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店舗は死なず(2) 〜 Barnes & Nobleが返り咲く時 N109

 Amazon.comの登場以来、BNの倒産を皮切りに世界の書店は業績の下降と倒産が相次いでいる。オーナーのJames Dauntはまだ全然諦めてないようで店舗の価値を追求していく模様だ。

 彼が主張するように店舗の魅力はなんと言ってもSerendipity(偶然の思わぬ発見)だ。ウインドウショッピングがわかりやすい例だと思うが、購入する行為と探す行為と妄想する行為は全て別である。もちろんネットでもSerendipityはあるが、実際にタッチしてみるのとは違う。 

 コロナのこんな状況なので小売の方々はEC一辺倒に向かっているが、私はあえてディズニーランドを作る話を持ちかけている。それは店舗をエンターテイメント会場にして買うとか買わない以前に楽しむ場所にすることだ。それをデジタルでやって見ようという試みだ。最近日本でも出てきたLululemonなんかはわかりやすい例だが、店舗はブランドを伝えるための場所であり、そして伝道師と仲間たちとmeet upするための場所だ。

 そもそもSPAのようにメーカーと小売が統合しているとオンラインもオフラインも敵も味方も関係がなくなる。どう商品を購入してどうデリバリーされるかだけの違いだ。だからSPAはこちらにいち早く向かっているし、バーバリーみたいなところは三陽商会みたいな代理店と契約を切りはじめている。  

 このアパレルのSPAの動きを見るとBNがAmazonに勝つには自らが出版社になり(かつ寡占的なシェアも必要だろう)、オンラインとオフラインを使いこなすプレイヤーに変貌する必要がある。  

 Amazonがこの分野で優位である理由は出版社や書籍がそもそもロングテールであることが一つの要因だろう。そういった意味でJames Dauntさん(かなりお金持ちそうだし)には出版社まで全部買い取ってAmazonにチャレンジをしてほしいと本屋好きの私は応援したい。いずれ書籍自体もデジタル化されることだろう。しかし集まる場としての本屋さんの潜在ニーズは底知れないのだ。 

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