ささき

こんにちは。音楽が好きで、いくつになっても大体夢と現実の端境を生きている具合です。今ち…

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こんにちは。音楽が好きで、いくつになっても大体夢と現実の端境を生きている具合です。今ちょうど端境期なので、いままで感じたこと、思い出を(写真といっしょに)文章にしておきたいなあと思ってはじめました。

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ヴォーン=ウィリアムズの生まれた場所に行ってきた

もう数ヶ月が経ってしまいましたが、少々の休養も兼ねて、昨秋グロスターシャーに遊びに行ってきました。グロスターを拠点に、秋の景色を眺めてたくさん歩きたい、というの…

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9か月前
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プラチナジュビリーはかっこいい音楽が聞けるぞ

ねえプラチナ「ム」ジュビリーじゃないの? 6月です。イギリスのエリザベス女王在位70周年を記念したお祝いが始まっております。 私は外国人で、王室がどうとか植民地がど…

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2年前
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ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の灯台を見に行った話

コーンウォールが好きです。御多分に洩れず。 たとえロンドンから電車で五時間かかろうが。お尻痛かろうが。痛むお尻をさすりながら結局道中の車窓も、もちろん滞在自体も…

ささき
2年前
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人生が伏線回収しかかってきている話

西洋音楽、いわゆるクラシック音楽をやるにあたって、キリスト教は避けては通れない。だけどやっぱり、日本で生まれ育ったらあまり馴染みのないものであったりする。私自身…

ささき
2年前
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呪いと共に生きる決意を新たにした夜の話

「乗って!」 目の前に現れた水色の軽。運転席の友人に、半ば強制的に連れ去られた。私が出発する三日前。時刻は午後9時、BGMはシューマン。 車は夜道を走る。確信を持っ…

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3年前
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42

 水曜日の夜自宅に戻ると、また留守電のランプが点滅していた。 『―ハイ、久しぶりね。プレゼントは届いたかしら。受け取ったらなるべくすぐに連絡して欲しいの。ほら、…

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3年前

『思い出のマーニー』の海辺に行った話

数年前『思い出のマーニー』の舞台になったバーナムオーバリーステイスに行きました。 でもそれは当初の目的ではなく。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』に「ノー…

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3年前
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ヴォーン=ウィリアムズの生まれた場所に行ってきた

ヴォーン=ウィリアムズの生まれた場所に行ってきた

もう数ヶ月が経ってしまいましたが、少々の休養も兼ねて、昨秋グロスターシャーに遊びに行ってきました。グロスターを拠点に、秋の景色を眺めてたくさん歩きたい、というのが主旨でしたが、本当に10月なのかと疑うほど暖かく、紅葉には残念ながら早すぎた。
かなりオープンエンドな旅でしたので、あ〜どこに行こうかな〜って着いてから考えてたら、あれ、ヴォーン=ウィリアムズはグロスターシャーの生まれじゃなかったっけ?と

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プラチナジュビリーはかっこいい音楽が聞けるぞ

ねえプラチナ「ム」ジュビリーじゃないの?

6月です。イギリスのエリザベス女王在位70周年を記念したお祝いが始まっております。
私は外国人で、王室がどうとか植民地がどうとか、何にも言えないんですが、70年ものあいだ、国のため国民のためにその身を人生を捧げてこられたこと、ただただ敬服です。

イギリスにはかっこいい音楽がたくさんありますね。
6月4日の大コンサートも楽しみなんですが(ジュリー・アンド

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ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の灯台を見に行った話

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の灯台を見に行った話

コーンウォールが好きです。御多分に洩れず。
たとえロンドンから電車で五時間かかろうが。お尻痛かろうが。痛むお尻をさすりながら結局道中の車窓も、もちろん滞在自体もも楽しんで、またお尻を痛めながらロンドンに帰るわけです。
いいえ、お尻の話がしたいんじゃないんです。
それで、セント・アイヴス湾の方に、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』のモデルになった灯台があるのだと知って数年後、今からは数年前になっちゃい

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人生が伏線回収しかかってきている話

人生が伏線回収しかかってきている話

西洋音楽、いわゆるクラシック音楽をやるにあたって、キリスト教は避けては通れない。だけどやっぱり、日本で生まれ育ったらあまり馴染みのないものであったりする。私自身、音楽の学校に行っていた頃、ミサ通常文がなんなのかよくわからんままに(先生ごめんなさい)、キリエグローリアクレドサンクトゥス…って呪文のように唱えて、テストに備えていたものだ。

私はクリスチャンではない。日本人の大多数がそうであるように、

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呪いと共に生きる決意を新たにした夜の話

呪いと共に生きる決意を新たにした夜の話

「乗って!」
目の前に現れた水色の軽。運転席の友人に、半ば強制的に連れ去られた。私が出発する三日前。時刻は午後9時、BGMはシューマン。

車は夜道を走る。確信を持って、東から西へ。どこへ向かっているのか彼女は言わなかったけれど、私は随分初めの内にもうわかってしまった。私も何も言わなかった。二人で今日この時にその場所に行くことが、ごく当然のことに思えたから。そして私が気付いていることに、彼女も気付

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 水曜日の夜自宅に戻ると、また留守電のランプが点滅していた。
『―ハイ、久しぶりね。プレゼントは届いたかしら。受け取ったらなるべくすぐに連絡して欲しいの。ほら、最近色々と不安定でしょう、郵便局がストライキを起こしたり、小包を盗まれたり、全く信用ならないわ。直接渡せればいいんだけど、そういう訳にもいかないし。それじゃあね』

 そもそもの始まりは五日前の留守番電話だった。
『―ハイ、久しぶりね。今日

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『思い出のマーニー』の海辺に行った話

『思い出のマーニー』の海辺に行った話

数年前『思い出のマーニー』の舞台になったバーナムオーバリーステイスに行きました。
でもそれは当初の目的ではなく。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』に「ノーフォークはイギリスのロストコーナー」とあったので、私も何か見つけられるかな、なんてちょっと考えながら、就職を控えての一人卒業旅行、ぼんやりした旅でした。ルースのオリジナルを探しに行くクローマーの街を見てみたかったので、その時はとりあえず起点

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