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「クビになる日」を考えて暮らす

 今の会社をある日突然クビになったら、自分はなんの仕事ができるのだろうか、どれだけの市場価値があるのだろうか。ふと、考えた。
 ことしは、この問いに向き合い続ける年にしようと思う。

 ある程度の大企業であれば、正直、ボーっとしていても年功序列で給料は上がっていき、満足に暮らせるだけの給料がもらえる。企業や仕事の考え方が変化し続けるいま、日本企業的な終身雇用のシステムがいつまで続くのかわからないが、大企業であればあるほど、しばらくは変わらないだろう。

 同じ仕事を何年かしていれば、最低限の仕事をするための労力はかなり小さくなる。つまるところ、仕事が早くなる。ただ、それで「仕事ができるようになった」と喜ぶのは危険すぎる。最低限の仕事を簡単にこなせるようになるほど、ルーティン化し、意識しないと”思考しなくなる”からだ。新人の頃は「どうすればいいんだァァ」と悩んでなんとか仕上げていたことも、大して考えずにできてしまう。この状態を放置しておくことこそが、「会社にしがみつくしかない大人」への第一歩だと思う。
どんなことをすればもっと面白いことができるのか、もっとアウトプットを出せるのか、貪欲に思考を深めないといけない。そのために適度なストレス、競争は必要だと思っている。

 3という数字にはスピリチュアルな何かがある、調和のとれた 人生、恋愛、金、重要な決断のタイミングは3の周期でやってくる、と書いてあったネットの記事を信じるわけではないが、社会人3年目というこの時期、転職活動を始めたり、実際に転職を決めた同世代の人に多く出会う。しかも、名の知れた大企業に身を置く人ばかりだ。

 自分自身のキャリアアップ、ワークライフバランス、結婚や家庭といった人生設計・・・転職の動機は人それぞれだが、年末年始に久しぶりに話したある友人は、昨年の末に、大手信用調査会社を辞め物流関係の企業に転職した。かなり謙遜していたが、話を客観的に総合すると、業績も優秀で社内の人事評価も高かったみたいだ。
「3年しか働いていないのにおこがましいんだけど・・」と前置きしつつ、

「楽しかったけど、ある程度いろいろ経験して、同じことの繰り返しなんじゃないかと思ってしまった」 と話してくれた。
給与も待遇も前の会社には劣るが、刺激的で楽しいという。

 自分が身を置く業界の現状と自分の能力・将来を客観的に比較して転職を決めるのは、簡単にできることではない。しかも安定した企業で、向上心もなくなんとなく過ごしていたらそういう決断にはならないはず。「苦労して得たもの捨てる」という決断は「どちらか一方を選ぶ」という決断よりもはるかに難しい。

 はて、今の仕事をしながら、自分自身の市場価値を高めるためにはどうしたらいいのか。

 以前話した私の会社の先輩が、こんなことを言っていたと思い出す。

「俺は日々の取材にいくとき、”転職するならどの業界がいいかな”って考えているよ。そういう視点だから思いつく質問もあるし、逆に今の仕事が楽しくなることもある」。

 自分自身のことを考えてみると、今の仕事はうまくいかないことの方が多いし、3年目になっても上司に怒られまくっていて情けなくなる日々だが、仕事自体は楽しいし、好きだ。ある程度、自分に向いているとも思う。
でも、会社という居場所を失い社会に放り出されたとき、自分にどんなことができるのか。全くわからないし、知らないとまずい気がしている。
転職をしたいかどうかに関わらず、転職を考えながら今の仕事を続けることは逆説的だけど必要なことなのだと思う。会社にしがみつくだけの大人にはなりたくない。

 始めからアウトプットを想定していると、インプットの解像度は増す。
思考ながら毎日を過ごし、出来る限り表現して、自分の将来を考える1年にしたい。

 まずは、「ボーっと生きないこと」かな。

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