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【最終回】仕事も子育てもうまくいく! 「自分」と「家族」の価値軸で考える 幸せ戦略

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第四章 正解のない時代を生きる一流の子育て

1.ますます広がる教育格差

一人ひとりの子どもの個性を尊重した学びの環境が求められる今、多様な学びの場が次々と生まれています。就学年齢になれば、小学校・中学校へ通うといった義務教育を中心とした、ある程度決まった一斉型の学びの道筋から、子どもの成長段階に合わせて学びの選択をする世の中へ、大きく変化してきているのです。

親として、子どもが過ごす場や学びの場を主体的に考えるかどうかで、教育格差はこれからますます広がっていくことでしょう。

ここからは「一流の子育て」をキーワードとして、これからの時代の子育てを考えるヒントをお伝えしていきます。

2.一流の子育てとは

日本には、0歳児から通える習い事の教室も多く、学ぶことをとても大切に考えている国民性といえます。

また、日本の義務教育課程には、日本全国どこへ行っても、同じ水準の教育を受けられるメリットがあり、就学率もほぼ100%の状況で、日本の子どもたちの知識レベルは高いといえるでしょう。その分、既存の学校教育の枠から外れることが難しく、Will(学びたいこと)よりも、Must(学ばなければならないこと)に多くの時間が割かれている状況でもあります。

子どもたちがこれから生きていくのは、知識や技術はAIのほうが役に立つ、という時代。

そこで人間に求められるのは、何を知っているかではなく、何ができるのかを考えること。正解にたどり着くのではなく、正解をつくりだすことが求められる時代となるのです。

そのために子どもたちが身につけたい力とは何か。

まずは、「思考力」「判断力」「表現力」が挙げられます。物事を多角的な視点から捉え、じっくり考え、判断する力。そして、それを相手へ伝える力といえるでしょう。

それに加えて必要な力が「主体性」「自己肯定感」です。

主体性とは、自分で考え、判断し、自らの行動に責任をもつこと。自分でなんとかしようとする力といえます。

自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れ、「自分ならできる」と自ら自分を承認する力です。

「一流の子育て」とは、勉強ができて、いい学校に行くことがすべてではなく、「どんな時代、どんな世界でも、自分らしく幸せに生きていく力」つまり、「子どもの自分軸・価値軸」を育んでいく子育てなのです。

3.多様化する学びの選択肢

保育園・幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学など、子どもの成長段階に応じて、学びの場が用意されています。さらにフリースクールも年々増加、「地方留学」と呼ばれる地域の枠を超えた高校進学など、学びの選択肢は多様化しています。子どもにとって最善の学びの環境を考えるうえで、学びの選択肢を親が知っていることは有効なことでしょう。

まずその選択するときが訪れるのが、0歳児から入れる保育園です。保育園には、設置が自治体か民間か、また自治体から委託を受けた民間業者など、いろいろな形態があり、対象年齢や保育内容もさまざまです。

子どもが幼稚園に入れる年齢になれば、保育園から幼稚園に代わるご家庭もあります。幼稚園と保育園と一緒になった「こども園」、インターナショナルスクールなど、保育・教育内容もさまざまです。

小学校以降も国立・公立・私立と設立区分があり、それぞれ小学校だけのものから、小中高の一貫校、中高の一貫校、大学の付属校など、さまざまな形態があります。

我が子の生きる力を育むために、どのような学びの環境を選ぶのか、我が家軸を基準に考える必要があるのです。

4.親からはじめる一流の子育て

学びの選択肢はさまざまですが、子育ての主体は親です。子どもの成長段階に合わせて、次のようなことを心がけておくとよいでしょう。

ここでは、0歳~未就学児を例にとって解説していきます。それ以降の年齢については、出版予定の本にて書く予定です。

<0歳~未就園児>
0歳から1歳は、1日1日、驚くようなスピードで成長していきます。一瞬でもそれを見逃したくないと思うほど、愛おしい存在です。

赤ちゃんの視力は、最初はほとんどありませんが、聴力はおなかの中にいるときから発達していますので、胎教で音楽を聴かせたり、話しかけたりする人も多いのではないでしょうか。

この時期の赤ちゃんにとって大切なのは、人と信頼関係を築くこと。「自分はここにいてよいのだ」という自己肯定感を育むベースは、他者との信頼関係からはじまります。赤ちゃんが泣いていたら、それに応えることがベースです。

保育園に通いはじめたら、どんなに忙しくても、1日のうちにほんの少しでもよいので、家事や仕事の手をとめて、子どもだけに向き合う時間をつくりましょう。短い時間でも、毎日、心が満たされる時間が積み重なっていくことで、子どもの心は安定し、親への信頼も積み重なっていくことでしょう。

また、思考力や表現力は、歌・絵本・素話といった、声を体で感じ、言葉や音のシャワーを浴びることで育まれていきます。日本や世界の童謡や昔話には、心地よいリズムや音がたくさん入っているので、積極的に取り入れたいものです。

そして近年では、言語習得期として、0歳から英語学習をはじめる人も多くいますが、その取り入れ方には注意が必要です。言葉は人とのコミュニケーションで使うだけでなく、思考するときにも使っています。また自分の感情を捉えるときにも、適切な言葉を知っていれば、自分の感情を正しく認識し、それを表現することもできるので、コントロールがしやすくなります。

完全なるバイリンガル、日本語でも英語でも思考ができるようになるためには、日常生活も含めて、言葉に触れる量のバランスが必要なのです。たとえば、親が日常的に英語と日本語をバランスを取りながら使っているという環境がなければ、どの家庭でも、英語でも日本語でも考えることができる真のバイリンガルとして育つわけではありません。そのような環境でなければ、まずはベースとなる言語をしっかりと学び、その上に別の言語を積み重ねていく、そのようなイメージで学習をしていくとよいでしょう。

母国語の重要性は、子どもが大きくなるにつれ、いろいろな場面で感じる場面がありますよ。

第五章 あなたの人生はあなたがつくる

1.悩みのない人などいない

SNSを見ていると、キラキラしている人ばかり。それに比べて自分は、毎日バタバタ忙しくて、目の前のことをこなすだけで精一杯。いつまでこんな生活が続くのか、仕事も子育ても中途半端で、なんだかどんよりする、自分に自信がもてない……といった悩みをよく聞きます。

仕事も子育ても、どちらの役割も大切にしたいと思ったら目の前のことをこなすだけ、ドタバタで当たり前ではないでしょうか。

SNSでキラキラしているように見える人も、写真に写る顔は笑っていても、水面下では足をバタバタさせているかもしれません。そして、どんな順調な人生を送っているように見える人にも、必ず悩みはあります。それが他者から見えやすいか、見えにくいかの差だけです。

ひとりの人間を、ひとりで生きていけるようになるまで責任をもつ子育て。その重い責任を果たすために、悩みはつきものでしょう。

また、多様な価値観、多様な働き方、多様な生き方など、選択肢が広がった分、何を選択するのか迷い、悩むことが多い時代なのです。大いに悩みましょう。もがきましょう。悩んで、迷って、もがくことが結局あなたの成長につながります。

そしてその過程を経た選択は、自分にとって最善の選択であり、その選択の連続が自分らしい人生を創っていくのです。

2.他人のことを人はそれほど気にしていない

情報過多の世の中。すぐにネットで調べられる時代。気になったことがあれば、まずは調べて、他の人はどうしているのか見てから、何かを決めることも多いのではないでしょうか。

情報をうまく活用すると、安心して選択や決断できることもあるでしょう。ですが、もし「他の人の目」を気にしすぎて、自分の選択や決断ができないなら、もったいないです。

人は他人のことを、それほど気にしていません。興味本位に何かを言ってきたり、やったりすることはあるかもしれませんが、それは一過性のこと。

たとえば、私が1人目の出産後に復帰した職場で、ワーキングマザーの私には、言いたいことが言える。指摘がしやすいのか、仕事と子育てのバランスに対して、「やる気が感じられない」「前できていたことが、なぜできないの?」「なぜ病児保育を利用しないの?」など、いろいろなことを言われました。傷つき、そこまで言われるなら辞めてしまおうと思ったこともありました。

ですが、その人が私のキャリア・人生・子育てに、どこまで興味関心があったのかといえば、それほどなかったでしょう。私の職場での言動を気にしていただけ。であれば、職場での立ち振る舞いを変えることに注力すればいいだけ。私の「仕事と子育て、どちらもがんばる」という価値軸まで変える必要はないのです。

もし、どうしても他人の目が気になって、自分のやりたいことができない、前に進めないというときは、自分に問いかけてみてください。

「今、私にとって大切なことは何?」
「大切なことをあきらめたらどうなる?」
「あきらめず前に進んだらどうなる?」

そして、最後に一言。「私なら大丈夫」と心の中で自分に声をかけてあげましょう。他人の目を気にして、自分の価値軸を揺るがすような道を選択していたら、きっと後悔ばかりの人生になってしまいますよ。

3.「ありのまま」と「努力しない」は別物

自分軸と価値軸を大切にするマインドフルネスキャリア®。マインドフルネスというと、「自分に気づいている状態」「ありのままを受け入れる」といったイメージがありますが、「ありのままでいい=努力しなくていい」というわけではありません。

ありたい姿、なりたい自分、自分らしさを実現するためには、目指すものに対しての努力が必要です。「仕事も子育ても、どちらもがんばる」のであれば、仕事に向けられるリソースが少ない分、そのリソースを最大限活用する方法を考えたほうがいいでしょう。

「あなたにお願いしたい」「あなただからお願いしたい」といった自分の強みをつくることに注力することです。

たくさんの仕事はできないかもしれません。ですが、今ある仕事に対して、何か自分らしさを生かせないかを常に考えていくうちに、自分だからできる強みが必ず見つかり、その強みが未来のキャリアへとつながっていきますよ。

4.人生の主人公になる

今は性別に関係なく、どんな生き方も選択できる世の中です。もちろん女性の社会進出には、見えないガラスの天井が存在していることも事実です。ですが、男女雇用機会均等法が施行されて35年。女性の働き方は大きく変化し、世界の潮流もあり、多様な生き方が尊重される世の中へと変化していることは、喜ぶべきことといえるでしょう。

その大きな波は男性の働き方、子育てに対する考え方の変化へもつながっています。男女の待遇格差が是正されていけば、「一家の大黒柱として経済的に家族を支える」という男性の意識も、これからどんどん変わっていくことでしょう。男性も女性も誰もが自分らしく生きることができる未来は、すぐそこまで来ているのです。

可能性が広がり、選択肢が広がった今、すべては自分次第。どのような人生を送るのか、どのような子どもの未来を創るのか。

自分軸をもち、変化する価値軸に基づく、一歩を踏み出す勇気。これがあれば、自分らしいキャリアも、一流の子育ても、両方を手に入れることができるのです。

子育ての大変さがしばしば話題となる世の中ですが、ひとりの人間がこの世に誕生することは奇跡であり、その命を育み、自分の力で生きていく大人へと育てていくことは、大変さ以上に幸せを感じる時間ではないでしょうか。

20年前、私が子どもを産んだころは、「子育ての気配を消す」ことが、ビジネスの世界で女性が生き残っていくために必要なことでした。ですが、私は「子育て」という幸せな時間、「仕事」という自己実現、成長の時間、その両方をあきらめたくない、という価値軸があったからこそ、子育て中であることを、勇気をもって隠すことはしませんでした。常に「自分にとって、周囲にとっての最善とは何か?」という視点で行動することで、少しずつ私の働き方や生き方が周囲の人にも受け入れられるようになっていったと感じています。

「イクメン」という言葉になつかしさを感じるようになり、子育ては男性・女性関係なく、それぞれの価値軸に基づいてなされる世の中になりつつあります。

「自分らしい、我が家らしい」ライフキャリアを描くためにいちばん必要なことは、「一歩を踏み出す勇気」です。誰かの基準ではなく、自分軸で生きられたら、きっとあなたの人生は唯一の幸せな人生となることでしょう。

著者プロフィール

江野本 由香

日本女子大学文学部教育学科を卒業後、株式会社リクルートへ入社。人材サービス事業部にて、約6000件の人材採用に携わる。また年間1万件以上の相談、ご指摘を受ける読者相談室、転職サイトの編集部において、日々、働く方のお悩みと向き合う。その間、一男一女の出産、子育て、小学校受験を経験。
2014年、「24時間、365日、時間やリソースを自分でコーディネイトできる生活を送りたい」「20年後も30年後も、誰かの役に立てる仕事をしていたい」という思いと、息子の中学受験が重なり、22年間のリクルート勤務から卒業。1年間の専業主婦生活を経て、ライフキャリアコンサルタントとして独立。
現在、マインドフルネス、アンガーマネジメント、アドラー心理学の勇気づけなどの理論を使った講座やカウンセリング、コンサルティングを行っている。

◆保有資格
国家資格キャリアコンサルタント
GCDF-JAPANキャリアカウンセラー
アンガーマネジメントコンサルタント(日本アンガーマネジメント協会認定)
アンガーマネジメントキッズインストラクタートレーナー(日本アンガーマネジメント協会認定)
アンガーマネジメントティーンインストラクタートレーナー(日本アンガーマネジメント協会認定)
アドラー心理学ELM勇気づけトレーナー((有) ヒューマンギルド認定)
幼稚園教諭・小学校教諭1級免許

◆講演・研修実績
市役所/男女共同参画センター/子育て支援センター/公立・私立小学校/私立中学・高等学校/大学/生命保険会社/アパレルメーカー/ホテルなど

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