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(連載20)アメリカで、生まれてはじめてのファッションショーを開催:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1992年

いきなりですが、サイレント映画の弁士風に!

時は、さかのぼり、1992年!

ロォサ〜ンゼルスのベニス・ビーチというところに、1960年代から、ず〜っと続いている文学系のノンプロフィット団体がありましたぁ〜。

その名を「ビヨンド・バロック・アートセンター」!!

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弁士、突然、終わらせていただきます。

はい。ここです。その昔シティ・ホールだったところ。

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カルチャー系のノンプロフィットというのは、維持するのが大変なのですが、現在も続いていて、もうレジェンドになってる所。

ここに、なかなかアングラですが、ライブなどができる小さなハコがあって、キャパ150人か200くらいかな〜? 

文学系なので、主に、詩の朗読がメインで、当時は他に実験音楽や映画などをやっておりました。なので、会場の設備はいたってシンプル。

「詩の朗読」というのは、日本ではあまりポピュラーでないですが、まあ、歌会みたいなものでしょうか? ただ、日本のように、かしこまってなくて、アメリカですから、カフェとかバーとかで、誰でもすぐに始められて、参加できるようなカジュアルなものです。

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50年代のビート・ジェネレイションに始まったカウンター・カルチャーの流れが、こういう詩の朗読の文化を定着させたのでしょうか? 

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DIY精神(do it yourself) で、自分らの思いを叫びまくる!というのは、作家だけでなく、70年後半のパンク・ミュージックの人たちにも繋がっってゆきました。

つまり、社会の既成概念に挑戦して、新しい考え方を作り出すエネルギーを世代をまたいで紡いできたところでもあります。。。。

さてさて、

ここで、やっと前回からの続きで、自分の話にもどしますと。。。。

どこで自分のイベントをやるのかという、「場所」が私には、非常に重要でした。ナイト・クラブからのお誘いは多くありましたが、クラブでファッションショーをやるって、普通ッチャー普通。。。。

派手な服。キラキラした服。すごーい。変わった服、わ〜!で終わり。

ーーーーーーーーーーじゃなくってぇーーーーーーーーー。

もっと深いところまで進みたい、ので、ありました。

なので、このビヨンドバロックのような、エッジを知ってる人達が集まるところ。

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このスペースで、私のつくる服の、本とかテキストとかの題材の作品を集めて、ランウェイをつくり、そこでモデルに歩いてもらうというアート・パフォーマンス、つまり、「ファッション・ショー」なるものをやったら、おもしろいのではないか?と、当時の私は、考えた。

普通に考えたら、これは突拍子もないアイデアだったと思います。

でもワタクシ的には、80年代、ロヲザ・ルナティックの時に、詩に合わせて服をつくっていたので、至極、自然な流れだった、、のです。

詩に合わせて服を作る。。。。

服から詩をつくる。。。

なーんか、自然じゃね?ってな、もんですよ。笑

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で、夫のトッシュがそのビヨンド・バロックで、映画イベントを定期的にやっていたつながりもあって、

さっそく、ビヨンド・バロックの人にトッシュから、コンタクトしてもらった。

ファッション・ショー????

ここで???

詩とか文字とかがテーマの?

そういう変わりネタは、他にやってる人がいないし。

即。。。

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タイトルは、ずばり「詩人の為の服」にしました。

で、しかしながら、ファッションショーは当然ですが、一人ではできませんよ。。。。

時代は、90年代はじめで、ゲイやレズビアン、 いわゆる今でいうLGBTの人たちが、政治的な公平を叫び始めた頃で、私の周りにも、そういうアクティブな活動をアートと結びつけてやっている人たちがたくさんおりました。

LGBTの人達は、私のいわゆるアジア人の自分、アメリカ社会の中での、マイノリティーというか (中南米系やアフリカ系もそうですが)何か、アウトサイダー的な感覚を共有するものがあったのでした。)

そして、たまたま知り合ったドントという男性に、私のこのアイデアを話してみたら、すぐに、気にいってくれたんです。

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ドントは「バング・マニフェスト」という集団=コレクティブをまとめているライターで、なんせ、集団なので、いろんな人が在籍?してて、何かプロジェクトで、こういうのがあるよ〜と声をかけると

うわ〜〜!面白そう!!やりたい!やりたい!!と、興味を持った人がすぐ集まって事を成すという、超シンプルなシステム!

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早速、モデルもLGBTQ系の人たちがすぐに集まりましたよ。

みんなキャラが濃い!!てなもんじゃないス!!笑

こんなかんじです。私の作ったレタージャケットを着てるモデル。

マウロ・アラゴン(グラフィック・デザイナー)

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アルファベットのすべてがマジックテープで、くっつきます。なので、いろいろな言葉が作れるように仕立てました。

他にキャラ濃い系モデルの代表格!!

ルイス・ファルファロ。(シアターの演出家)

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丸いコルセットで?会話のような言葉がつながっています。


私のアイデアは、昔ながらのオートクチュールのファッション・ショーみたいに、モデルが番号を持って、ランウェイを歩いて、アナウンサーみたいなMC、ナレーターがいて、服の説明をやるという事でした。

で、その服の説明をドントが書いて、それを会場で読み上げる事になった。なんせ、集団の名前が「マニュフェスト」というくらいですからね、こういうのを書くのは、まかしとけっ!って感じでしたよ。笑

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このナレーションがまた、ファッションとは何か? 服を着るというのは、どういう事なのか? などを、極めて哲学的というか、観念的というか、はたまた、詩的というか、単語の遊びやらをふんだんにまぜたもので、たとえば、「テキストとテキスタイル」を混ぜたり、「ドレスとアドレス」を引っ掛けたり。

翻訳するのは、難しいのですが、たとえば、

言葉を着る、どういう機会に?
ファッションにそれを書きとらせようではありませんか?
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これはスルスルと紙がでてくる回るローラーがついてます。


その服のページに書かれているのは、「自分はただの小道具だ」という事。
だったら、ただ、ページをめくればいいだけの話。
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これらの文章は、思想家・哲学者のバルトとかクリステヴァとかの言葉が出てきたりして、かなり難しいので、当時の私はおそらく分かってなかったし、ぶっちゃけ、今も完璧にはわかっていないと思う〜。苦笑

でも当時の私は、もともと英語自体が自国語ではないし、そういうものを一字一句理解してなくても、「全体感」みたいなものの方が重要で、「服にまつわる言葉」「まとわりついてくる言葉」として、ドントが考えてくれたナレーションは、(わからなくても)最高で、感激しました!!

それから、音楽は、先に申した集団の中に、エレクトロニックで実験的なノイズ作っているアーティストたちがいて、彼らがやってくれることになりました。

これが当時の招待状とパンフレットです。


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左のは数ページの本のようになってます。

自分で、コピーして全部、作りました。

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予告も新聞がとりあげてくれました。このモデルは夫のトッシュ。

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当日は、満員御礼となりました!!!!


でも、実は、事前にファッション関係の人などから電話があり、「詩の朗読会なのか、本当のコマーシャルなアパレルのファッション・ショーなのか?」と、しつこく確認されたらしい。

結果、ファッション業界の人からは、一切無視されたファッション・ショーとなりました。苦笑

つまり、私が一番、狙ってたところ、アートとファッション両方の隙間は、埋まりませんでした。

東京だと、アートとコマーシャル・アートが、重なっている部分も多く、両方に興味がある人がたくさんいますが、アメリカでは、カテゴリーが完璧に分かれている。。。。。

しかし、一方、アメリカだと、お金をかけずに、こういうイベントが出来る!!!というのは、素晴らしい事だとも思いました。

東京だったら、場所代や、チケットはこちらが買い取るなど、システムがはっきりしていて、ある程度の予算がないと無理ですが、このファッション・ショーは、もちろん、これでお金は入ってきませんでしたが、音楽、モデル、ヘアメイク、会場、運営もすべて、無償です。

これはアーティストにとって、ありがたい事!!

こんな形で発表する事に自信が持てたし、このやり方でこれからも何年かに一回、作った作品をまとめて発表していけたら、、、、、と。固く決意をしました。

次回はこのイベントでビデオを撮影してくれた女性が、短編映画を作っていて、それに誘われたお話です。

読んでくださって、有難うございました!!





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