ガオチャオ

新潟生まれ。2022年夏、鹿児島から東京へ。「すぐに役立つものは、すぐに役に立たなくな…

ガオチャオ

新潟生まれ。2022年夏、鹿児島から東京へ。「すぐに役立つものは、すぐに役に立たなくなる」という言葉を大切にしています。それと、「寛容であっても鈍感になるな」。サウナとカレーライス、長く使えるものにはお金を惜しみません。

マガジン

  • 極私的カルチャー日誌〜人生に逃げ道を〜

    中島らもは「教養とはひとりで時間を潰せる能力である」といい、水道橋博士は「映画は人生の予行練習だ」と言った。追い込まれたとき、逃げ道を持っていれば、きっともっと楽になれる。映画、本、アート、極私的な逃げ道をおすそわけ。

  • サウナ・アディクト

    都市のサウナで疲れた現代社会に想いを馳せ、南国ビーチの手掘りサウナで幸せの意味を考える。極上サウナの蒸気の中でそのときの自分自身を見つめ直す、サウナ偏愛者のエッセイ。ちょっと一息、ととのいませんか。

  • フィンランド サウナ聖地巡礼記

    2019年の秋、コロナパニック前夜のヨーロッパに、私はただ、サウナを求めて出かけた。フィンランド最古のレトロサウナ、自分で薪割りから行う完全自治の無人サウナ。ヘルシンキのサウナでは知らないおじいさんの誕生会に誘われて・・・。北の大地で熱気の中をさまよいながら、出会った人たちとの体験をつづったささやかな旅の記録。全6回。

最近の記事

「地球上にある上り坂と下り坂の数、多いのはどっちでしょう」。小学校だったか中学校だったか覚えていないが、いまもときどき、このなぞなぞを思い出すことがある。大した理由もなく、「上り坂じゃない?」と答えたことも。 東京に引っ越して、もう少しで半年になる。夏以降、新しい仕事に食らいつくのが精一杯の日々が始まり、学生以来5年ぶりに住む感慨も、刺激と変化にあふれた大都会の懐かしさも感じられないまま、気が付くと年を越していた。秋、「もう3か月、経つよね。受け身の働き方はそろそろ卒業しよ

    • 職業としての大学生〜兄が弟に語る学生生活〜

      はじめに 「今大学生に戻れるなら何をしたいか?」と聞かれたら。もちろん、やりたいことは無限にあるし、やったことのないことに手を出したい。でも、もう一度同じ学生生活を送れ、と言われても私は喜んで同じ学生時代を送りたいと思います。それくらい、私にとって学生時代は多くのことに挑戦でき、多くのことを学び、そして多くの出会いに恵まれた4年間でした。何か特別なことをしたわけではありません。世界一周をしたわけでも、特別に珍しい社会経験をしたわけでもない。ただとにかく、毎日が刺激の連続で、

      • 週に2時間だけの爆音 幻のスピーカーを聴ける喫茶店・パラゴン

        日曜日の22時前。真っ暗になった串木野の街角に、ぽっと、明かりがつく。 いちき串木野市にある喫茶店、「Jazz&Coffee Paragon」。その名の通り、この喫茶店には、伝説のスピーカーと呼ばれる「JBL Paragon」がある。リビングの木製机かと見紛う、2メートル60センチほどの身体から、その日も爆音のジャズが鳴り響く。 「パラゴンに行っていないなんて!休んででも行ってこい!」上司からそう言われたのは9月くらいだったかな。鹿児島のジャズ好き、喫茶店好きの中では、こ

        • 極私的2021年買ってよかったものリスト

          安いものをたくさん買うより、少し高くても長く使えるものを少なく買う。この先もずっと必要になりそうで持続可能なもの、いくつもの機能を併せ持ち、荷物が少なくなるようなものを買う。そんなことを意識して過ごした2021年でした。1年の最後に、ことし買ってよかったと思うものを記録しておきます。「極私的」とか名付けてみたものの、そもそも、買ったものリストなんて、その時点で極私的だ。 Anker PowerCore Fusion 5000 スマホ用の充電器。ことし一番仕事をしてくれたと

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        • 極私的カルチャー日誌〜人生に逃げ道を〜
          3本
        • サウナ・アディクト
          3本
        • フィンランド サウナ聖地巡礼記
          6本

        記事

          自分って、面倒な客?

          マイボトルを使い始めて1年ちょっと。 コーヒーを飲むときにはどうしても使い捨てのカップになってしまうと思っていたので、数か月前、二番手として350mmのコーヒー用タンブラーを購入した。翌朝早速、家のすぐ近くにあるコーヒースタンドでタンブラーを出し、「これに入れてください」とオーダーしてみた。すると、紙コップを使って軽量したコーヒーをタンブラーに入れ、そのままコップは捨てられてしまった。 言わなきゃ伝わらない、そう思って1日を過ごし、意を決して伝えてみた。「紙コップを使わないよ

          自分って、面倒な客?

          冬になると毎年いいニットを1着買う

          中学生か高校生くらいのとき、母と「笑っていいとも」を見ていると、テレフォンショッキングに中井貴一が出ていた。中井貴一が着ていたのはグレーのVネックのシンプルなニットで、それは素人目にはどうみてもユニクロのエクストラファインメリノだった。週末になると1990円まで値段が下がる割に高品質で暖かく、「MADE IN VIETNAM」という文字をみてコストパフォーマンスの裏にある労働という名の不平等に悲しくなるあれだが、「中井貴一が着るとユニクロでもこんなにカッコよく見えるんだね」と

          冬になると毎年いいニットを1着買う

          カナダ人アウトドア兄妹が教えてくれた”ビーチサウナ”の幸せ

          私的サウナ史を塗り替える出来事は突然やってきた。 時は2週間前にさかのぼる。隣村の集落に遊びに行ったときのこと。彼女がカウチサーフィンで知り合ったカナダ人のきょうだいがその集落に遊びにきているということで、会いに行った。そのきょうだいは一緒に旅をしていて、しばらく前から日本に旅行者としてきていたものの、コロナの関係で帰れなくなってしまっていたのだという。南の島で足止めをくらい、集落でカフェを営むファミリーの家に2か月近く滞在していた。 その日、集落で自分的サウナ史を塗り替

          カナダ人アウトドア兄妹が教えてくれた”ビーチサウナ”の幸せ

          極私的カルチャー日記〜わたしの本棚②実用書・ノンフィクション〜

          本棚を通して脳内を公開するシリーズ第二弾。 きょうは、実用書とノンフィクションを紹介します。 <実用書>『失敗の科学』マシュー・サイド(ディスカバー・トゥウェンティワン)「人はどうして失敗するのか?」という、永遠のテーマについて、事実とデータ、科学でとことん突き詰めた一冊。プロフェッショナルでもミスをするのはなぜか?ミスを減らせた航空業界とミスを隠す医療業界の差は何だったのかー。失敗から人間はどう学ぶべきかということを徹底的に分析した本です。 私自身、読書家と呼ぶのは憚られ

          極私的カルチャー日記〜わたしの本棚②実用書・ノンフィクション〜

          極私的カルチャー日記〜わたしの本棚①小説・文芸・モチベ系など〜

          涼風肌に心地よく、日陰の窓辺での読書がメキメキ進むこの季節。奄美地方はきょう、全国で最も早く梅雨入りしてしまいましたが、気持ち良い晴れの日が続く本州ではまだまだ、コロナ自粛ムードおうちで普段は読まない本を一気読みしよう、と考えている人もいるのではないでしょうか。 ところで、本棚やプレイリストって、なんだか自分の趣味趣向、頭の中がそのまま表れているようで、人に見せるのは恥ずかしいという気持ち、ありませんか。 私もそうではありますが、今回は脳内をさらけてでもおすすめしたい本を

          極私的カルチャー日記〜わたしの本棚①小説・文芸・モチベ系など〜

          コロナパニックで”視野の広さ”を失わないように

          ことしは例年通りの大型連休、とはいかず、ほとんど出かけていない。 基本は家でギターを弾いたり、島唄の練習をしたり、本を読んだり。あとは近くの知り合いの畑に野菜を買いに行き、近くの海のあずまやで涼んでいるくらいだ。スーパーへの買い物を除けば、会って至近距離で話した人は、連休中で通算2人。まあまあ頑張っていると思う。 そんな中、こんな記事を見つけてしまった。 緊急事態宣言の中、営業を続ける店舗に対して批判が殺到しているという記事。こわすぎる。 また、ツイッターでこんな投稿も

          コロナパニックで”視野の広さ”を失わないように

          令和は新時代になったのか

          元号が令和に改まって1年が経った。 平成最後の日は、静岡市にあるサウナの聖地「しきじ」で過ごしていた。60度にしては熱い、湿度高めの薬草風呂の中で、天皇が生まれてからそれまでを振り返る民放の特番を裸のおじさんたちと一緒にボーッと眺めていた記憶がある。 その晩、名古屋の居酒屋で飲んだくれているうちに、いつの間にか平成は過去のものになっていた。カウントダウンをするわけでもなく、自分が生まれた一つの時代が終わったことに何の感慨もなかった。 改元によって「時代が変わった」気になり

          令和は新時代になったのか

          「寝かせること」の大切さ

          きょう、2週間ぶりに三味線の稽古に行った。 週に1回、2時間をほぼ毎週欠かさず続けていたので、ブランク明けは鈍っているのではないかと心配だったが、 演奏を初めて見るとおもしろいことに気付いた。 迷いのあった譜面の進行、バチで弦を叩くときのクセ、余計な思考や動作が削ぎ落とされ、とてもスムーズに弾くことができ、これまで毎回間違っていたところで間違えなくなっていたのだ。 演奏後の達成感の中で、これは「超回復」のようなものではないかと思った。 筋トレで体を鍛えるとき、絶え間なく

          「寝かせること」の大切さ

          ある靴磨き職人との出会い

          就活を終えた大学4年の初夏、下北沢の古着屋で一足の靴を買った。 焦げ茶色のストレートチップ。薄暗い店でオレンジのスポットライトを浴びていたその靴はとにかくカッコよく、黒い靴しか履けなかった就活が終わったのだからと9500円で衝動買いした。 しかし、帰って袋から出してみると驚いた。かかとの内側に無数の黒い傷がある。おそらく前に履いていた人が、かかとの靴底でひっかけて脱ぐ使い方をしていたものだった。 自分の革靴クリーナーでは何度磨いても落ちない。店では全く気づかなかったのに…薄

          ある靴磨き職人との出会い

          一部で全部を判断するな(サウナ随想1/26・西田温泉)

          人間は寝不足になると不安になる。 普段はなんとかなるさ、と思えることでも楽観的に考えられなくなり、何が嫌なことがあったわけでもないのに、なんとなく、ブルーな気持ちになる。 人が抱える悩みの半分は、睡眠不足と人間関係の問題が占めていると思う。 アメリカ国防総省は、7日間眠らないで飛び続ける「ミヤマシトド」という渡り鳥の脳を研究して眠らない兵士を作ろうとしている、と 大学受験の時に横浜国立大の英語試験の過去問で読んだのを覚えているが、とりあえず言えることは、日本人はもっと寝た

          一部で全部を判断するな(サウナ随想1/26・西田温泉)

          「あした死ぬ」と思って暮らす

          中学生のときだったと思うが、人志松本の「◯◯な話」という番組があって、オードリーの若林がこんなことを話していた。 「最近ぼく、スタッフさんとか先輩とかに、『お前今大事な時期だからな』って言われるんですけど、一回こっきりの人生を行きてるんですよ。だから、生まれてからきょうまで、大事じゃなかった時期はないんですよ。俺の大事な時期を勝手に決めてくれるな!俺がのたれ死ぬようなことがあっても、ものすごい大事な時期なんですよ。高2の冬も、二十歳の秋も、大事な時期。来年の夏もそうですよ」

          「あした死ぬ」と思って暮らす

          「クビになる日」を考えて暮らす

           今の会社をある日突然クビになったら、自分はなんの仕事ができるのだろうか、どれだけの市場価値があるのだろうか。ふと、考えた。  ことしは、この問いに向き合い続ける年にしようと思う。  ある程度の大企業であれば、正直、ボーっとしていても年功序列で給料は上がっていき、満足に暮らせるだけの給料がもらえる。企業や仕事の考え方が変化し続けるいま、日本企業的な終身雇用のシステムがいつまで続くのかわからないが、大企業であればあるほど、しばらくは変わらないだろう。  同じ仕事を何年かして

          「クビになる日」を考えて暮らす