岐阜市ごみ減量対策推進協議会「ごみ処理有料化制度の導入 (事実上の増税) を検討 ⇒ 進捗状況: ほぼ順調」(2024年8月22日 開催)

 2024年8月22日、第1回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 が開催され、「ごみ減量・資源化指針アクションプラン 年次報告書 第2回 (令和5年度) 点検結果書 (案)」をテーマとして議論が行われた。

 会議中、ごみ減量のための「6つの作戦」である、「[作戦1] 多様な資源ごみ回収を促進する」、「[作戦2] 紙ごみを減らす」、「[作戦3] 生ごみを減らす」、「[作戦4] プラスチックごみを減らす」、「[作戦5] 事業系ごみを減らす」、そして、事実上の増税となる、「[作戦6] ごみ処理有料化制度の導入を検討する」について、2023年度の進捗状況が報告された。
 「[作戦6] ごみ処理有料化制度の導入を検討する」の進捗状況は、「ほぼ順調」とのことだった。

 会議の進行は、五十里 彰 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 会長 (岐阜薬科大学 教授) が司会を務め、各作戦毎に、野々村 聖子 環境部 資源循環課長が、配布資料「 [資料1] ごみ減量・資源化指針アクションプラン 年次報告書 令和4年度-令和7年度 第2回 (令和5年度) 点検結果書 (案)」、「[資料2] アクションプランの取り組み状況」に書かれた内容を読み上げ、読み上げが終わった後に、委員が質問し、野々村 聖子 環境部 資源循環課長が質問に対し回答するというものだった。
 但し、「[作戦6] ごみ処理有料化制度の導入を検討する」に関する質問に対する回答は、春日井 裕之 環境部長が行った。
 「[作戦6] ごみ処理有料化制度の導入を検討する」の質疑応答の際、矢田康博 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 副会長 (ヤマニ洋紙工業 (株) 代表取締役 / 岐阜商工会議所 推薦) が「議会工作」の必要性について言及する場面もあった。

 本記事には、配布資料のPDFファイルをアップロードし、委員の発言等を記録し、公開する。


【 配布資料 】

・ 令和6年度 第1回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 次第

・ 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 委員名簿

・ 令和6年度 第1回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 座席表

[資料1] ごみ減量・資源化指針アクションプラン 年次報告書 令和4年度-令和7年度 第2回 (令和5年度) 点検結果書 (案)

[資料2] アクションプランの取り組み状況

・ [資料] 作戦の実施に向けた具体的な取り組み一覧

・ 令和5年度 第1回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会 議事概要

・ [参考資料1] ごみ減量・資源化指針

・ 令和6年度 第2回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会の日程について

・ 様式 第3号 (第4項 第8号 関係) 【 遵守事項 】


 岐阜市役所は、2022年2月に 岐阜市DX推進計画 を策定し、DX (ディジタル・トランスフォーメーション)、ペーパーレス化、テレワークを推進しているが、環境部が管轄する「岐阜市ごみ減量対策推進協議会」は、「ごみ減量」について議論をする場であるのにもかかわらず、委員に対しても、傍聴者に対しても、資料を紙媒体で配布し、オンライン会議もインターネットでのライブ配信もせず、また、委員に対しては、スチール缶入りの「お~いお茶」を配布した。
 もし、環境部が「ごみ減量」や環境問題に対して本気であるのならば、紙媒体の資料を配布するのではなく、会議開始前に、資料のディジタル・データを岐阜市役所のwebサイト上に公開し、会議をオンライン会議システムで開催し、インターネットでライブ配信を行い、また、委員に対し、スチール缶入りの飲料を配布しなかったであろう。
 一事が万事である。

 下図から分かる様に、ごみ分別、ごみ処理有料化、リサイクルによって利益を得るのは、自治体、公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 (略称: 容リ協)、事業者であり、消費者 (住民) は無償労働でごみを分別し、有料指定ごみ袋を購入するので、経済的には一人負け状態である。


【 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 関連 】 

「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」を巡るリサイクル関連の資金の動き

[ 特定事業者 ] 
 1勝2敗

[+] 「消費者」に「商品」を販売し、「商品の代金」を得る。

[-] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」に「再商品化実施実施委託料」を支払う。
[-] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」に「拠出委託料」を支払う。

※ 「特定所業者」が購入した「プラスチック製容器包装」の費用、「特定事業者」が「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」に支払った「再商品化実施実施委託料」、「拠出委託料」は、「特定事業者」が「消費者」に販売した「商品」の価格に転嫁されている。したがって、「特定事業者」は、実質、1勝1敗である。

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[ 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 ]
 4勝3敗

[+] 「特定事業者」から「再商品化実施委託料」を得る。
[+] 「特定事業者」から「拠出委託料」を得る。
[+] 「再商品化事業者」から「有償入札分」を得る。
[+] 「市町村」から「市町村委託料」を得る。

[-] 「再商品化事業者」に「再商品化委託費用 (逆有償分)」を支払う。
[-] 「市町村」に「合理化拠出金」を支払う。
[-] 「市町村」に「有償入札拠出金」を支払う。

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[ 消費者 ]
 0勝4敗

[-] 「特定事業者」から「商品」を購入し、「商品の代金」を支払う。
[-] 「再商品化製品利用事業者」から「再商品化製品利用商品」を購入し、「再商品化製品利用商品の代金」を支払う。
[-] 「市町村」に「分別のための無償労働」を提供する。
[-] 「市町村」に「有料指定ごみ袋の代金」を支払う。

※ 「特定所業者」が購入した「プラスチック製容器包装」の費用、「特定事業者」が「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」に支払った「再商品化実施実施委託料」、「拠出委託料」は、「消費者」が「特定事業者」から購入した「商品」の価格に転嫁されている。したがって、「消費者」は、実質、0勝7敗である。

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[ 市町村 ]
 5勝1敗

[+] 「消費者」から「分別のための無償労働」を得る。
[+] 「消費者」から「分別収集物」を得る。
[+] 「消費者」から「有料指定ごみ袋の代金」を得る。
[+] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」から「合理化拠出金」を得る。
[+] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」から「有償入札拠出金」を得る。

[-] 「再商品化事業者」に「分別収集物」を引き渡す。

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[ 再商品化事業者 ]
 3勝1敗

[+] 「市町村」から「分別収集物」を得る。
[+] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」から「再商品化委託費用 (逆有償分)」を得る。
[+] 「再商品化製品利用事業者」に「再商品化製品」を販売し、「再商品化製品の代金」を得る。

[-] 「公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会」に「有償入札分」を支払う。

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[ 再商品化製品利用事業者 ]
 1勝1敗

[+] 「消費者」に「再商品化製品利用商品」を販売し、「再商品化製品利用商品の代金」を得る。

[-] 「再商品化事業者」から「再商品化製品」を購入し、「再商品化製品の代金」を支払う。

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 上記の6者の内、最も [-] の数が多いのは、「消費者」である。
 つまり、6者の内、「消費者」が経済的に一人負け状態である。


 プラスチック容器包装ごみの収集を開始する直前の2021年度と開始直後の2022年度のデータを比較すると、ごみ収集日が1週間に3日だったのが4日に増えたため、一般家庭ごみ収集委託費は予算ベースで29.2%増加し、東部クリーンセンターのごみ焼却量は5.5%減少し、発電電力量は9.6%減少した。

 分別によって、住民が無償労働を強いられるようなったことから経済的損失を被り、ごみ収集にかかる経費が増加し、ごみ収集車の走行距離やごみ収集車の燃料の消費量も増加し、東部クリーンセンターに於ける発電電力量が減少したことから、必ずしも、分別が経済や環境にとって良いとはいえない。

 廃プラスチックを分別せず、普通ごみと一緒に焼却して、焼却の際に発生する熱を活用して発電する「サーマル・リサイクル」を行う方が、費用面でも環境面でも有利であるとの説は有力なのだが、「岐阜市ごみ減量対策推進協議会」では、議論された形跡が無い。

 環境部、環境審議会、岐阜市ごみ減量対策推進協議会は、ごみ分別やごみ処理有料化によって生じる、負の経済効果や消費される資源量やエネルギー量の試算をしておらず、結論ありきで「ごみ減量」、「資源化」、「ごみ分別」、「ごみ処理有料化」を推進している為、科学的ではなく、住民が納得できるものではないといえる。

 滋賀県 守山市 は、ごみ処理施設の更新に伴い、2021年10月1日から、プラスチック製容器包装の分別収集を止め、廃プラスチックを岐阜市でいうところの「普通ごみ」として収集し、ごみ処理施設に於いて「サーマル・リサイクル」を行うことで、ごみ処理施設の電気代を年間 約6,500万円 削減し、年間 約2,700万円 の売電収入を得るようになり、さらに、二酸化炭素の排出量を 約17% 削減した。

 また、埼玉県 久喜市 も、「サーマル・リサイクル」機能を備えた新たなごみ処理施設を建設し、2027年度から稼動させ、廃プラスチックの分別を止める予定であり、年間2,950t (約660世帯分) の二酸化炭素 排出量の削減を見込んでいる。

 「高効率ごみ発電施設」の整備には、環境省が管轄している「循環型社会形成推進交付金」(措置率 50%) を活用すれば良い。

 ごみ焼却灰の埋立地が足りない問題に対しては、千葉県庁が行っているように、ごみ焼却灰を加熱・溶融して「溶融スラグ」を製造し、「アスファルトに混合して道路の舗装」、「コンクリート資材」、「道路の路盤材」、「ブロック資材」等に活用する、あるいは、静岡市役所 や岩手県の 滝沢市役所 が行っているように、「溶融スラグ」を「農業用 (稲作用) の肥料」として活用すれば、埋立地の空き容量の減少速度を遅くすることができる。

 環境部、環境審議会、岐阜市ごみ減量対策推進協議会の方々には、是非、守山市や久喜市の「サーマル・リサイクル」の例や、千葉県庁、静岡市役所、滝沢市役所の「溶融スラグ」の例を研究し、議論して頂きたい。

 次回の「2024年度 第2回 岐阜市ごみ減量対策推進協議会」は、[ 第1候補 ] 2024年10月28日(月) 午前10時 開始、もしくは、[ 第2候補 ] 2024年12月25日(水) 午後2時 開始の日程で開催される予定である。


【 サーマル・リサイクル 関連 】

・ 「新分別 PRパンフレット」(滋賀県 守山市 / 2021年)

滋賀県 守山市「新分別 PRパンフレット
滋賀県 守山市「新分別 PRパンフレット

・ 「【守山市】サーマルリサイクルを実施(ごみ分別変更動画テーマ別抜粋版)」(滋賀県 守山市 / 2021年1月27日)

・ 「廃プラスチックから発電!久喜市がサーマルリサイクルを推進する理由を解説します」(貴志信智 久喜市議会議員 / 2020年12月29日)

・ 『久喜市「ゼロカーボンシティ」宣言』(広報くき / 2021年7月)

埼玉県 久喜市『久喜市「ゼロカーボンシティ」宣言


< 参考資料 >

・ 【岐阜市議会】家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願 (2014年3月27日 全会一致で採択)
https://note.com/gifu_water/n/n674c086499f0

【岐阜市】ごみ分別、ごみ処理有料化 (事実上の増税) 関連資料
https://note.com/gifu_water/n/ne0ef8cd2a538

・ 岐阜市 ごみ減量対策推進協議会
https://www.city.gifu.lg.jp/info/shingikai/1006964/1006965/

・ 岐阜市 ごみ減量・資源化指針
https://www.city.gifu.lg.jp/info/seisaku/1006674/1002340/1002341.html

・ 岐阜市 ごみ減量・資源化指針アクションプラン
https://www.city.gifu.lg.jp/info/seisaku/1006674/1002340/1002342.html

・ 「廃プラスチックから発電!久喜市がサーマルリサイクルを推進する理由を解説します」(貴志信智 久喜市議会議員 / 2020年12月29日)
https://www.youtube.com/watch?v=FO4jpFTLT-0

・ 「【守山市】サーマルリサイクルを実施(ごみ分別変更動画テーマ別抜粋版)」(滋賀県 守山市 / 2021年1月27日)
https://www.youtube.com/watch?v=FosrwFtlQ1w

・ 「新分別 PRパンフレット」(滋賀県 守山市 / 2021年)
※ 環境センター更新に伴ってサーマルリサイクルを実施します。
※ 二酸化炭素排出量は約17%減となります。
https://www.city.moriyama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/648/gomibunbetsupamphlet.pdf

・ 「ゴミ袋有料化(増税)がダメな理由」(ゴミ有料化はダメ 環境破壊と税金地獄から未来を守る / 2024年8月13日)
https://www.gomizei.org/reason_why/

・ 「【ごみ有料化】 あらためて不要であることを実感 【データ分析】」(長田拓也 川西市議会議員 / 2024年8月31日)
https://go2senkyo.com/seijika/185362/posts/953250

・ 「【ごみ有料化】 大きな意味をなさなかった 【予想外の発見】」(長田拓也 川西市議会議員 / 2024年9月3日)
https://go2senkyo.com/seijika/185362/posts/954886

・ 「『ごみの有料化』(令和5年1月スタート) の見切り発車に市長・市議会に警鐘を鳴らす!! (実質3億円~5億円の増税です!?) 」(岡田正昭 大垣市議会議員 / 2022年9月)
https://o-masaaki.jp/wp-content/uploads/2023/03/64_ura.pdf

・ 『廃ボトル独自処理 容リ協の「待った」は独禁法抵触恐れも 公取委』(毎日新聞 / 2023年10月16日)
https://mainichi.jp/articles/20231016/k00/00m/040/139000c

・ 「廃ペットボトル、回収業者が独禁法違反の恐れ 公取委」(日本経済新聞 / 2023年10月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1667Y0W3A011C2000000/

・ 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会
https://www.jcpra.or.jp/specified/tabid/1232/index.php

・ 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000112

・ 『「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の普及啓発ページ』(環境省)
https://plastic-circulation.env.go.jp/

・ プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000060

・ 地方自治法 第227条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067

・ 「溶融スラグの利用推進」(千葉県庁)
https://www.pref.chiba.lg.jp/shigen/3r/junkangata/youyuu.html

・ 『国内初認定!家庭ゴミを高温で溶かして肥料に 清掃工場で出た「溶融スラグ」(静岡県)』(SBS / 2022年6月2日)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/61054