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『プシコ ナウティカ』を読んでは独り言

薬局で様々な人と関わる中で
私自身の心は揺らいでいく

相手の一挙手一投足を観察し
それに私の心身が自然と反応する

その中で

微妙な違いや違和感を感じ
それに応じた感情が
私の中に根を張っていく

あまり言葉を発しない人や
これでもかというくらいに
話をし続ける人

言葉には表現できない
独特な雰囲気を纏う相手と
神経をすり減らしながら会話する

言葉で表現しにくいのは
その方の背景を語つことができない
ということもある

また

私のボキャブラリーの問題もある

何にせよ
言語化するのは難しい

例えば

あまり薬局で語らない人に
その人それぞれで
色々な特徴を纏っている

そもそも目を合わせようとしないとか
どこかよそよそしさがあるとか
それも全て私が感じているに過ぎないのだが

そういった意味では
私が認識し感知する特徴を纏っている
ということなのだろう

ここまでかいて
何が書きたいのか
よくわからなくなってきたが

要するに

色々な人がいるということだ

そんな色々な人との会話の中で
沈黙があったり
その沈黙を埋めようとしたり
その中に感情が埋め込まれいてく

そんな毎日を振り返りながら

今日もまた

読んだんだか読んでいないんだか
積んだんだか積んでいないんだか
といった本達の中から一冊紹介し
心の琴線に触れた一節を取り上げ
ゆるりと書き記していきたい

今回はこちらの本を読んでは独り言

毎日聴いているVoicy
『荒木博行のbook cafe』

有料配信(プレミアムコンテンツ)にて
毎週日曜日18時に配信される
『今週仕入れた本ズ』のコーナーにて
紹介された本である

タイトルの響きから興味が湧き
出版社のホームページで目次を眺め
私の購買意欲や読書欲や知識欲が刺激される

そして

いきつけの本屋さんである
桑畑書店さんに注文し手に入れた

まだ

本の数頁を読んだだけであるが私にとって
とても重要な本になりそうな予感がする

そして何より

本書の作りとでもいうのだろうか
紙の質の違いをはじめ
本を手に取る感触の違いに驚いている

貴重な読書体験をしているなぁ

そんなことを思いつつ

いつものように
引用する必要があるんだかないんだか
本来の引用の定義を考えては
自己ツッコミを入れつつ
noteの引用機能を用いて
引用させていただきたい

私が、「イタリアという謎」に魅了されたのは、こうした物質のもつ魅惑のせいだったのかもしれない。者の機能や使用価値の裂け目から垣間見える、存在の無言の輝きが私を魅惑する。このことは、相手が人間であっても変わりはない。イタリア人の「そこに人がいる」という存在感には本当に圧倒されるものがある。だがそれは彼らが単によくしゃべるからではないだろう。確かにイタリア半島の住民には、日本列島の人々と比べてよくしゃべる人が多い。だが、この長靴の形をした半島の人々の凄まじいまでのおしゃべりに、こちらの頭がくらくらしてしまうような経験を何度もくぐった者にとって、そのおしゃべりには、何かをコミュニケートする以上のものがあるのではないかという思いを禁じえない。それは、おしゃべりの過剰によって言葉の向こう側、あるいは言葉の手前にある沈黙の無のなかに、発話する自分自身を溶かしこもうとするものではないか。そこでは、「おしゃべり」と表裏一体としてある沈黙、「人のなかにある、ものの沈黙」とでも呼ぶべき次元が、しゃべることの過剰による自失のまっただなかに召喚されているように感じられる。
ものと違い、言葉を話す人間は、言葉を過剰に用いることでしか言葉の外を指し示すことができないのかもしれない。そして、過剰なおしゃべりのただなかに自己を失うことによってだけ、「ある」の次元が垣間見られる。人が、あるいはものが、魅惑的でエロスを感じさせるのは、その人あるいはものが、この有の世界にだけ存在しているのではなく、有の世界を踏みぬき、有の世界の外を自らのうちに折りたたんでいる、その分だけではないだろうか。

松嶋健. プシコ ナウティカ イタリア精神医療の人類学. 世界思想社, 2014, ⅱp

はじめにの一節を
引用させていただいた

いつものように
こんなに長く引用する必要があるのか
自分に問いかけてみると心苦しくなるが

自分の記憶に留めておくためと
ある意味で割り切って進めていきたい

ものが「ある」
人が「ある」

あるいは

ものが「ある」
人が「居る」

その存在が感じられるか否か

そうした感覚を抱くことがある

冒頭のお話でも
物言わぬ人でも
その存在感を感じられることもあれば
そうではないこともある

その人自身が
自分の存在を
隠しているように見えることもある

いや

単に私と関わりたくないだけか

日常の場面を振り返り
人の存在感に思いを馳せる

そんな読書体験であった

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