(連載18)イメージを閉じ込めた「箱のドレス」とハリウッド・セレブが接触した話:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1991-1993年
着る人によって、そのたびに雰囲気が変わるような服じゃなくて、それ自体が強いイメージを持った服に挑戦したい!
衣服自体が着用しなくても、成り立つようにしたい。と思った結果、
身体がはいるような箱のドレスってのは、どうか?
箱だとそれ自体で、立脚しますし。
しかし、箱となると、縫製の技術とはまったく違い、必要になるのは、大工仕事のようなテクニックです。が、すでに、ハンドバッグの制作をはじめていて、いろいろ学び始めていたので、それを生かしてやってみました。
それで、作ったのが、このような作品群です。
室内遊戯1
手前が透明のプラスティックでカバーされてます。ショーウィンドウのような感じです。
後ろにジッパーが付いていて、もちろん、着られます。
あ、もちろん、着たければ。の話ですがね〜。苦笑
室内遊戯2
庭用のドレス
私のサイズで作りました。
箱とバッグのお揃い!
脇が開いて、中にものが入れられます。
これが、着用したところです。
1993年に、初めて「ルンナのサロン」というタイトルで、個展をやりました。その時のギャラリーのオーナーの名前が、スー・スペイド。
なので、股間にスペードをあしらってみました。笑
ここで、いきなりですが、「瑪瑙ルンナの格言シリーズ」
はい。ありがとうございます。
これからもこの格言シリーズ、続けようかなと思ってます。読者の方から、褒めてもらったので。(ひとりですが)笑
ところで、このスタイルで、公園を歩いていたら、またしても公園の警備員から、「何をやってるんだ?」とお声がかかりました。(これで、呼び止めは4回目)
私は、とっさに「アートを勉強している学生で、今その撮影をやっています。」というと、「そうか。」と、納得して去っていきました。
ここで、またいきなりですが、「ルンナからの実践できる学びのメモ」
作品に話をもどしましょう。
また、「箱のアイデア」を発展させて、こんな風なものも作りました。
くるくる回しのドレス
脇のハンドルを、クルクル回すと、イメージがスライドしてゆく。究極のアナログであります。
後ろ姿もなんか、間抜けでかわいいでしょ?。笑
それから、これ。
フレームのドレス
もともと頭部は扉になってて、開けると顔が出てくるようになってました。
このドレスには実は、大きなエピソードがあって、日本のコマーシャルのワンシーンで、これが撮影されたのでした。。。。
この頃ですね、つまりは90年代前半から、まあ半ばにかけてですが、
私は、(ロサンゼルスで)日本向けのコマーシャル・プロダクションの撮影のお手伝いをしておりました。
本格的なアメリカのプロダクションだったら、まだ英語もおぼつかなくて、自信がなかったけど、日本人のスタッフが多い仕事の現場だったのと、撮影のメインのスタッフは、すでに決まっていて、服のスタイリストとしての、私の仕事は、ほとんどが群衆のエキストラの服や、小さいカットのあまり見えない人々の服でした。
私は過去に、仕事中毒になった嫌な経験があったので、このアシスタントくらいの位置が丁度よかったし、ひとつの仕事が、一週間くらいで終わるので、自分のアーティストの活動と、仕事をうまく両立させる事ができ、本当に、ありがたい環境でした。
それにまた、私のようなお手伝いの身分でも、仕事中は、歴史のあるハリウッドの衣装の倉庫に、出入りできたのです!
体育館くらいの馬鹿でかい倉庫に、床から天井まで、昔からのハリウッド映画の衣装がズラ〜〜〜と、時代で区切られていたり、デザインによって分かれていたり、シーンの設定によってまとめてられていたりと、さすがのハリウッドです!!
もう、初めてここに行った時は、一着ずつ手に取っては、うわぉ〜!といちいち、叫び声をあげて、そこいら中を走り回りました。ほんとに、ここに住みたいと思うくらい、圧巻でした!!
で、そんな、こんなで、っと。
ある日、お仕事の電話があり、、、
この日本のケイタイ電話のコマーシャルで、出演するのが、なんと!
ブラッド・ピットだったんです。。ほほ〜!
ストーリーは彼がクレイジーなパーティーに行くというシーンで、そういう「クレイジーな服を20着くらい?用意する」というような、私にしたら、もう、パーフェクトな仕事でした!
ま、結論から言うと、そのパーティーの衣装の中に、私は、ちゃっかり、先程の自分の作品「フレーム・ドレス」を混ぜておいたのでした。でへへ。笑
この頃のブラピは、彼の人生の中で、おそらくモテ度はピークだったのではないでしょうか? こんな頃ですよ。
まだ独身でしたしねー。その頃のライバルにジョニー・デップがおりました。
私はもともと、セレブには興味がなく、どうでもよかったですが、しかし、まあ〜、誰がなんといってもハリウッドの王道の方ですからねー。
で、その撮影現場のパーティーのシーンなのですが、集まった女性、見るからに華やかなモデルさん(女性)その数20人以上。
まあ、想像してみて頂きたいのですが、モデルさん=無茶苦茶 美人な人たちが1箇所に20人以上ですよ? 右を向いても左を向いても綺麗な人しかいません。
その派手さは普通じゃなかったです。。。。
そして、全員が、もちろんその道のプロなので、大きい声では言いませんが、
ブラッドは、もう、来てるの? どこにいる? 今、どこにいるの?と。
彼をひと目、見ようと、そのタダでさえ派手な目がギラギラ!!していた。。。
こちらも想像してみてください。
全員美人で全員がギラ目!!!
ちょっとトイレに行くふりをして、チラッと出入り口の方をのぞいたり、みんなヒソヒソと、情報を交換しあっていました。電話番号をこっそり渡すとかそういう事を企ててる人もおりました。苦笑
私はといえば、まあ、もともと興味がないのと、そういう周りの変にエキサイトしてる感が、なんか、アホらしくも思えて、そういう華やかなバックルームからは、は距離を置き(まあ、もともと私はモデル部屋ではないので、当たり前ですが。汗)一緒に仕事してたスタイリストの相棒と二人で、セットの中のごちゃごちゃしたところで、黙々と衣装や小道具の整理しておりました。
そしたら、「ちょっと、失礼!」と、後ろから声がして、その空気が動いた。
そして、私の腰のあたりに柔らかい感触を感じと同時に、人がゆっくり、通り抜けて行きました。
え??
今の。。。。もしかしてっ???
そうです!!!!!
それが、あのブラッド・ピット様だったのです。
イェイ〜!僕だったのさ〜〜
私はとっさに振り向きました。
そしたら、一緒に仕事してた相棒が、
この重大な一瞬を一部始終を見ていたらしく、、
オー・ マイ・ ガーっ!!
即座に、私は、その相棒に叫んだ!
ね? 今の、見たよね? 見てたよね?
と。
そしたら、彼はこんな顔でゆっくり、うなづいた。
私は繰り返しました。
ね?触ったよね?
今、触ったよね? (自分の腰をゆびさして)ここんとこ、さわったよね?
って、何回も繰り返して聞いたら、
彼はまだ、口をふさいだまま、何回も首を縦にふりました。
2回目
3回目
そして
その服はもう金輪際、私がその時に着てたブラウスは洗わない方がいい
と言いました。爆笑
その時以来、この理由だけで、一瞬にして、
私はブラピの大大大ファンになったのです。(今でも)
まさに運命の瞬間でした。
そして、その後の実際の撮影でも、彼が、先ほどの「フレーム・ドレス」の顔の部分を開けるアクションがあったりして、私とブラピの関係は、もちろん、ご本人とは関係なく、自分の中でもっと濃くなったのでした。。。。
そして、もちろん、私はこのハリウッド・セレブとの肉体的接触ネタをみんなに言いふらしましたよ!(今だに、こうやって!!苦笑)
当時もかなり、しばらくの間、興奮冷めやらズ!!
夫のトッシュや友達にフレまわるだけではおさまりませんでした。
その頃、英語の勉強の為にロサンゼルス・シティ・カレッジで、英語のクラスを取っていたのですが、宿題で、「自分の国では、お正月をどうすごすのか?を英語で書く」という、英語のクラスでのありがちな、退屈な課題が出ていたのです。
しかし、私は、そういうどうでもいいテーマでは、まったく書く気がしなくて、日頃だと、ちゃんとルールを守る典型的A型の小心者ですが、なんせ、発動条件がそろうと、かなり図太く突っ走る自分でありました。
で、今、自分が書きたいテーマは、もうこれしかない!と思って。
タイトルはもちろん、
「アイ アンド ブラッド・ピット」
そして、この時の出来事をすべて、書きちらして、提出しました。
そうしたら!!先生は、コレがえらく気に入った!!
私のパッションが伝わったのでしょうか、それを、クラス全員の前で朗読する羽目になったんですよー。笑
タイトル イズ アイ アンド ブラッド・ピット。。。。
ワン デイ。。。。。
読み終えた時は、クラス中が拍手喝采でした!!
パチ!パチ!パチ!パチ!!!!
以上、 私とブラッドとの肉体接触の話は、これでおしまいです。
今回は、むちゃくちゃ、脱線話の方が多くなっちゃいました。すみません。
次回はまた作品の話に戻ります。
読んでくださって、有難うございました〜。
L*
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