見出し画像

絵本『おしえてくれる?わたしのなまえ』を読んでは独り言

毎日聴いているVoicy
『荒木博行のbook cafe』

2024年3月23日の
土曜日の放送

本編は対談であった

対談相手は
荒木マスターが関わる
人在育成プロジェクト
『うらほろアカデメイア』の
運営メンバーの1人である
早坂良太さんだ

対談の中で

『うらほろアカデメイア』が
本格運用する前に行われた
おそらくプレ開催的なプログラムでの
出来事が紹介されていた

参加者同士は
初めて出会うにも関わらず
自己紹介をしてはいけない
というルールだったらしい

そんな中で
いくつかのグループに分かれ
一緒にアクティビティを
行っていくとのことだった

もちろん

自己紹介しないということで
名刺なども使用しない

対談中に
「肩書きを取り去ったときの自分とは?」
という問いが駆け巡る

薬剤師としての自分
会社に属している自分
そうしたどこかのカテゴリーに
属する自分を排したとき
私に残っているのは何か

そう問いかけられた

対談の最後には
「子供の頃は誰もが肩書きなどなく一緒に遊んでいた」
という話があった

娘の姿が頭に浮かぶ

公園にて
見ず知らずの子と
一緒に遊んでいる姿が
思い出されたのだった

そんな中

今日もまた

読んだんだか読んでいないんだか
積んだんだか積んでいないんだか
といった本達の中から一冊紹介し
心の琴線に触れた一節を取り上げ
ゆるりと書き記していきたい

今回はこちらの本を読んでは独り言

こちらも冒頭紹介した
『荒木博行のbook cafe』の
絵本カフェにて紹介された絵本だ

紹介されてから
いきつけの本屋さんである
桑畑書店に注文した

日頃

薬局の現場で
認知症とされる人々と
関わる中で感じるあれこれに
何か暖かな光を差し込んでくれる

そんな作品であった

さてさて

いつものように
引用する必要があるんだかないんだか
引用の意義を考えては
自己ツッコミを入れつつ
noteの引用機能を用いて
引用させていただきたい

グレースのおかあさんが、ケーキをやきました。
おかあさんは、グレースをよんでいいました。
「おとなりのフィリスさんに、ひときれもっていってあげて」
フィリスが、玄関のドアをあけました。
「おや、あなた、どなた?」
「グレースっていいます」と、グレースはこたえました。
「それで、おうちはどこなの?」
「すぐとなりです。おかあさんが、これ、どうぞって」
フィリスは、グレースを家の中に入れました。
グレースは、フィリスのあとについて、くらいろうかをぬけ、
うすぐらい台所に入りました。カーテンはしまっていて、
電灯がぼんやりとテーブルをてらしています。
「そういえば、うちの子どもたちはどこに行ったんだろう。
きっと2かいでねてるのね」と、フィリスがいいました。
「でも、まだねるじかんじゃないわ」と、グレースはいいました。
「そうよね。じゃあ、いったいどこだろ」

おかあさんがシチューをつくりました。
いっぱいぶん、とりわけておいて、
ゆうしょくのあと、グレースにいいました。
「これ、フィリスさんにもっていってあげて」
ドアをノックすると、フィリスがでてきて、グレースを中にとおしました。
グレースは、シチューを台所までもっていって、テーブルにおきました。
「ゆうごはんにどうぞ」
「ああ、それ、たべられないかも。きょうのゆうはんは、チョコレートだもん」
フィリスは、やんちゃ坊主みたいな顔をしてそういうと、わらいだしました。
「で、あなたのなまえは?」
「グレースです」と、グレースはこたえました。
「わたしのなまえはフィリス。とうさんがつけてくれたんだけど、ちっともすきじゃなかった。ねぇ、このなまえ、いいとおもう?」
「ええ」
「そう!よかった」

グレースは、クッキーをやきました。
おかあさんは見ていただけ。グレースがぜんぶひとりでやったのです。
フィリスにも、すこしもっていきました。
「わたしがひとりでやいたの」
「まあ、ひとりで! じゃあ、わたしはおちゃをいれるとしよう」
フィリスは、やかんに牛乳をそそぎました。
牛乳はいたんでいるのか、すっぱいにおいがします。
フィリスはやかんをコンロにおくと、火はつけずに、テーブルにもどってきました。
「それで、あなた、なんて子?」
「グレースよ」
「いいなまえねぇ。わたしのなまえは・・・・・・」いいかけて、フィリスはまゆをよせました。
「おもいだせない。わたしにもなまえがあるはずなのに、ねえ?」
それから、おかしそうにわらいました。

ナイジェル・グレイ べサン・ウェルビー もりうちすみこ. おしえてくれる?わたしのなまえ. ゴブリン書房, 2023, 2p

引用部分にあるような
グレースとフィリスのやりとりが
綴られていく

フィリスの記憶は
段々と曖昧になっていくが
2人の繋がりは深まっていく様子が
心暖かに描かれている

2人の関係は
まさに肩書きなど抜かした
1人の人間同士の関わりなのではないだろうか

そんなことを感じた

そして日頃
いかに自分が肩書きに囚われ
自分というイメージに囚われているのか
嫌というほど思い知らされた

薬剤師である前に
医療従事者である前に
1人の人間として
目の前の人にどう関わるか

そんな日々の営みを
改めて見つめ直していきたい

この記事が参加している募集

読書感想文

こんなポンコツな私ですが、もしよろしければサポートいただけると至極感激でございます😊 今後、さまざまなコンテンツを発信していきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします🥺