【岐阜市議会】家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願 (2014年3月27日 全会一致で採択)

 2014年3月27日、岐阜市議会に於いて、「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」が全会一致で採択されてから約10年が経過した。
 「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」が全会一致で採択されたことは、事実上の増税である「ごみ処理有料化」を、住民と与野党の市議会議員が民主主義の力で阻止した「快挙」であった。
 現在、岐阜市では、粗大ごみ以外の家庭ごみは無料で収集されるが、岐阜市役所 (環境部) は「ごみ処理有料化」を実現するために着々と準備を進め、外堀を埋めている。
 住民は、行政による「事実上の増税」を狙う動きに目を光らせ、行政の動きを先読みして潰す必要がある。
 未来を先読みするには、歴史を知る必要があるため、「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」が採択に至るまでの経緯や請願の本文について振り返る。


「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」 採択の経緯

[ 2014年3月4日 ]
 岐阜市議会が「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」を受理。
 紹介議員は、松原徳和 (無所属)、田中成佳 (無所属)、堀田信夫 (日本共産党)、井深正美 (日本共産党)、原菜穂子 (日本共産党)、中川裕子 (日本共産党)。
※ 当時の岐阜市議会の構成員は、「2011年4月24日 投票 岐阜市議会議員選挙」を参照。

[ 2014年3月20日 ]
 「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」の提出者が、請願文の記書き部分の1項目の冒頭に「市民の理解が得られるまで、」を追加する訂正を行った。

[ 2014年3月20日、24日、25日 ]
 岐阜市議会 厚生委員会 (厚生委員長: 井深正美) に於いて、「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」の審査が行われたが、厚生委員会 所属の岐阜市議会議員からの意見開陳は特段に無く、委員会採決に於いては、全会一致を以って採択された。

[ 2014年3月27日 ]
 岐阜市議会 第1回 定例会の最終日に於いて、「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」が、全会一致を以って採択された。


「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」 本文

請願文書表
平成26年 (2014年) 第1回 (3月) 岐阜市議会 定例会

【 請願番号 】
請願 第1号

【 件名 】
家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願

【 受理年月日 】
平成26年3月4日

【 請願代表者 住所・氏名 】
岐阜市 ■■■■■■
■■■■

【 紹介議員 】
松原徳和、田中成佳、堀田信夫、井深正美、原菜穂子、中川裕子

【 付託委員会 】
厚生委員会

(請願要旨)
 現在、岐阜市は市民の家庭から出される普通ごみを無料で収集している。市長は岐阜市環境審議会に「ごみ処理有料化制度の導入について」を諮問し、当該審議会は「有料化が望ましい」旨の答申をしたが、その実施時期については市長の判断に委ねる形となっている。また、市議会の判断にも市民の大きな関心がある。家庭ごみは毎日排出されるものであり、約42万人の市民生活と密接に関係する問題である。
 アベノミクスの効果が大きく報道されているが、現在の岐阜市の経済状況は、まだまだ市民が景気回復を実感できる段階にはなく、消費税の増税が迫り、景気の腰折れの心配すらある。
 また、「家庭から出る普通ごみ処理の有料化」は 財政的な目的ではなく「最終処分場の延命」が主目的 であると、平成25年10月に開催された ごみ処理有料化制度の検討内容に関する意見交換会 で説明されているが、岐阜市のごみ排出量は明らかに減少傾向であり、今後の高齢化の進展及び人口減少を考察すれば、この減少傾向は続くものと思われる。
 雑がみ回収などの資源回収の改善や、その他プラスチック製容器包装類の分別収集など、本来、有料化以前に行わなければならない「最終処分場の延命」のためのごみ減量施策が不十分なまま「有料化」が実施されれば、市民生活を圧迫するだけでなく、行政手法への不信感を増大させることになる。
 現在、中核市の過半数は家庭から出る普通ごみを無料で収集しており、「有料化」実施に対して岐阜市民の理解と協力を得るには多くの時間を要する。
 ついては、下記事項について請願する。


1 家庭から出る普通ごみの無料収集を継続すること。
2 雑がみ回収、その他プラスチック製容器包装類の分別収集などの施策を強化すること。

岐阜市議会 会議録の検索と閲覧「平成26年第1回(3月)定例会(第1日目) 本文 2014-03-04


「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」 本文 (訂正版)

平成26年 (2014年) 第1回 (3月) 岐阜市議会 定例会

【 請願番号 】
請願 第1号

【 件名 】
家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願

【 受理年月日 】
平成26年3月20日

【 請願代表者 住所・氏名 】
岐阜市 ■■■■■■
■■■■

【 紹介議員 】
松原徳和、田中成佳、堀田信夫、井深正美、原菜穂子、中川裕子

【 付託委員会 】
厚生委員会

(請願要旨)
 現在、岐阜市は市民の家庭から出される普通ごみを無料で収集している。市長は岐阜市環境審議会に「ごみ処理有料化制度の導入について」を諮問し、当該審議会は「有料化が望ましい」旨の答申をしたが、その実施時期については市長の判断に委ねる形となっている。また、市議会の判断にも市民の大きな関心がある。家庭ごみは毎日排出されるものであり、約42万人の市民生活と密接に関係する問題である。
 アベノミクスの効果が大きく報道されているが、現在の岐阜市の経済状況は、まだまだ市民が景気回復を実感できる段階にはなく、消費税の増税が迫り、景気の腰折れの心配すらある。
 また、「家庭から出る普通ごみ処理の有料化」は 財政的な目的ではなく「最終処分場の延命」が主目的 であると、平成25年10月に開催された ごみ処理有料化制度の検討内容に関する意見交換会 で説明されているが、岐阜市のごみ排出量は明らかに減少傾向であり、今後の高齢化の進展及び人口減少を考察すれば、この減少傾向は続くものと思われる。
 雑がみ回収などの資源回収の改善や、その他プラスチック製容器包装類の分別収集など、本来、有料化以前に行わなければならない「最終処分場の延命」のためのごみ減量施策が不十分なまま「有料化」が実施されれば、市民生活を圧迫するだけでなく、行政手法への不信感を増大させることになる。
 現在、中核市の過半数は家庭から出る普通ごみを無料で収集しており、「有料化」実施に対して岐阜市民の理解と協力を得るには多くの時間を要する。
 ついては、下記事項について請願する。


1 市民の理解が得られるまで、家庭から出る普通ごみの無料収集を継続すること。
2 雑がみ回収、その他プラスチック製容器包装類の分別収集などの施策を強化すること。

岐阜市議会 会議録の検索と閲覧「平成26年第1回(3月)定例会(第6日目) 本文 2014-03-20


 岐阜市環境基本計画 には、ごみ処理有料化について、下記の様な記述があり、「ごみ 1/3 減量大作戦」の6番目の項目に「ごみ処理有料化制度の導入を検討する」と書かれている。

◆ ごみ処理の有料化制度について
・ ごみ処理の有料化は、制度を導入している自治体によると、住民のごみの排出に係る意識改革につながり、ごみの減量や資源化の促進に有用な取り組みとされています。従来のごみ処理に要する費用の負担は、多くのごみを排出する人も、減量に努力している人も変わりません。そのため、有料化制度は、ごみの排出量に応じて、その負担を公平にする仕組みであるとされています。
・ ごみ処理有料化制度の導入については、平成24年10月に環境審議会から「ごみ減量効果が期待できることから、次世代に先送りすることなく実施することが望ましい」、「方針を固める上で、市民の理解と協力を得るための意見交換を行うこと」、「実施に当たっては、十分な周知期間の確保、社会経済状況等の状況に留意すること」との答申を受けました。
・ また、こうした中、岐阜市議会の平成26年3月定例会で「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」が採択され、「雑がみ回収、プラスチック製容器包装の分別収集などを強化すること」などが求められました。
・ このようなことから、ごみ処理の有料化は、ごみの減量施策を推し進め、その削減効果を検証・評価した上で、市民の意見を伺いながら、導入を判断することとしています。

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◆ ごみ 1/3 減量大作戦市民運動の展開

① 多様な資源ごみ回収を促進する
・ 臨時拠点回収等、資源分別回収の機会を拡大する場合の運営支援を行い、市民が参加しやすい資源分別回収事業を構築します。
・ 市ホームページや SNS、動画配信、イベント等を活用し、資源分別回収に関する情報をはじめ、ごみ減量に関する情報発信を強化します。
・ 民間事業者による資源回収状況の把握と適切な指導により、市民が利用しやすい環境を整備します。
・ 剪定枝や刈草の収集制度の検討や、その資源化を研究します。
・ 粗大ごみを無償譲渡する抽選会を実施するなど、粗大ごみの再使用・資源化を促進します。

② 紙ごみを減らす
・ 家庭での雑がみの回収を進めるため、雑がみ回収に利用する台紙を配布するなど、雑がみの分別を強化します。
・ 民有地や事業所に古紙回収用ボックスを設置するなど、紙類の回収拠点を拡充します。
・ 紙製のカトラリーやキッチン用品等の利用を最小限とすることを啓発し、脱・使い捨て意識を醸成します。

③ 生ごみを減らす
・ キッチンで実践できる食品ロス対策を紹介するなど、食品ロスの削減を推進します。
・ ダンボールコンポスト講座を積極的に開催し、生ごみの堆肥化と地域循環を推進します。
・ 電気式生ごみ処理機への補助の実施や、その他の生ごみの減量方法を研究します。

④ プラスチックごみを減らす
・ プラスチック製容器包装の資源化を推進するため、適切な分別と排出方法を啓発します。
・ 啓発の一策として、岐阜市リサイクルセンター における中間処理の様子や、再資源化された製品を紹介します。
・ トレイ等の店頭回収協力店と、エコ・アクションパートナー協定店制度を推進します。
・ プラスチック製品の資源化について、他都市の先進事例等を踏まえ、分別収集制度を検討します。
・ マイボトルの利用促進や、インクカートリッジの回収を拡充し、プラスチック製品の排出抑制を推進します。

⑤ 事業系ごみを減らす
事業所への立入調査と指導方法の強化 とともに、ごみ減量の取り組みを支援します。
・ 食べキリ協力店・協力企業の拡大と活動の充実を図るなど、事業所から排出される生ごみ減量を推進します。
・ 事業所の創意工夫による“オフィスでちょっとごみ減量”運動を推進します。
 また、事業者の効果的な減量の手法は、市ホームページなどを通して、他の事業者に紹介します。
・ 多様な事業系ごみの減量・資源化の先進事例等を調査し、これを他の事業者に紹介します。

⑥ ごみ処理有料化制度の導入を検討する
・ 家庭系普通ごみの処理の有料化について具体的に検討します。
・ 事業系普通ごみの処理の有料化について具体的に検討します。

岐阜市役所「(第5次)岐阜市環境基本計画(計画期間:令和5年度から令和9年度)


 もし、岐阜市民が、岐阜市役所 (環境部)、岐阜市長、岐阜市議会、岐阜市議会議員に対し、何も働きかけをせず、世論への喚起も行わなければ、岐阜市環境基本計画の「ごみ 1/3 減量大作戦」に書かれている作戦が順番に実行され、最終的には、事実上の増税である「ごみ処理有料化」が実行されるだろう。

 岐阜市役所の財政は健全で、かつ、財政調整基金は増加傾向にあり、2022年度末の財政調整基金の残高は8,690,661,000円、増税をする必要性は全く無い。
 行政が狙う、事実上の増税である「ごみ処理有料化」を阻止するためには、主権者たる岐阜市民が、自分事として引き受けて考え、学び、先を読み、そして、行動することが必要である。


< 参考資料 >

・ 岐阜市ごみ減量対策推進協議会「ごみ処理有料化制度の導入を検討 ⇒ 進捗状況: ほぼ順調」(2024年8月22日 開催)
https://note.com/gifu_water/n/nc6255768cbb9

・ 岐阜市議会 会議録の検索と閲覧
http://www.city.gifu.gifu.dbsr.jp/index.php/

・ 岐阜市 ごみ減量・資源化指針
https://www.city.gifu.lg.jp/info/seisaku/1006674/1002340/1002341.html

・ 岐阜市 ごみ減量・資源化指針アクションプラン
https://www.city.gifu.lg.jp/info/seisaku/1006674/1002340/1002342.html

・ 岐阜市 雑がみ情報
https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/gomi/1002237/1002290/1002292.html

・ 岐阜市 資源分別回収の仕組み
https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/gomi/1002237/1002238.html

・ ごみ焼却施設 (東部クリーンセンター)
https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/gomi/1002344/1002347/

・ 「パンフレット集」(日本プラスチック工業連盟)
https://www.jpif.gr.jp/learn/pamphlet/

・ 「パンフレット」(一般社団法人 プラスチック循環利用協会)
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

・ 「『ごみの有料化』(令和5年1月スタート) の見切り発車に市長・市議会に警鐘を鳴らす!! (実質3億円~5億円の増税です!?) 」(岡田正昭 大垣市議会議員 / 2022年9月)
https://o-masaaki.jp/wp-content/uploads/2023/03/64_ura.pdf

・ 「自治会退会増、ごみ出しは 集積所使えずトラブル続出」(中日新聞 / 2022年7月31日)
https://www.chunichi.co.jp/article/517984

・ 『大量のプラスチック製容器は“資源ごみ”…でもコストとエネルギーをかけて維持しているリサイクルの実態は!?【コレ知ら】』(CBC / 2022年11月22日)
https://www.youtube.com/watch?v=Y_k5RO51I9I

・ 「高性能が“あだ”に?!プラスチックごみの分別収集 静岡市が検討の背景」(テレビ静岡 / 2023年6月21日)
https://www.youtube.com/watch?v=NyklFvuiQzg

・ 『廃ボトル独自処理 容リ協の「待った」は独禁法抵触恐れも 公取委』(毎日新聞 / 2023年10月16日)
https://mainichi.jp/articles/20231016/k00/00m/040/139000c

・ 「廃ペットボトル、回収業者が独禁法違反の恐れ 公取委」(日本経済新聞 / 2023年10月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1667Y0W3A011C2000000/

・ 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会
https://www.jcpra.or.jp/specified/tabid/1232/index.php

・ 『「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の普及啓発ページ』(環境省)
https://plastic-circulation.env.go.jp/

・ プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000060

・ 地方自治法 第227条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067