ゲーデル

ゲーデル

記事一覧

個室検証【禍話リライト】

Sくんは、久々に大学時代の友人たちと痛飲し、泥酔した状態で町を歩いていた。 大学時代の親友の家で、これから残ったメンバーで飲み直そう!と気炎を上げていたのである。…

ゲーデル
3日前
10

助言はしなかった【禍話リライト】

数年前のある夏の日、アラフォーのRさんは、同棲している彼女と一緒に、夜中にコインランドリーに行ったのだという。 そこは24時間オープンのコインランドリーで、Rさんと…

ゲーデル
3日前
13

掌編怪談 8編【禍話リライト】

お父さん!?Hさんの実家では、二階にHさんの、一階に高齢の両親の寝室がある。 ある夜、Hさんが寝ていると、一階から大きな声が聞こえてきた。 「おとうさーん!!おとう…

ゲーデル
7日前
29

少女の絵の記憶【禍話リライト】

30代前半のEさんから聞いた話である。 彼は今、地元から離れて仕事をしているのだが、夏休みには実家に帰っているという。 その年、帰省したEさんに母親が「こんなのが届い…

ゲーデル
9日前
19

大丈夫ですよ!【禍話リライト】

その日、Dくんは、夜に近所にある市立体育館の隣の道を歩いていた。 11時頃のことだったそうで、他には前を見ても後ろを見ても誰もいなかったという。 それもそのはずで、…

ゲーデル
9日前
19

とある高校の話 2題【禍話リライト】

1 屋上無人会議とある学校の話だ。 よくある話ではあるが、その学校は、屋上に行けないようになっている。 危険だから、というのがその理由で、実際屋上には柵のようなもの…

ゲーデル
9日前
15

ネンネシナ【禍話リライト】

1 待受画面 平成の話である。 某大学でのこと。 その日は夏休み明け初日で、クラスの仲の良いメンバーが久々に集まって、学食で昼食を食べていたという。 十人弱のメンバ…

ゲーデル
13日前
33

出会い頭【禍話リライト】

昼間のこと。 Tくんが田舎道を車で走っていると、とある交差点で大きな看板が目に入った。 信号で止まることなく直進したため、一瞬しか見えていないが、どうやらそこで起…

ゲーデル
13日前
20

無人家【禍話リライト】

短い話。 九州北部のある街の、線路沿いから一つ入った細い道でのこと。 その道沿いには、立派な邸宅が一軒建っていたのだが、空き物件だった。 門には不動産屋の看板が下…

ゲーデル
13日前
20

かぞくの家【禍話リライト】

方角の悪い部屋がある家の話である。 10年ほど前、Kさんが大学生の頃のこと。 地方から出てきて、都会の大学に通うために一人暮らしを始めたKさんは、勉学にサークルにバ…

ゲーデル
3週間前
23

まだ飲むぞ!【禍話リライト】

Jさんは、アラフィフの紳士である。 落ち着いた口ぶりで物腰も柔らかなJさんは、昔から仲間内のまとめ役として重宝がられていた。 そのJさんが、仲間達と行った旅行で奇妙…

ゲーデル
3週間前
24

こっくり中の写真【禍話】

こっくりさんは、しないほうがいい。 ガラケー全盛期の話だ。 携帯で写真を撮影できて、他人に送れることがまだ物珍しかった頃だった。 Iくんの通っている学校では、こ…

ゲーデル
3週間前
20

廊下の絵画【禍話リライト】

最近の話。 Gくんは、親友のHと一緒に、自身の彼女のマンションに遊びに行った。 Hと彼女ももちろん顔見知りで、しばしば三人で集まって飲んだり遊んだりしていたのだとい…

ゲーデル
3週間前
22

いる奴来た奴【禍話リライト】

Fさんという男性から聞いた話だ。 ある日、彼が自室で寝ていると、夢を見たのだという。 夢の中でFさんは、自室のテーブルの前で寝っ転がって、誰かと話をしていた。 パソ…

ゲーデル
3週間前
20

さわるなの茶碗【禍話リライト】

Eくんが、生涯で唯一の心霊恐怖体験として語ってくれた話だ。 高校生のころ、Eくんのおじいちゃんが、入院することになった。 死に至るほどの重篤な病ではなかったのだが、…

ゲーデル
4週間前
25

隣の讃美歌【禍話リライト】

社会人のDくんから聞いた、最近の話である。 Dくんの会社の後輩が、最っ越したのだという。 彼は、元々学生時代から同じアパートに住んでいて、卒業後もそのままズルズル…

ゲーデル
1か月前
23

個室検証【禍話リライト】

Sくんは、久々に大学時代の友人たちと痛飲し、泥酔した状態で町を歩いていた。
大学時代の親友の家で、これから残ったメンバーで飲み直そう!と気炎を上げていたのである。
しかし、当人の思っていた以上に酔いが回っていたようで、Sくんは歩きながら猛烈な吐き気を催していた。

と、そこにちょうどタイミングよく、公園のトイレの明かりが見える。

「ちょっとトイレ行くわ」

友人たちにそう断って、トイレへと向かう

もっとみる

助言はしなかった【禍話リライト】

数年前のある夏の日、アラフォーのRさんは、同棲している彼女と一緒に、夜中にコインランドリーに行ったのだという。
そこは24時間オープンのコインランドリーで、Rさんとしてはこんな夜中に利用している人などいないと思っていたのだが、店に入ってみると先客がいた。
30前後の、少し薄汚れた格好をしたヤンキー崩れのような見た目のカップルだった。

……まあ、別にいいか。

確かに一瞬驚いてしまったが、こちらも

もっとみる

掌編怪談 8編【禍話リライト】

お父さん!?Hさんの実家では、二階にHさんの、一階に高齢の両親の寝室がある。
ある夜、Hさんが寝ていると、一階から大きな声が聞こえてきた。

「おとうさーん!!おとうさーん!!」

何か事故が起きたのか?!
最悪の事態を想定し、一階に駆け下りる。
だが、Hさんが一階に着くと同時に声はぴたりと止んだ。
両親の寝室を確認するが、誰もいない。
そこでHさんは思い出す。
両親はその日、町内会の旅行で家を留

もっとみる

少女の絵の記憶【禍話リライト】

30代前半のEさんから聞いた話である。
彼は今、地元から離れて仕事をしているのだが、夏休みには実家に帰っているという。
その年、帰省したEさんに母親が「こんなのが届いてるけど」と、一枚のはがきを手渡してきた。
見ると、高校時代のクラス会のお知らせだった。
2日後に開催されるということで、懐かしい気持ちになったEさんは、せっかくだから行こうかな、と幹事に連絡を入れ、クラス会に参加することにしたそうだ

もっとみる

大丈夫ですよ!【禍話リライト】

その日、Dくんは、夜に近所にある市立体育館の隣の道を歩いていた。
11時頃のことだったそうで、他には前を見ても後ろを見ても誰もいなかったという。
それもそのはずで、体育館前の通りから二つ向こうが大通りになっていて、店舗などもあり、車も歩行者も自転車も、そちらを通るのが常だったからだ。
Dくんも御多分に洩れず、いつもは大通りを歩いていたのだが、その日は気分の問題もあって、人も車も夜間にはほとんど通ら

もっとみる

とある高校の話 2題【禍話リライト】

1 屋上無人会議とある学校の話だ。
よくある話ではあるが、その学校は、屋上に行けないようになっている。
危険だから、というのがその理由で、実際屋上には柵のようなものも存在していなかった。
だからCくんも、屋上に行ったことはなかったのだが。

ある時、詳しい理由はすっかり忘れてしまったが、部活の顧問の先生と、部員たち数人とでCくんは初めて屋上に行く機会があった。
特別教室がたくさん入っている、第二校

もっとみる

ネンネシナ【禍話リライト】

1 待受画面

平成の話である。
某大学でのこと。
その日は夏休み明け初日で、クラスの仲の良いメンバーが久々に集まって、学食で昼食を食べていたという。
十人弱のメンバーがワイワイと夏休みの思い出を開陳しあっている中で、Oさんは同期のNくんが妙にウキウキしていることに気づいた。

あいつ、随分浮ついてるなぁ。
なんかいいことあったのかな?

Nくんはコロコロとした小太り体型で、クラスのいじられキャラ

もっとみる

出会い頭【禍話リライト】

昼間のこと。
Tくんが田舎道を車で走っていると、とある交差点で大きな看板が目に入った。
信号で止まることなく直進したため、一瞬しか見えていないが、どうやらそこで起こった事故の情報を求める看板だと思われた。
とはいえそれ自体は珍しいものではない。
歩行者もほとんどいないだろうし、交通量も多くなく、見通しが悪いわけでもないこの交差点でも事故が起きることなんてあるんだな、と思っただけだった。

ところが

もっとみる

無人家【禍話リライト】

短い話。
九州北部のある街の、線路沿いから一つ入った細い道でのこと。
その道沿いには、立派な邸宅が一軒建っていたのだが、空き物件だった。
門には不動産屋の看板が下げられていて、そこにはデカデカと「空き物件」と書かれていた。
さらにその下には、お問い合わせ先としてその不動産屋の電話番号と担当者名が書かれていたのだという。

ところが、昨年のこと。
Pさんが久々にその道を自転車で通ると、以前まで不動産

もっとみる

かぞくの家【禍話リライト】

方角の悪い部屋がある家の話である。

10年ほど前、Kさんが大学生の頃のこと。
地方から出てきて、都会の大学に通うために一人暮らしを始めたKさんは、勉学にサークルにバイトと、いろいろな活動に一生懸命取り組み、色々な人と知り合って充実した日々を送っていたのだという。
そんなわけで、1年目はがむしゃらに過ごしていたKさんだが、2年生になって若干生活にも余裕が出始めた。
生来面倒見がいいたちだったので、

もっとみる

まだ飲むぞ!【禍話リライト】

Jさんは、アラフィフの紳士である。
落ち着いた口ぶりで物腰も柔らかなJさんは、昔から仲間内のまとめ役として重宝がられていた。
そのJさんが、仲間達と行った旅行で奇妙な体験をしたことがあるといって、教えてくれた話だ。

昭和の頃。
Jさんは仲間達と旅行に行き、地方の民宿に泊まることになった。
宿は古びていたが非常に大きく、にもかかわらず格安だった。
宿の人の話では、温泉ブームの頃はその民宿の周辺一帯

もっとみる

こっくり中の写真【禍話】

こっくりさんは、しないほうがいい。

ガラケー全盛期の話だ。

携帯で写真を撮影できて、他人に送れることがまだ物珍しかった頃だった。
Iくんの通っている学校では、こっくりさんとは呼ばれていなかったのだが、ある種の降霊遊びが流行っていたという。
「マーメイドさん」という、カタカナなら何でもいいのかと呆れかえるような名称で呼ばれていたその降霊遊びは、表立っては禁止されていなかったものの、やっているとこ

もっとみる

廊下の絵画【禍話リライト】

最近の話。
Gくんは、親友のHと一緒に、自身の彼女のマンションに遊びに行った。
Hと彼女ももちろん顔見知りで、しばしば三人で集まって飲んだり遊んだりしていたのだという。

その日も酒を飲みながらワイワイやっていたのだが、ペースが早く、あっという間に最初に買い込んでいた分の酒がなくなってしまった。
そこで追加の酒を買うために、じゃんけんで買い物に行く人間を決めようということになったそうだ。

じゃん

もっとみる

いる奴来た奴【禍話リライト】

Fさんという男性から聞いた話だ。

ある日、彼が自室で寝ていると、夢を見たのだという。
夢の中でFさんは、自室のテーブルの前で寝っ転がって、誰かと話をしていた。
パソコンを開いてYoutubeなどをだらだらと流しつつよもやま話をしていたのだが、そのうちだんだんと奇妙な気持になってきた。

おかしいな……これ、夢じゃないかな?

そんなふうに思い始めたらしい。
なぜかというと、部屋が真っ暗だったから

もっとみる

さわるなの茶碗【禍話リライト】

Eくんが、生涯で唯一の心霊恐怖体験として語ってくれた話だ。
高校生のころ、Eくんのおじいちゃんが、入院することになった。
死に至るほどの重篤な病ではなかったのだが、元々健康な人で、病院にかかったこともない人だったので、当人以上に周りが狼狽していたのだという。

「治るって言ってもね、不測の事態はありうるよ」

そんなことを言って、休日も両親とおばあちゃんは朝から病院に向かった。
その日、家には自分

もっとみる

隣の讃美歌【禍話リライト】

社会人のDくんから聞いた、最近の話である。

Dくんの会社の後輩が、最っ越したのだという。
彼は、元々学生時代から同じアパートに住んでいて、卒業後もそのままズルズル惰性で過ごしていたのだが、家賃も安かったためなかなか引っ越しに踏み切れなかったらしい。
だが、ずっとご好意に甘えているのは大家さんにも悪いし、流石に周りも学生だらけで居心地が悪くなってきた。
だから、引っ越すことにしたんです……そう後輩

もっとみる