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合宿人インタビュー#2 山﨑大輔さん 「解決できない問題があれば合宿に行けば良い」

こんにちは、合宿人(がっしゅくじん)です!
「すべてのチームに最高の合宿体験を!」というビジョンに向けて、合宿を起点に変容を遂げながら歩みつづける「合宿人」達のストーリーをお届けします。

第2回目の今回は、株式会社リクルート、株式会社ファイブグループでの経営や事業の立ち上げ経験を経て、現在は合同会社OfficeDを立ち上げ人組織や経営のコンサルタントとして活躍する山﨑大輔(やまさき だいすけ)さんにお話を伺いました。

心が豊かな社会をつくりたい。 そのために良いチーム、良い組織を作っていきたいという思いはみなさん、特にリーダー層の方はお持ちだと思います。 そのなかで、会社の会議室やオンラインのミーティングの会話だけでは解決できない問題に直面することもあるかと思います。

「解決できない問題があれば合宿に行けばいい。 特に経営陣などのリーダー層は絶対に合宿をした方が良い。ぼくはそう思っています

そう語る今回の合宿人ストーリーの主人公、山﨑さんには長年行ってきた組織の合宿の中で、どのような合宿を行い、数々の問題を解決に導いてきたのか?
山﨑さんの数々の合宿経験のなかに、チームや組織を問題解決に導くヒントが隠されていました。

“合宿成長3段階” 本音の対話に行き着くまで

山﨑さんは合宿が3つの段階を経て、「本音の対話をする合宿」へと成長していったと語ります。

連日深夜残業で仕事ばかりの自分に苦しさを覚えていた30歳の時から、プライベートで焚き火を囲んで夢や自分が考えていることを語る「YUME CAMP」の運営をして来た山﨑さん。
YUME CAMP運営者となってから数年が経過した頃、 「なんで普段の会議室では話せない思いが、焚き火を囲んでいたら話せるんだろう? これ、会社でやったらいいんじゃない?!」 そんな考えがあるときふと脳裏に浮かびました。

今でも毎年、たくさんのメンバーと共焚き火を囲んで夢を語り合っている。
長野県大町でのYUME CAMP

ちょうどその頃所属していたファイブグループの経営チームから「みんなでどこか旅行いきたいよね」という声が上がっていたこともあり、「じゃあ合宿に行こう!」と山﨑さんから提案。
「アジェンダ設定してプログラムを作って合宿をするだけで、短期間でこんなにアウトプットできるんだね!」という経営陣からのフィードバックが皮切りとなり、すぐに組織内の全事業部で合宿を行う流れになりました。


第1フェーズ:とにかく話す!集中討議をする合宿

「第1フェーズは集中討議でしたね。とにかく話す。 ゆっくり時間をかけないと合意形成とかみんなの目線合わせができないことに対して、日常を一回傍においてたっぷり話す場というのがこの頃の合宿の特徴でした。」

日常では話合えないことを話す。
まさに合宿の核となる要素がこうしてできあがっていきました。


第2フェーズ:もう話し疲れた! 場所やアクティビティで共通体験をつくり、想いをそろえる合宿へ

このような「とことん話す集中討議合宿」が2年ほど続いたころ、
「もう話し疲れたよ〜!」「せっかくバンガローとかにいるのにもうちょっと自然と触れ合ったりとかないの?」という、非日常という豊かな環境をもっと満喫したいという声が参加者から上がるようになりました。

「僕がやるとついまじめになっちゃうんですよね(汗)そこで、この頃から参加メンバーで一緒にアクティビティをして共体験をするということを合宿に取り入れはじめたんです。」

この頃に実施した石垣島の経営陣合宿では、ロードバイクを人数分借りてみんなで島を一周。 「あの道、とにかく自転車漕ぎまくって大変だったよねー!」というアクティビティ後の振り返りから、「そう言えば、あの頃に決めたあの目標がさ・・・」という会話に発展するなど、 第1フェーズではみられなかった共通体験が生み出した深い会話が行われたと言います。

この頃から山﨑さんの参加する合宿には、その場所だからこそ体験できる共体験というプログラムが加わっていきました。

石垣島での経営陣合宿。共体験を通じて一体感を得た。

「ひたすら話す集中討議合宿」から「共体験をすることによって発散して心身を解放してみんなで一体感を感じる事で良い議論ができる合宿」に変容を遂げていったのがこの第2フェーズでした。

第3フェーズ:まじめな議論から抜け出すための「合宿プログラムの手放し

共体験を通じて一体感を得て良い議論をする合宿スタイルが定着して2年が経過した頃、山﨑さんの心の中にある葛藤が芽生え始めました。

「いくら豊かな自然に囲まれた場所とか、非日常なところにアジェンダ設定していっても、結局まじめな話になっちゃって仕事の役割上の話ばかりの議論しかできないんだよなぁ・・・。」

「なんで仕事以外でやっている人生や夢を語るワークショップではみんなで熱い想いを話せるのに、仕事で合宿やるとこうまじめな話ばかりになるんだろう・・・。」

みんなでもっと心を開き合って語り合える合宿をつくりたいのに、合宿に行ってもなかなか出てこない本音。
もっと合宿でみんなが本音を語り合えるようにするにはどうすれば良いんだろう?
このような葛藤を抱えていた山﨑さんとって、ある合宿が転機となって訪れます。

「そんな時に、プライベートで「焚き火と語り」っていう合宿をやったんですよ。 プライベートで仲間内で30代前半で割とキャリア悩む時期の人たちを7人ぐらいで精進湖につれていって、焚き火しながら心の中のもやもやを話そうという合宿をしたんです。」

この合宿に、山﨑さんはあるテーマを掲げて参加しました。
そのテーマとはなんと、「プログラムを手放す」(!)というもの。
「とは言っても、目的地についた瞬間、「じゃあ次何時集合にする?」とかつい言っちゃったり(笑)その度に「山ちゃんまたプログラム作ろうとしてるでしょ!」っていう指摘を受けながら、 「いやーごめん!みんながやりたいことやろう!」って言ってプログラムを手放した事がすごく良かったんです。

2日間めちゃくちゃ深い本音話ができたんですよ。 アジェンダやプログラムを手放したことによって、自然な対話が生まれていった。
そこで、本音で語り合うには「これだ!」っていう確信を得たんです。」

それぞれの合宿でテーマとしている事に向けて、毎回必死にプログラムをつくって臨んできた山﨑さん。
仕事合宿のきっかけとなった軽井沢の経営陣合宿から「プログラムありきの合宿は素晴らしい」ということがベースとなって行われてきた数々の合宿において、合宿プログラムはなくてはならないものだったはず。

「この精進湖の合宿でプログラムを手放すことによって生まれた本音で語り合う合宿。 これを会社の中でやるにはどうしたらいいんだ?仕事のなかでやるにはどうしたら良いんだ?って思索しながらまた仕事の合宿の方に戻していったんです。」

精進湖の「焚き火と語り」の合宿。今でもこのメンバーとは仲が良い。合宿プログラムを手放すことがたっぷり本音を語り合う時間をもたらし、メンバーに深いつながりができた。


俺がやるんだったらもう一枚めくりたい。本音を語る合宿へ

こうして、山﨑さんの合宿は「対話で本音を語る」というスタイルに変容をしていきました。 今では心の奥底にある本音を話し、受け取ることが合宿の一番の醍醐味であると山﨑さんは語ります。

「問題を抱えている新入社員向けにスキル的にプロジェクトマネジメントとか、マーケティングベーシックの研修をやってくれっていう依頼を受けた事があるんですが、それってただ現実的にできていないことにフォーカスをして表面的な打ち手を打っているだけなんですよね。

俺がやるんだったらもう一枚めくりたい。

日常の中でいつの間にか顔に張り付いてとれなくなってしまった仮面をめくり、本音の対話をしたい。
何かしらの問題や悩みを抱えている人は、新卒でもリーダー層でもその根っこにはピュアに使命感だったりとか自分が絶対にやりたいっていう思いがあるからこそ悩んでいたりするんですよ。
その上で、できない悔しさとか、でもやりたいっていう思いと葛藤しているんです。
でも、そういう思いって普段言えないですよね。
だからこそ、普段とは違う環境(合宿)で、
「それでも頑張るのってなんでなの?」って言うような話を「全肯定するから!俺は!」って言ってぺりぺりぺりぺり表面にあるものを剥がして行くんです。

なかなか言えない思いをみんなの前で言う時、みんな震えながら言うんですよね。
「言ってもいいんですか・・・」って。
僕はその様子を見ているだけでつい泣いちゃうんですよ。気持ち悪いけど(笑) がんばったねぇ(涙)・・・って。

決して「できないんです」って言わせることが目的なんじゃなくて、 「なんで頑なにそれを手放そうとしないのか」「本当はこうしたいんだ」って言う本音を晒すことで、皆が気づいてひとつの結論を導きだしていくプロセスが大切なんですよね。」

車座でお互いの顔を見て、伝わる空気感を共有しながら対話を行う時間。



経営陣、リーダー層は絶対に合宿をしたほうがいい理由。

特に経営チームやリーダー層は絶対に合宿をした方がいいと山﨑さんは語ります。

解決できない問題があれば合宿に行けばいいと僕は思っているんです。
基本的に話せる問題はもう解決しているはずなんです。

経営の危機的状況や兆候があるのになかなか打開策が見えない背景には言えないことがたくさんあって、言えないからこそそれが起き続けているんですよ。
でもだからといってずるずる来ていたら状況は悪化する一方じゃないですか。
経営危機の時こそ合宿をして、ポジションを持っている人たちが自分のポジションを守らずに腹の中晒そうっていうのをやると、結果的に部署の解体や計画の取り下げなど痛みを伴う打ち手に至ったとしても、 「だったらもう解体したほうがいいよね。取り下げたほうがいいね」って、皆が気づいて納得のいく結論が語られる自然なプロセスを辿ることができるんです。

そして、危機的状況にあっても合宿で晒した本音がきっかけになってV字回復の流れに乗った経験もしてきたから、普段の現実にたくさん責任を負って抱え込んでいる人たちは意図的に時間作って合宿に行きましょうって、今後も伝えていきたいと思っているんです。」


合宿ワザのヒント! 山﨑さん流 本音の対話のつくり方

本音で対話をするとは言っても、ただ日常と異なる場所へ行くだけではきっかけが生まれにくい場合もあります。
実際にチーム対話を促し、受け取る側として山﨑さんが合宿でどのようなワークや配慮を心がけてきたのかを伺いました。

―――対話を促すためのワークや、意図的に行っていたことを教えて下さい。
「できるだけ序盤から「今日は少しだけ普段言えないことを話す時間にしようね」という雰囲気を会場全体に充満させていくようにしています。
会社の合宿の場合は、割と序盤に傾聴のワークをするようにしています。 傾聴しまくるという感じです。
あとはこっちからぶっちゃけることを意図的にやってますかね。
合宿先のテラスとかでじっくり時間をとって何かテーマを決めてのんびりお話しする時間をとるとか。

あまり研修っぽさがない時は、やっぱり焚き火ですね。 焚き火の場合は特に何かを決めるということもなく流れるままにやっています。」

―――チーム合宿で対話をする上で特別に配慮をしていることはありますか?
「特にうまく話せなさそうな人のところにいって、その人の目線でがっちり話を受け止めることを率先してやることが多いかもしれません。
うまく出せない人って、周りも焦って色々と聞き出そうと質問攻めにされたりすることが多い気がしますので。」

―――本音の対話をするためのコツや心がまえを教えて下さい
「必殺ロジックとしては、二つ。

「ぶっちゃけトークは質問より共感から出てくる」
良い問いかけは大事です、その上で話しにくい気持ちそのものを共感すると内容が吐露されることが多い気がします。

必要なことは必要なタイミングで起きる」
目の前で起きていることにヤキモキせずに、これも必要なプロセスなんだろうな、行きたいところに行けるようにと祈るように穏やかな意識を持ってその場にいつづけることが大事な気がしています。
うまく話せなくてもそれも今必要なことなんだよねと認め合う感じです。」

豊かな自然の中で焚き火を囲んで語る。焚き火にはリラックス感や人生への肯定感が高まることが科学的にも証明されている。



「すべての人に輝く機会を」山崎さんのこれからの未来と合宿

今までの数々の合宿体験や、ファイブグループ時代に山﨑さんが発起人となってスタートした子ども食堂の活動などからも一貫して
「もっとみんなで思いを伝え合って、心が豊かな社会を創っていこうよ。」というピュアで真っ直ぐな思いが伝わって参りました。

そんな山﨑さんは今、どこへ向かって歩んでいるのか? ご自身のこれからの未来と合宿について語っていただきました。

「現在は、人生の最後を自分らしく迎えられる場所づくりとしてホスピス住宅事業の立ち上げを行っております。
今の僕のビジョンは「すべての人に輝く機会を」。 30代の頃にアルバイトから経営者まで様々な方と合宿や対話を行って来た中で、人が「輝く瞬間」にたくさん出会いました。その瞬間は他者との関係性の中で、自分が役に立っている実感や、誰かに対する愛や感謝に包まれた瞬間でもありました。
そんな機会をあらゆる人が感じられる社会にしていきたいという思いがあります。 僕にとっての「輝く機会」は、「自分らしさを発揮して他者貢献が実感できた瞬間」だと定義しました。

ちょうどこのタイミングで「末期がんや難病を抱えた方の終末期を過ごす場所、ホスピス事業を一緒につくらないか」と友人から誘われました。 これがきっかけで、人は死ぬ直前に「人生を振り返り、自分の人生を受容する」プロセスがあると知りました。まさにここが「人生が輝く機会」だと確信しました。

これから多死社会となるこの国では「どう死を迎えるか」は社会課題です。 すでに社会保障費で病床数は維持できず政府は在宅での看取りを推進しています。ですが整備は追いついておらず厚労省の試算ではこのままでは年間約40万人が死ぬ場所がない「看取り難民」になるとも言われています。
人生の最後を自分らしく迎えられる場所をつくることは社会に必要なことだと思っています。

「すべての人に輝く機会を」と「ホスピス事業」のご縁が同時に突然やってきました。 「社会は自分をここに使わせたがっている」という意思のようなものを感じ、40代にをこれに使おうと決めました。」

―――40歳になり、新たなスタートを切った今、これからやっていきたい合宿は?

コミュニティ合宿と、医療従事者との合宿ですね。
僕は割と所属を超えたコミュニティにたくさん属しているので、そういう横のつながりで繋がった人たちと合宿をしていきたいなぁと思っています。 社外の人と合宿をしたほうが思いや抱えているものを話しやすいんですよね。
あとは、今後医療業界に入っていくので医療職の人たちと合宿をしてきたいと思っています。

誰かのためになりたい、誰かを救いたいという思いを持ちながらも病院というシステムの中で囚われていた医療従事者の人たちが今、独立して在宅や訪問診療に入っていってるんですよね。

患者さんの暮らしの中で思いに沿ってやっていくという面では、彼らの思いが満たされている部分もありますが、求められるものが多くて結構みんな悩んでるんですよ。
その葛藤たるや・・・。とてもプリミティブなものなので、本当に感動しました。この人たちすごいなって。
これはちょっと合宿で本音の対話をしていかないといけないなって思っていて、今の目標の一つになっているんです。」

抱っこ紐でお子さんと一緒に合宿に参加。最高のパパ合宿人に拍手!


合宿とは、言葉にならないことを言葉にする場所。

今、組織やチームとして解決できない問題に直面しているのであれば、 ご自身にこの問いを投げかけてみてください。

「あなたは、チームのメンバーに自分の奥底にある本当の思いを伝えられていますか?」

その答えがNoなのであれば、 あなた以外のメンバーも本当の思いが伝えられていないのではないでしょうか。

合宿でみんなが表面にある仮面を外し、言葉にならないことを言葉にする。
そして、対話をかさねて生まれる心のつながり。


「合宿」という本当の思いを伝え合う「場」をあなたのチームにも創り、 チームが生まれ変わる体験をしてみませんか?

ではでは、また次回の合宿人ストーリーでお会いしましょう♪

八ヶ岳の合宿にて。山﨑さん、感動の合宿人インタビューをありがとうございました!

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