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我が読書迷走微録

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迷走ばかりの我が読書遍歴を微文で紹介する記録。
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2021年3月の記事一覧

「ヰタ・セクスアリス」森鴎外

日本近代文学の文豪による異色作。
軍医、官僚という肩書きを有し、無骨で愚直なイメージの作品群とは裏腹に、赤裸々な性欲生活の作品化は鴎外の多様性を見せつける。

「ゴッホの手紙」小林秀雄

若かりし頃、「アート」と「芸術」の違和感を抱きながら出会ったゴッホの苦悩。小林秀雄が導く狂おしく痛ましいほどの天才は、経年するほどに輝かしい。

「人生論ノート」三木清

おそらくは、哲学や倫理学も知らない中で読まされた哲学読書デビューの書籍。獄中死した著者の思考の断片が凝縮している。三木清再考の一冊。

「禁色」三島由紀夫

1951年に発表された三島前期の大傑作。
平和で安穏とした昭和を象徴する登場人物が織りなすストーリーは、驚愕するほどの展開で三島の世界を表出している。令和の世でも必読の作品。

「ツァラトゥストラはこう語った」フリードリヒ・ニーチェ

ニーチェを単体で読んでいけない。
丹念にその遺伝子を辿ると、単なる発狂した変人ではなく、そこに至る軌跡があり、その頂上がある。それこそがツァラトゥストラ。
つまり、ニーチェの哲学と思想と詩が凝縮した孤高の傑作であるのだ。

「監獄の誕生」ミシェル・フーコー

構造主義、ポスト構造主義を駆け抜けたフランス現代思想の巨匠。
乱読時代にその構造すら知悉せぬままに、辿り着いたポストモダン思想は、コロナ時代に再び脚光を浴びるのではなかろうか。

「悪の華」シャルル・ボードレール

フランス象徴主義を代表する詩人の代表作。
想像を超える享楽を味わった人生から生まれたその作品からは、仄暗い虚無の中に退廃と耽美に満ち溢れ、現代を逆照射する。

「トニオ・クレーゲル」トーマス・マン

20世紀のゲーテとも評されたドイツの大文豪の若き日の傑作。芸術家とは何か?市民とは何か?
芸術という結論なき理想と現実に揺れる主人公に、幾度自らを重ね合わせたことであろう。

「余は如何にして基督信徒となりし乎」内村鑑三

日本史を勉強した中でも、最も影響を受けた人物の著作。ひるまぬ意思、恐れぬ克己、それはキリスト教という範疇を超え、生き抜く力を与えてくれる。

「変身」フランツ・カフカ

不条理の究極を描いたドイツ文学の金字塔。
ユダヤ人という出自ゆえに予言的とも言われる逸話もあるが、その影響力は現代においても変わりない。

「自殺について」アルトゥル・ショーペンハウエル

ドイツが生んだ偉大なペシミズム哲学の主。
読後感の奇妙なオプティミズムは忘れ難い。
ショーペンハウエルとニーチェとともに盃を酌み交わせば、今の時代をどう論じただろう?

「サロメ」オスカー・ワイルド

アイルランドの奇才が放った妖艶なる戯曲。
この書に手を伸ばした時、西洋思想としてのエロティシズム、耽美主義の世界に触れてしまったあの感覚…
読書における禁断を突きつけた、まさに異様な書でもある。