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作品について書いてみるシリーズ

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記事一覧

「時のしずく」について語る #3

「時のしずく」について語る #3

現在開催中のSeikoSeed「からくりの森」で展示してる新作「時のしずく」について語るシリーズ第三弾。

過去記事はこちら。

前回の記事で、全体の構成が確定した感じのところまで来ましたね。さぁ、今回はいよいよ本制作のプロセスなど紹介してみます。

全てはCADで設計松山はFusion360使ってます。メンバーの神山くんはSolidworksとFusion360と両方使うみたいです。今回は合わせ

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「時のしずく」について語る #2

「時のしずく」について語る #2

現在開催中のSeikoSeed「からくりの森」で展示してる新作「時のしずく」について語るシリーズ第二弾。

第一弾はこちら。

積み上げていく実験撥水加工したお皿に水滴を並べてみました。まず、全くのフラットな状態の板を撥水加工して試したところ。ひとつの場所に止めておくのが超難しい。オートピペッターで水滴を出したら、それがそのままつつーっと走ってしまいます。ピシっと整列してる姿を目指したいので、これ

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「時のしずく」について語る #1

「時のしずく」について語る #1

もうすぐの10月13日から開催のSeikoSeed「からくりの森」で新作の「時のしずく」を展示します。

その新作について2回か3回にわけて語っていこうと思います。この1回目の記事をみても作品の映像とかないのでネタバレしません。むしろコンセプトとかわかるので、これ読んでから作品見たらより楽しめるかもしれません。

依頼がきた2022年の12月に桐山さんから連絡をもらいました。「来年のからくりの森に

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今日から新しくなった自分のウェブサイト

今日から新しくなった自分のウェブサイト

フリーランスの頃に使っていたサイトを放置してきました。法人化して8期目が終わろうとしてるわけで、8年放置したことになります。なんかすいません。

更新されたサイトは以下

フリーランスフリーランスにとって自分のサイトってどういう感じなんでしょうね。自分としては「ポートフォリオサイト」がないとなんか仕事こないんじゃないかって思って作ってました。実際サイトから仕事が来たことはほとんどないですが。いや、

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泡なのに色がつく

泡なのに色がつく

2022年4月にオープンしたスペースLABO(北九州市科学館)の2Fのメインフロアの中で「科学をモチーフにしたアート作品」を展示するということで、新作を作りました。今日は、その作品「いろづくあわ」の話をしてみます。

この記事では「いろづくあわ」の原理について触れます。ある種ネタバレという意味合いもあるので、読む人は「泡に色をつける方法」を考えながら読んでもらうと楽しめると思います。

記念すべき

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作品について語る

作品について語る

東京都現代美術館で展示している作品について少し語ってみようと思います。会期は2月14日まで。

作家今回は、高橋琢哉との共作となります。高橋とは仕事のなかで知り合った間柄ですので、日頃のクライアントワークでも一緒に作っています。それとは別に、もう少し「作品」というノリの制作を共にすることもあります。

高橋は「音楽」の分野のプロですが、「この空間でなにをするのか」というぐらい大きな枠で考えるのが得

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光と図形

光と図形

田部井美奈さんの作品集「光と図形」がADC賞を受賞とのことで、お祝いの場があった。展示の中での照明制御を担当したということで、自分も呼んでいただき参加してきた。

やはりこういう時はその作品のことを思い起こすもので、鮮明に記憶が蘇ってきたので、書いてみる。

展示についての相談田部井さんの旦那さんの中原さんとよく仕事をしてるということもあり、相談をいただいた。「光と図形」の作品のビジョンが明確に決

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TypeTrace

TypeTrace

最近アートイベントの設営に行く機会が続いてる。石巻でのRebornに続き、あいちトリエンナーレの設営に行ってきた。自分はTypeTraceという作品に関わっている。

実はTypeTraceについては、作品が生まれるタイミングにも関わっていたので、その頃のことを振り返って書いてみる。

PhonethicaTypeTraceの原型となるアイデアを持っていたのは、遠藤 拓己さん。知り合ったとき遠藤さ

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村田朋泰

村田朋泰

自分がやってきた仕事の中に、アーティストのテクニカル支援というのがある。その手伝った作家のなかでも村田朋泰さんは異質で、作家性が強く、デジタルとは少し距離のありそうな作家である。

村田作品として馴染みがあると思うのは、Eテレでの森のレシオだろうか。MR.ChildrenのHEROのPVの方を知ってる人も多いだろうか。立体アニメーションなど映像の作品や、インスタレーション作品を作るアーティストだ。

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森制御

森制御

一年ほど前の話だが、2つ森を光らせる仕事をした。

2018年の7月と9月に公開になった仕事で、制作している時期は重なっていたと思う。どちらも森の木々が光るという共通点があった。

Omen村田朋泰さんの個展で展示された作品。森の木々が光り、明滅が動くことでストーリーを表現するものだ。siroとして開発したのは、LEDを調光するシステムで、全部で320本ほどの木を一本ずつ調光する。映像を再生するこ

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アナログとデジタル

ふと、書いておくべきだと思ったので、書いてみる。
siroのwebのaboutに書いてあることで、やや引っかかりのある言葉を使ってる。二番目の段落に書いてあるここだ。

デジタル制御やインタラクティブといったアプローチを得意としていますが、体験する人の心地よさに深みを与えるアナログな質感を併せ持ったものづくりを目指しています。
デジタル技術はあくまでその裏方として、できるだけひっそりと使っていきた

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Making of MOMENTum #2

Making of MOMENTum #2

前回KAPPES誕生のきっかけとなったMOMENTumについて書いた。その続き。

ミラノサローネでの反響

残念ながらアワードは取れなかったが、狙い通り目立つことはできた。会場には多くの日本人も来てたので、国内の一部の人にも覚えてもらえた感触はあった。

パリで9月に催されるMaison&Objetでトレンドブースが3つあるうちの1つ、François Bernard氏の展示「EXPERIMEN

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Making of MOMENTum

Making of MOMENTum

KAPPESの代表作とも言えるMOMENTumについて書いてみようと思う。

ミラノサローネサテリテMONGOOSE STUDIOの時から存在は知りつつもなかなか関わったことがないミラノサローネ。プロダクトデザインやインテリアの文脈で何か発表するわけじゃなくても、いや、だからこそ気になるところで、ぜひ参加してみたいと思っていた。知り合ったばかりのwe+の林さん、安藤さん、協業して仕事をよくやってい

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コラボレーションがわりと好き

コラボレーションがわりと好き

多摩美の時から人の作品のテクニカルパートを担当するみたいなことをよくやっていた。テクニカルな要素を含んだ作品というのは、よほど作品の方に強さがないと、テクノロジーに影響を受けてしまうということがある。たとえば、魅力的な技術というものはあって、それを使うと面白さがぐっと増すわけだけど、それは技術の持つ力だったりすることが多くて、作品の印象は技術の印象に支配されてしまう。

それは本末転倒なので、作品

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