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ナナフシ・ナイトクラブ【短編集4】

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2024年6月の記事一覧

【短編】月曜日は私の両手に

【短編】月曜日は私の両手に

月曜日を私の胸の中に入れて暖めたい。

私が月曜日を愛する理由を説明しなければならない。そう思って語り始めたら脳の中を重いずっしりしたものが歩き回って邪魔して、結論、私は月曜日が大好きなのだと説明したら隣の白髪のおっちゃんは歯抜けの口を見せて、「なんだそれ」と言った。

月曜日は私にとって全てが始まり、金曜日の19時以降は私にとって全てが終わる時間なのだ。ずっしりとした体に、つんつんした髪の毛を備

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【短編】停滞した週末

【短編】停滞した週末

超くだらない話をして、私の明日は超くだらないと確信した。道すがら、転がっているペットボトルには汚れが目立ついろはすのラベルが絡みつき、少々視線をあげれば、おそらくセブンイレブンから出てきた男の生脚が見えた。すね毛がぼーぼーだった。見たこともないのに、どこにでもあるような視界で、私は私で明日もくだらないのだなと思った。

帰ってみたら部屋は意外に整っていた。そうだ、私は今日1日を素敵な特別な日にしよ

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【短編】ロンリネス・ケバブ

【短編】ロンリネス・ケバブ

ビルの入り口にはケバブ屋のキッチンカーがあった。
そこには既に数人が並んでいて、僕と先輩は辟易した顔でその列に加わる。
先輩は腕時計を見ながら、次のミーティング開始時間を気にしているようだ。
僕は彼女を見ながら人差し指の先っちょをさすっていた。今朝から妙に痛む。
ケバブ屋のラインナップには普通のケバブ以外に、ケバブ丼とケバブ弁当があり、ソースを選ぶことができた。
先輩は甘口のソースにして、僕はそれ

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