いる奴来た奴【禍話リライト】

Fさんという男性から聞いた話だ。

ある日、彼が自室で寝ていると、夢を見たのだという。
夢の中でFさんは、自室のテーブルの前で寝っ転がって、誰かと話をしていた。
パソコンを開いてYoutubeなどをだらだらと流しつつよもやま話をしていたのだが、そのうちだんだんと奇妙な気持になってきた。

おかしいな……これ、夢じゃないかな?

そんなふうに思い始めたらしい。
なぜかというと、部屋が真っ暗だったからだ。
いくら自室とはいえ、人が来ているにも関わらず、部屋が真っ暗なまま話すことはないだろう。
更に、そのもう一人の誰かは、座椅子に座って話しかけてきているのだが、自分は寝っ転がってだらだらくっちゃべっているのだ。

うん、やっぱおかしいな。
それに……こいつ知らないやつだ。

話は盛り上がっている。
それに、共通の話題もあるようで、話が尽きない。

気持ち悪いなぁ。

そう思っていた、その時だ。

ピンポーン

インターホンが鳴った。

「俺、出てくるわ」

その、座椅子に座った知らない奴が立ち上がる。
その時、月明かりに照らされてその人物の顔が見えた。

見たことのない顔だった。

やっぱ知らないやつだなぁ。
これ、夢だよな。

そいつは部屋をスタスタと出ていくと、勝手に玄関のドアの鍵を開けたようだ。
カチャ、という音が聞こえてくる。
続いて誰かが部屋に入ってきたようだが、入ってきた奴は無言で声は聞こえない。

「おお、久しぶりだなぁ」

最初に座っていた奴は親し気に話しかけるが、後からやってきた奴はそれに何も答えない。

なんだぁ?

首をひねっていると、そいつらが寝室に入ってくるあたりで、急に目が覚めた。

……あれ?!

Fさんはびっくりして飛び上がってしまった。
夢の中と同じ位置に寝転んでいたのだ。
ベッドからは距離がある。

普段はこんな寝方しないんだけどなぁ……
気持ち悪いな。

そう思いながら部屋を見回すと、インターホンの受話器が下に落ちているのに気づいた。
むろん、寝る前には受話器がかかっていたのをおぼえている。
自分が寝ぼけて出たのかもしれないが、少し気持ち悪い。
Fさんは酔っていなかったし、そもそも寝る前に酒も入っていない。
だが、あまりにも怖いので、そのあとに酒をしこたま飲んで寝たそうだ。


翌日。
Fさんは仕事が休みだった。
前日の夜のことを思い出すと、身震いがする。
気持ち悪いから外にでも出て、気晴らししようかな……そう思って玄関のドアを開け、振り返った時に、気づいた。

自分の家のドアのインターホンに、血のようなものがうっすらついている。

Fさんはそれを家にあった除菌シートで拭いて、コンビニのごみ箱に捨てたのだそうだ。

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この記事は、「猟奇ユニットFEAR飯による禍々しい話を語るツイキャス」、「ザ・禍話 第15夜」の怪談をリライトしたものです。原作は以下のリンク先をご参照ください。

ザ・禍話 第15夜
https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/623468680
(4:08頃〜)

※本記事に関して、本リライトの著者は一切の二次創作著作者としての著作権を放棄します。従いましていかなる形態での三次利用の際も、当リライトの著者への連絡や記事へのリンクなどは必要ありません。この記事中の怪談の著作権の一切はツイキャス「禍話」ならびに語り手の「かぁなっき」様に帰属しておりますので、使用にあたっては必ず「禍話簡易まとめwiki」等でルールをご確認ください。

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