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エッセイ

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どうでもいいような、だけどあるとちょっとウレシい毎日のことです。
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#言葉

ものかきのきもち

ものかきのきもち

SNSのプロフィールに、未だに何を書いたらいいのか分からぬままでいます。今のところ、肩書きは一応「文筆家」としています。でもその響きはかなり「シュッと」していて、鉛筆をなめなめ、原稿用紙に向かっているような気配があるので、私は自ら名乗っておきながら、心のどこかで緊張しているようなのです。

「文章を書いたりしてるんです」
「へー、どんなのを書くの」
「小説のようなものとか」
「そしたら、芥川賞を目

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せかいのえほん

せかいのえほん

「せかいのえほん」は、青く丸いマークがついている棚にあります。
「うみべのまちで」という絵本を手に取り読みました。近くでは、少女がしゃがみ込んで本を読んでいます。シンケンです。紫色のワンピースを着て、紫色のカチューシャをつけていました。
「おかあさん、みるくのはんたいはな~んだ」という声が、部屋の中に響きました。「く・る・み、でした〜」と続けて聞こえてきたので、わたしは心の中で「み・る・く、く・る

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七草がゆのかわりに

七草がゆのかわりに

 今日は、あなたと一緒に食べるために七草がゆをつくります。でも、家には大根しかないので、これでつくります。すみません。でも、お正月のあとの胃腸をいたわるという目的はクリアしているし、お昼の三分クッキングでやってたんです、大根がゆを。
 土鍋でお米と大根を煮ます。わたしは料理が得意とは言えないのですが、今日は絶対焦がさないように慎重にやるので安心してください。お米が柔らかくなったら葉っぱもいれます。

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チーズおかき

チーズおかき

 午後になってもしんしんと冷える日、分厚い小説を読むのに疲れた時なんかには、チーズおかきをちょっとつまみます。二枚の丸いおかきにチーズがはさまっていて、片側のおかきはリング状になっている。そこからつるつるしたチーズクリームが見えています。おいしそう。
 たとえ小説の舞台がボストンの洒落たレストランでも、わたしはわたしの世界、たとえばおばあちゃんちの玄関に、帰ってくるのです。幼き日、おばあちゃんがビ

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