マガジンのカバー画像

【連載】あれこれと、あーと

10
gallery hyphenのオーナーによる独り言。 「身近にひそむアート」をテーマに、あれこれとつぶやきます。 サイトはこちら→http://gallery-hyphen.lo…
運営しているクリエイター

#写真

おい、お前はどうなんだよ。

おい、お前はどうなんだよ。

私は写真集が好きだ。
ページをめくるたび、ぐわわっと作品が現れて毎回「おお!」と新鮮な驚きを味わえるし、じっくりなめるように見たり、食い入るように近寄って見たりしてもだれにも怒られない。展覧会では気が付かなかったことや見落としていたディティールも発見できたりして、楽しみが尽きない。

いつでも好きな時に写真家の目で見た世界を体感できるから、とても贅沢な鑑賞体験だと思う。印刷や装丁、構成にもこだわっ

もっとみる
名もなき記憶の欠片たち。そして寂しさ

名もなき記憶の欠片たち。そして寂しさ

「目もくれず」という言葉がある。
少しの興味・関心も示さない。 見向きもしない。 という意味だ。

とめどなく眼に飛び込んでくる世界

人間の五感から得る知覚は、その大部分が視覚による。人は、一瞬一瞬、膨大に流れてくる情報を瞳に受け止め、凄まじいスピードで処理し、知覚と選別を繰り返す。視覚のそれは他の器官を圧倒的に凌駕する媒体なのだ。

たとえば朝、眠りから覚めた時。あなたは目を瞬かせながら外の世

もっとみる
それでも、「滅び」は美しい。 第一稿

それでも、「滅び」は美しい。 第一稿

アート/空家 二人

GWに、現代アートを取り扱うギャラリー「アート/空家 二人」を訪問した。ここは、作品を1万円から販売していて、購入されるごとに次回作の価格が上がるという独自のシステムを導入しているギャラリーだ。

一軒家を改造して作られたという展示空間は、明るく広々としていて、作品をじっくりと堪能できる。室内は、畳や台所、洗面所などの住居設備はそのままにしていて、「家感」がそこかしこに漂って

もっとみる