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【第2回】仕事も子育てもうまくいく! 「自分」と「家族」の価値軸で考える 幸せ戦略

第1回の記事はこちら

第二章 自分らしいキャリアを手に入れる7つの心得

1.急がず、焦らず、立ち止まってみる

今の世の中は、早いこと、簡便であることを価値として考える傾向にあります。急速に進化したデジタル技術によって、驚くほどの速さで世の中が動いており、時にそのスピードは、人の心のバランスを崩すほどの威力をもっています。仕事上では早く結果を出すことが求められ、毎日があっという間に過ぎていきますよね。

また、私たち人間にとって「食べる」という行為も同じ傾向です。たとえば料理では、真空パックに1食分、冷凍された食材が入っていて、炒めればすぐに食べられるものだったり、コンビニ弁当や宅配サービスを利用して中食だったり、「食べる」という結果に向けて最短で行く方法を求める人が増えています。

スピード感が大切な現代において、早いことはもちろん価値あることです。ですが、あまりの早さに追いつけず、心のバランスを崩してしまい、その結果「こうありたい」の自分軸が歪んでしまったり、「こうしたい」の価値軸を見失ってしまうのであれば、一度立ち止まってみることが大事なのです。

2.マインドフルネスキャリア®で自分軸を手に入れ、価値軸に気づく

「マインドフルネス」とは、今に集中し、周りの目や何かの評価や判断を入れずに、ありのままの自分に気づいている状態のこと。

私たちは起きている間、多くの時間、心ここにあらずの状態で過ごしているといわれています。その間、脳が自分の意志とは関係のない思考をはじめることにより、脳が疲労し、ストレスを感じることにつながるのです。

もともと仏教やスピリチュアルな世界で用いられていたマインドフルネスは、近年では企業研修やプロアスリートのトレーニングにも用いられるようになっています。

マインドフルネスにより、脳の自動思考状態を減らし、ストレスを軽減、幸福感を得られ、集中力を高めることにより、より創造性や活力が得られることが期待されるでしょう。

この効果はキャリア選択でも生かすことができます。

「マインドフルネスキャリア®」とは、自分の心に目を向け、自分の思いに気づき、自ら選択して決定するキャリア・生き方のこと。世の中の基準や誰かと比較することなく、ただただ自分にとってどうか、といった自分軸を基準として考えるものです。

長い人生の中で、私たちはさまざまな役割を担い、役割の変化と共に「Must」が変化します。Mustはわかりやすいものなので、何も考えずにいると、「やらなければならないこと」「やるべきこと」を実行するだけで日々が過ぎていきます。いわゆる脳の自動思考状態と同じであり、ストレスを感じることになるでしょう。

マインドフルネスキャリア®の手法を取り入れることで、ありたい自分、ありのままの自分に気づき、自分軸を手に入れられます。自分を認識することで、脳の自動思考状態から解放され、何が自分にとって大切なのか、価値軸に気づきます。その結果、満ち足りた心を感じることができるでしょう。

実践方法については、次節を確認してください。

3.自分の現在地を俯瞰的に捉える

ここからは、マインドフルネスキャリア®の実践方法を紹介していきましょう。

スタートは、現在地の確認です。

人生はつながっています。しかし、私たちは自動思考状態になると、視野が狭くなり、その時を点としてしか認識できなくなります。長い人生の中で、現在地を確認することが「今の自分が何を大切にしたいのか」に気づくヒントになるのです。

自分の現在地を確認するため、「ライフサイクル」という人生曲線を描いてみるのがオススメです。ネットで検索をすると、いろいろなフォーマットがありますが、A4くらいの紙1枚あれば、簡単につくれます。もちろん、パソコンを使ったほうが書きやすいという方は、線や文字を自由に描くことができるお好みのソフトを使ってもOKです。ぜひ、やってみてください。

マインドフルネスキャリア®で使うライフサイクルは、一般的なものとは少し違い、未来を想像するところまで書いていきます。詳しい書き方は、出版予定の本にて紹介していますので、ここでは簡易版の方法を紹介しましょう。

紙とペンを用意して、次にある10の問いに対する答えを言葉にしてください。そして可視化してみましょう。

Q1.物心ついてから小学校を卒業するまでの間で思い出す出来事を3つ挙げてください。

Q2.それはあなたにとって、よい思い出ですか。悪い思い出ですか。その理由は、なぜですか。

Q3.中学、高校時代の間で思い出すことを3つ挙げてください。

Q4.それはあなたにとって、よい思い出ですか。悪い思い出ですか。その理由は、なぜですか。

Q5.それ以降、思い出す出来事を3つ挙げてください。

Q6.それはあなたにとって、よい思い出ですか。悪い思い出ですか。その理由は、なぜですか。

Q7.最高に幸せでエネルギーに満ちている状態を10、最悪の状態を-10とすると、今のあなたはいくつですか。なぜ、その数値を付けたのですか。

Q8.3年後、あなたの生活はどのように変わっていると思いますか。

Q9.5年後、あなたの生活はどのように変わっていると思いますか。

Q10.1~9の問いに対するあなたが書いたものを見て、どのような気づきがありますか。

いかがでしたか。人生の中で、いい時もあれば悪い時もあったでしょう。今回、思い出した経験は、あなたの価値観に影響を与えている出来事です。

また、未来についての問いに、「今よりも、もっと幸せである」という期待感をもつ人もいれば、「さらに悪くなる」「絶望的」と思う人もいるでしょう。

このことから思考のクセに気づくこともできます。書いたものをじっくり眺めながら、心に浮かんでくることを大切にしましょう。価値観や思考のクセを知り、自分の現在地を俯瞰的に捉えることができるとよいですね。

4.大切なものに気づく方法

子ども・家族・両親・友達、どれも大切です。

仕事・子育て・趣味・学ぶ時間・ひとりの時間、これもどれも大切なものですよね。

人生において、役割が変化していく中、すべての大切なヒト・コトを、いつも同じ熱量をもって大切にするのは難しいことです。

どうすればよいかというと、今は何を大切にすることに自分のエネルギーを注ぐのかを考え、それを言語化することです。言語化することで、より自分の中の考えや思いがはっきりします。また、その言葉を使って、周りの人へも伝えることができます。

多様な価値観の世の中において、何を大切にするのか、どこに価値軸を置くのかは、人によってさまざまです。伝えなければ、自分の考えていることは誰にも伝わりません。

ここからは、今のあなたが大切にしたいことに気づくための方法を、いくつか紹介しましょう。

1つ目は、「今、自分にとって大切なこととは」というテーマで、心に思いつくまま、ひたすら書き出していく方法です。マインドフルネスでは、書く瞑想「ジャーナリング」といわれ、自分の心の中を探るうえで有効な手法です。

少なくとも10~15分くらい時間をとり、その間はひたすら集中して行います。頭の中に浮かんだ言葉を、すべて紙に書き出していくのです。単語・文章・擬態語・擬音語なんでも構いません。

心の中にある言葉が出尽くしたら、次はその紙をじっくり眺めてみましょう。そのとき、気になる言葉に線を引いたり、グルーピングしていくと、今まで気づかなかった、あなたの価値軸が見えてくるかもしれません。

時間をおいて繰り返し行うことで、自分が変化していること、また新たな気づきが得られることもあるでしょう。

2つ目は、「対話」です。対話とは、会話とは違います。

話す側は内省をしながら、自分の中にある思いや考えを相手に伝え、聞く側は相手のありのままを受け止め、もっと聞いてみたいこと、気づいたこと、感じたことを伝える、その双方のやり取りを指します。相手からの問い、感想、投げかけなどから、話す側の内省が深まることはもちろん、聞く側も、新たな気づきやヒントが得られるでしょう。

ひとつ気をつけたいことは、対話は心や頭のより深いところで行うため、相手の関係性により、効果が左右されることです。家族や友人、身近な人とやることが難しい場合、カウンセリングやコーチングをダイアログ(対話)形式で行う専門サービスを受ける方法もあります。

対話から、普段意識することのない、自分の内側にあるものを言語化し、新たな自分の価値観や思いに気づくことができるでしょう。

あなたが大切にしたいヒト・コトに気づくことがわかると、心がそこへ集中できるようになっていきます。

5.大切でないことは手放す勇気をもつ

子育て中は親としての役割が大きく、そこに仕事も加われば、毎日大忙しです。

「1人目のときは、自分でなんでもがんばってしまったけれど、2人目になると、少し手を抜くところがわかってくる」と、よく聞きます。

1人目の子育て経験から、どこをがんばればいいのかがわかってくるので、2人目のときは、「子どもの健康や命に関すること以外は、これくらいは大丈夫」という基準ができているので手を抜けるようになる、ということでしょう。

育児書には「がんばりすぎないで」とよく書いてあるのに、1人目のときにすべてをがんばってしまうのは、自分は何を大切にしたいのかが見えていないからではないでしょうか。

たとえば、食事は手づくりで、掃除機は毎日かけて、公園で友達をつくることも必要など、愛する我が子のためには、すべてを完璧にやりたくなってしまう人は多いのです。しかし、それをすべての人がやりこなせるわけではありません。

私も同じで、手を抜くこと、手放すことがわからず、がんばるほど空回りし、心身ともに疲れていきました。そこで、自分に問うてみたのです。「あなたにとって、大切なことは何?」と。

手放してもよいこととは、大切ではないことです。大切なことに集中すれば、自ずと手を抜くところ、手放すことがわかってきます。手を抜くこと、手放すことが、あきらめたような罪悪感をもってしまう人は、「大切なこと」に集中してみましょう。心と体がデトックスされたような心地よさを手に入れられますよ。

マインドフルネスキャリアⓇという手法、ぜひ活用してみてくださいね。

6.なりたい自分を目指し、ありたい自分でいるために必要なこと

自分軸・価値軸を見つけ、自分はこうありたい、大切にしたいと思っても、その両軸は自分にとって正しいものですが、他の人が必ずしもそう思うわけではありませんし、まったく受け入れられない人も出てくるでしょう。

私が職場復帰を決めたときの話です。

私の自分軸である「自分で自分を好きでいられる」ためには、当時はまだ出産で退職する人も多かった時代の先駆者として、仕事で成果をあげながら、子どもの世話もできる限り自分の手で行い、子どもにとって最良の環境を整えることを目指す必要がありました。「仕事・子育てどちらも大切。どちらもがんばりたい」との思いがあったのです。

ですが、時短勤務制度を選択し、限られた時間で働く中で、やらなければならない仕事(=Must)だけでも時間が足りない状態で、不足のない成果を出すところまでで精一杯。やりたい仕事があっても、手をあげにくく、やりたい仕事とやる仕事はどんどん乖離していくばかりでした。

一方、子育てにおいても、子どもの熱が37℃あっても仕事を休むわけにはいかないと、つらそうにしている子どもを預けたり、急な仕事でも対応するべきだと考え、おむかえに遅れたりすることもしばしば。本当は子どもにつらい思いや悲しい思いをさせたくないのに、気づくと会社の人の目、「~するべき」で判断してしまう自分の不甲斐なさを感じていました。

ですが2人目の出産後の職場復帰で、「子育て期」という現在地を意識し、自分にとって仕事も子育てもどちらも大切であることを、あらためて言語化しました。そのことを周囲の人たちにも伝えていくことで、自分軸、そして今の自分の価値軸を大切にしたキャリアを、少しずつ積めるようになっていったのです。

職場には、いろいろな人がいるので、いくら周囲に伝えていっても、受け入れられるとは限りません。だからといって、あきらめたり敵対するのではなく、相手の考えを聞き、自分の中で納得できる落としどころを見つけることも必要なことです。

自分が今、できる最大の成果をあげること、そして、自分だからできることを追求していくことが、企業や組織にとって必要な人材になることにつながります。周りに認められれば、仕事はグッと短時間で効率的・効果的に遂行できるようになり、その分、子育てに費やせるリソースが確保しやすくなるでしょう。

7.軸としなやかさで自分らしいキャリアを実現する

ここまで、自分軸・価値軸といった、「自分」を主語として考えてきました。

軸があれば、多少揺れ動くことはあっても、倒れることはありません。すべてが軸に集約されれば、心ここにあらずの状態になることはなく、迷いがなくなり、ストレスはだいぶ軽減されるでしょう。

それでも仕事と子育ての両方をがんばろうと思えば、毎日が選択の連続。「子どもが熱を出した。でも今から大切なプレゼンテーション。帰る? 保育園の先生に事情を話して、プレゼンが終わってから帰る? 誰かにおむかえを頼む?」など、瞬時に判断しなければならない小さな選択から、「プロジェクトへの参加を打診された。前からやりたいと思っていたこと。これはチャンスだ。でも、プロジェクトに入れば、時短勤務は難しくなるし、出張も入ってくる。どうしよう?」といった大きな選択まで、いろいろな分かれ道がやってきます。

どのような選択をしても、このような場面では2つ、必ずしてほしいことがあります。

1つ目は、自分に向けて。「これが今の私の最善の選択」––––その選択が正しい、間違っているということではなく、自ら考えて出した答えはベストな選択であると、自分で自分を認めること。

2つ目は、周囲へ向けて。「ありがとうございます」「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」などと言葉に出して伝えること。周囲の人たちの協力を当たり前だと思わずに、感謝の気持ちをもつこと。

これらを行うことで、あなたは自分、そして周囲からの信頼を得ることができるでしょう。軸という確固たるものに、このようなしなやかさが加われば、きっと心はいつもエネルギーが満ちている状態でいられます。また周囲との信頼関係があれば、きっとあなたの目指したいことを応援してくれます。なりたい自分になるために、目指したいキャリアを実現するために、軸としなやかさを意識してみましょう。

第三章 仕事と子育て、これだけやれば後悔しない段取り術

1.育児支援制度を上手に活用する

1992年に施行された育児休業法。あれから30年以上経ち、日本の育児支援制度は充実の一途をたどり、今は一部の国を除けば、海外と比較しても恵まれている制度といえます。

しかし、しばしば聞かれるのは「制度があっても使えない」という声。また、日本の育児支援の特徴として、小学校入学前までの制度が充実しており、それ以降は会社に拠るところが大きいという声。「小1の壁」「小4の壁」といった言葉が存在するのは、それが理由です。

親の役割は、子どもの成長段階、またその子どもによって変化します。子どもは小さい大人ではありません。びっくりするほどの早さで、心も体も成長していく可能性の塊です。

この章では、仕事も子育ても自分らしく後悔のない人生を歩んでいくために、働く親として、何を考え、準備をしておけばよいのか、子どもの成長段階を追いながら、お伝えしていきます。この記事では、ママの準備についてフォーカスして書いています。パパの準備については、出版予定の本にて書く予定です。

2.妊娠判明から産休に入るまで

妊娠がわかったら、まずは母子ともに健康に出産を迎えるための準備に入りましょう。

妊娠は病気ではありませんが、おなかの中に別の命が宿っている状態は、普通の状態ではないのです。妊娠期間中の体調は個人差も大きく、何をしても大丈夫という人もいれば、悪阻が終わらなかったり、合併症を発症したり、おなかの子どもの成長が順調でなかったりする人もいます。だからこそ、母親の体と心に目を向け、愛する我が子にとって最善の環境を整えてあげましょう。

父親には体の変化はありませんが、心の変化はあるのではないでしょうか。母親が心穏やかに妊娠期間を過ごすことができるように、寄り添い、これからの生活について、パートナーと共に一緒に考えていきましょう。

また、職場・親・友人など、周囲の理解や協力が必要です。母親が仕事をしている場合、「もしかしたら明日、体調が悪くなって仕事ができないかもしれない……」と考えておき、計画的に仕事を進めることはもちろん、もし自分が休むことになっても、誰かが引き継げるように、仕事の状態をわかりやすくしておく工夫もはじめておきましょう。

なぜなら、子どもが生まれてからは、突然、仕事に行けなくなることがもっと増えるからです。電話でちょっと引き継ぎをすることで、滞りなく業務が進んでいけば、万が一のときにも周囲の人は、より協力しやすくなります。子どもをもって働く場合、必ず周囲の協力が必要になります。周りに気持ちよく協力をしていただけるかどうかは、自分次第。妊娠期間中から周囲の人からの信頼を得ておくことは、その後の仕事のしやすさにもつながっていくのです。

他にも、会社の制度の確認は必須です。「産前産後休暇」「時短勤務」など、法律で決められているもの以外は、会社の裁量によるところが大きいので、自分が勤務する会社や雇用形態なら、どのような制度を活用できるのかを確認します。そのうえで、職場復帰後にどのような勤務スタイルがよいのかを考えはじめましょう。

また出産予定日がわかれば、いつから保育園に預けられるのか予測がつきます。自治体によっても違いますが、都市部においては残念ながら、いつでも好きなタイミングで保育園に入れるわけではありません。多くは年度代わりの4月に向けての募集があり、育児休業期間が残っていたとしても、4月入園を考えざるを得ない場合もあります。

可能であれば、通う可能性のある保育園はすべて見て回り、家から保育園までのルート、保育の内容なども確認しておくとよいでしょう。保育園以外にも、地域のファミリーサポートセンター、保育ママなど、保育サービスはいろいろありますので、自分が住んでいる地域の保育状況を調べ、どのようなかたちであれば、子どもにとっても、自分にとっても、最善の環境で生活できるかを考えておくとよいでしょう。

もしも双方の両親のサポートが受けられそうな場合、どの程度サポートをお願いできるのかを、しっかりすり合わせておくことが大切です。双方の両親それぞれの生活や価値観を尊重しながら、話し合いをしておきましょう。

3.産前産後休暇・育児休暇・休業中

産前休暇期間中に、病院や自治体の「母親学級」「父親学級」などがあれば、ぜひ参加しましょう。

実は、私はママ友という存在が苦手で面倒だ、という意識がありました。産後はどこかのタイミングで職場復帰をするのだし、とくに必要性を感じていなかったこともあり、最初は参加するつもりがありませんでした。

しかし、たまたま日程があうものがあり、「イヤだったら途中で帰ればいいか」くらいの気持ちで参加。なんとなく居心地の悪さを感じたものの、会が終わったあと、「予定日はいつですか」とみんなが聞き合う光景。そこから一気におしゃべりの輪が広がりました。今まで縁のなかった世界ですが、みんなはじめての出産に楽しみと不安を感じているという共通の思いがそこにはあり、グッと距離が近くなったのです。

育児に正解はありません。また、悩むこと、わからないこと、どうにもならないことなど、仕事とはまったく別の価値観や時間の流れで進んでいきます。

ネットを見れば必要な情報は得られる時代。ですが、同じくらいの時期に親となる人たちとの出会いは、きっとこれからの子育て生活を豊かに、そして楽しくしてくれるでしょう。

また、助産師さんや保健師さんといった専門家の人たちは、わからないことはなんでも教えてくださる心強い存在になります。

毎日、仕事をしていた生活から一変。今まで出会うことのなかった違う世界の人と出会い、仕事とは関係のない話をすることはとても新鮮で、新しい世界が開けていくことでしょう。この新しい世界は視野が広がるだけでなく、子どもに同い年の友達をつくってあげること、また、何かのときに助け合える、そのようなつながりにも発展していきます。

育児休職中は、子育てを満喫できる唯一の期間です。仕事のことは少し忘れて、子育てに集中しましょう。

子育ては「五感を使い、多角的にモノを見て、判断する」「複数のタスクを同時進行する」「想定外の出来事が起こっても対処するしかない」という場面に多々遭遇します。こうした経験は仕事に戻ってから、きっと役立つスキルです。正々堂々と自信をもって、子育てに集中してください。

とはいえ、仕事に復職する日は決まっています。赤ちゃんが生まれる前に預け先の目星、得られる周囲の状況のすり合わせはしていても、ここでもう一度、目の前にいる赤ちゃんを見ながら、自分はどうしていきたいのかを考えてほしいのです。

これからの子育て期を、どのような価値軸で生きていくのか。それを言葉にして、パパとママですり合わせをしておくことが、これからの子育て期の我が家の軸になります。

預け先の選定、子どもが病気になったり通常とは違う状況になったりしたときのシミュレーションもすべて、我が家軸で考えれば、自らが選択した我が家らしい子育てと仕事の両輪生活の一歩を踏み出すことができるでしょう。

4.職場復帰してから

保育園などの集団生活に入る月齢によっても違いますが、子どもが感染症をもらってきたり、親と離れた初めての生活から精神的に不安定になったりすることは、仕方のないことです。「熱を出した」「吐いた」と、保育園からの電話で急に退社することはよくあります。しかし、ここで「仕方がない」と終わるのではなく、そのためにできることはやりましょう。

たとえば仕事の場面では、次のようなことが挙げられます。

①仕事は途中で誰かに引き継げるように見える化(他の人が見ても仕事の状況がわかるようにすること)しておく

②フォローしてくださる職場や職場の方へ感謝の気持ちをもち、言葉で伝える

③Give & Takeの気持ちで、自分に少しでもできることがあれば、進んで仕事を引き受ける

子育ての場面では、次のようなことが挙げられます。

①休みの日はゆっくり休み、子どもを過度に疲れさせない
②子どものペースを尊重する
③保育園に預けていること、仕事を続けていることに迷わない

復職後からすぐにこれらを行うことで、少しずつ仕事と子育てのリズムやペースがつかめるようになってきますよ。

5.小学生になるまで

仕事と子育てのベースのリズム上に、成長段階に合わせた子どもの学びの環境を考えるメロディーがのってきます。これには3つあります。

1つ目は、習い事をどうするか。

3歳くらいまでの習い事は親子で行うものがほとんどなので、共働き家庭では難しいです。4歳くらいになると、送迎がかなえば、共働き家庭でも習い事に生かせることができます。また、保育園の中で習い事のようなことをできる園もあるので、保育園を選ぶときに考えるのも一考でしょう。

2つ目は、保育園か幼稚園かの選択。

保育園も幼稚園も子どもを預けるところとしては同じですが、保育園は「家庭において保育できない乳児や幼児を家庭に代わり保育するところ」ことを目的とした厚生労働省の管轄。幼稚園は「教育」を目的とした文部科学省の管轄と違いがあります。

近年では幼稚園の預かり保育も充実してきているので、低年齢のうちは保育園で、幼稚園の年齢になったら幼稚園へ、といったケースも増えてきました。

どちらがいい、悪いではなく、子どもをどのように育てたいのか、仕事の状況を踏まえ、我が家軸にあった選択をするのがよいでしょう。

そして、もうひとつ考えておきたいことは、小学生以降の仕事と子育てのベースです。

法律では、時短勤務は3歳まで、小学校入学までは企業の努力義務なので、小学校入学と同時に時短勤務を使えなくなる人が多くなります。

一方、「小1の壁」といわれるように、小学校の下校時間は早く、子どもの居場所に苦労するケースが散見されます。再度、働き方を見直すタイミングとして、どこに価値軸を置くのかを考えてみることも必要でしょう。

6.小学生時代

時短勤務制度が企業の努力義務となる小学生時代。仕事上では、フルタイム勤務に戻っている人も多いので、仕事上の責任も増してくるでしょう。入学直後の小学1年生、多くの自治体で学童保育が終了する小学校4年生が踏ん張りどころではないでしょうか。

保育園時代の子どもは、周りは皆、親が仕事をしているか、なんらかの事情で家に親がいないという友達ばかり。夏休み・冬休み・春休みといった長期休みがないことにも、1日保育園で過ごすことにも、なんの疑問ももたずに生活をしています。

しかし小学校に入ると、家に親や人がいる家庭もあり、夏休みなど長期休みの存在を知ることになります。両親が働いている家庭の子どもは、長期の休みも休みではなく、学童保育に行くことになるので、それを嫌がるケースもあり、親としては悩ましいところです。

我が家軸を基準にしながら、そこに子どもの状況や様子から考えるしなやかさをもてると、進むべき方向が見えてくるのではないでしょうか。

小学生の6年間で子どもは心も体も大きく成長します。自分なりの考えをもつようになってきます。また、学力の分岐は小学校3年生。ここでつまずくと、その後の学力だけでなく、学びの意欲喪失へもつながっていきます。小学校4年生になれば、中学受験も視野に入ってきます。子どもの話を聞き、様子を見ながら、我が家にとっての最善とは何かを家族で考える必要が出てくるのです。

7.中学生以降

中学生になると、日常的なお世話の部分では、親の出番は少なくなっていきます。

仕事上でも、子どもがいることは、ほぼ考慮されなくなります。しかし子育てが終わるのかといえば、そうではありません。思春期という精神的に不安定な時期において、直接、何かを言ったり、やったりすることではなく、子どもを「見守る」役目がいちばん求められる時期なのです。

子どもに寄り添い、いつでも話を聞ける体制をつくっておく、という親の心の大きさが求められます。また、子どもは冷静に親のことを見ています。親が自分らしく、毎日をイキイキと生きている姿を見せられるようにしたいものですね。

次回に続く

著者プロフィール

江野本 由香

日本女子大学文学部教育学科を卒業後、株式会社リクルートへ入社。人材サービス事業部にて、約6000件の人材採用に携わる。また年間1万件以上の相談、ご指摘を受ける読者相談室、転職サイトの編集部において、日々、働く方のお悩みと向き合う。その間、一男一女の出産、子育て、小学校受験を経験。
2014年、「24時間、365日、時間やリソースを自分でコーディネイトできる生活を送りたい」「20年後も30年後も、誰かの役に立てる仕事をしていたい」という思いと、息子の中学受験が重なり、22年間のリクルート勤務から卒業。1年間の専業主婦生活を経て、ライフキャリアコンサルタントとして独立。
現在、マインドフルネス、アンガーマネジメント、アドラー心理学の勇気づけなどの理論を使った講座やカウンセリング、コンサルティングを行っている。

◆保有資格
国家資格キャリアコンサルタント
GCDF-JAPANキャリアカウンセラー
アンガーマネジメントコンサルタント(日本アンガーマネジメント協会認定)
アンガーマネジメントキッズインストラクタートレーナー(日本アンガーマネジメント協会認定)
アンガーマネジメントティーンインストラクタートレーナー(日本アンガーマネジメント協会認定)
アドラー心理学ELM勇気づけトレーナー((有) ヒューマンギルド認定)
幼稚園教諭・小学校教諭1級免許

◆講演・研修実績
市役所/男女共同参画センター/子育て支援センター/公立・私立小学校/私立中学・高等学校/大学/生命保険会社/アパレルメーカー/ホテルなど

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