見る世界と違うのだろう

その人は周りから見れば
毒を持つ生き物のように見える

だからこそ

周りの人は気をつけて
距離を置いて近づかない

しかし

ミシガンの生態系の中で
重要な役割を果たしている
マサソーガという蛇が
ニンゲンにとって森を知るために
欠かせない存在であるかのように

きっと

その人も
ニンゲンにとって
人とは何かを知るために
欠かせない存在であるのではないか

そんなことを思ったりもする

とは言いつつも

私自身

その人と対峙する際には
過去の記憶が蘇り
体と心は安定感を失う

それでもなお

関わらざるを得ないこともあるためか
気をつけて観ることで
何となくであるが
その人の見る世界を
ほんの少しだけ垣間見えた気もするが
それは気のせいかもしれない

そんなことを考えたひと時であった

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