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詩 大切なものたち 記憶の中で

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形象化と現実は、少しズレていて、本当の出来事より印象に残ったりします。
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2021年12月の記事一覧

詩)明日のとびら

詩)明日のとびら

ゆっくり いきましょう
なにごとも
ひとつひとつ つくっていきましょう
やりかたは いろいろあるし
それに すきやきらいも
たくさんあるので
かんがえて 立ち止まって
ゆっくり いきましょう

気にせず いきましょう
どんなことも
ひとつひとつ 違う考えや見方があるし
今日は素敵でも 明日は違うこともある
いらないと思ったものが
必要になることもあるし
立ち止まることは
いいことです。
深く見る癖

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詩)柚子湯

詩)柚子湯

今日は柚子湯なのでした
いちばん寒い冬の日
湯舟には二つに切った柚子が袋に入れられて
ぷっくり浮いているのでした。
柚子を袋ごと身体に擦りつけて
ゴシゴシ擦ると
種がはみ出すのでした
すると身体のあちこちがピリピリし始めるのでした
これは一種の皮膚の衰えか老化なのか
皮膚が薄くなり毛細血管が身体から浮き出たものなのか
種が渴の中に落ち 種を拾おうとすると種はポンパンとはねまわり
まるでいやがるこど

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僕が書きたい詩⑦老いること生きること

僕が書きたい詩⑦老いること生きること

61歳にもなって
なんにもない
からっぽだ
ただ間違いなく歳は取る
膝は劣化し 1年前はちゃんとジョグできたのに
もう無理だと思う
そう思うと もういいやという気になり
ファイトが失せる
すぐエスカレーターに乗る
階段でシャカシャカ上がろうとする女房は
ほら 老化したくないなら階段階段!と
上がっていく
エスカレーターで行こうよと心でつぶやきつつ
女房のお尻が左右に規則正しく動くのを見ながら
つい

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僕が書きたい詩⑤ 癒えない言葉としての自分自身

僕が書きたい詩⑤ 癒えない言葉としての自分自身

記憶
そのどこかについた青いひだ
いつまでもうずく赤い棘

記憶は自由ではなく
時間とともに拘束され
いつまでも
あの日の
あの時に
帰ろうとするのだ
癒えない言葉 として
詩は存在する
僕は書きたい
癒えないままの自分自身。
いつまでも疼き続ける僕の疵

どんな詩が書きたいですか?
あなたは。

僕の疵①

僕の疵②

僕の疵③

僕の疵④

僕が書きたい詩③ ときめきまたは少年の心

自分の中にだけ
染み込んだ時間
それは少し夢のようだけど
夢じゃなく
昨日のようでもあるんですが
昨日でもない
特別なことは特になかった
想像とは少し違った

もしも少年が
その時だけ詩人になれたら
染み込んだ時間の布地を 
どんな色に染めて
大人になった少年は
今でも
あの染み込んだ時間を
染めようとして  
あのときめきを
染めようとして
その大人になった少年のときめきを
僕は書きたい

どん

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詩)人生の在処

詩)人生の在処

娘がコロナ禍で結婚して1年。
悩みながらも結婚式を挙げてよかったと娘
父親がカチコチに緊張する姿を見て
笑いそうになったと明るく話す娘は
母親譲りの肝がある

父親っていうのは
なんというか
その瞬間 入り混じったものが
やはりいろいろ 
防ぎようもなく
本人はいたって冷静なつもりでも
言い訳だけれども。

早いなあ。あれからもう1年たったのか。
あっという間だ。

もう33年たったよ 結婚してぼ

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詩)青紅葉 瑞泉寺

詩)青紅葉 瑞泉寺

哭き哭き哭き

涙と涙が溶け合い

うねりとなって海となり

人間は獣か

人間は獣か 

言葉に意味を求めて

ざわと揺れる

青紅葉 鎌倉瑞泉寺

十年後に

ここに来よう

自分がどれだけ衰えたか

人として 

生きてこられたか

十二月の

暖かい日 

過ぎた日

これから

宇宙

つまらなくも

詩)2021年作品集(1)八月の亡霊/あの日の缶コーヒー/真夜中の散歩/食という欲

詩)2021年作品集(1)八月の亡霊/あの日の缶コーヒー/真夜中の散歩/食という欲

八月の亡霊

八月の亡霊が間違って七月に来てしまった。
この夏は暑すぎて と亡霊が言う
まあ、いいじゃないのとおふくろが言った。
そんなに照れなくても。ちょっと早すぎたく
らい。こちらはちっとも構わないよとたたみ
かけるように早口で追加した。

昨日も来てたよね。トンボの格好して。5匹
のトンボの連隊が窓の外からシゲシゲとこち
らを見てたので 手を振って挙げたんだよ。
そしたら あんた
嬉しそう

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