二十山文仁

はたやまふみとと読みます。文筆家目指して活動中。noteでは基本ブログ形式で、小説(鋭…

二十山文仁

はたやまふみとと読みます。文筆家目指して活動中。noteでは基本ブログ形式で、小説(鋭意リライト)のほか、日記(生活や育児その他備忘録兼ねる)、映画や音楽など趣味にまつわるエッセイを書きます。メディアやイベント情報が出れば都度掲載します。

最近の記事

日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_10

2023/11/6 妻が職場へ二人分の退職申し出を伝えに行く。重要役職者方にも直接挨拶してくれて、感謝し切れない恩が出来た。妻が帰宅するまでの時間も挨拶が終わってからの時間も、部屋からほとんど出られない。せめて開口一番感謝の意は伝えたい、がどうしてもだめ。梱包作業も未消化。もちろん安心したが、この日まるごとすごろくでいう「一回休み」のよう。 11/7 夜中から爆弾低気圧到来。家の外から聞こえる風の音に耳が沖縄を思い出し、しばし感傷に浸る。天気に気分が左右されることはあまりな

    • 石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー6)

      2022年日本公開の映画、フェイバリットなベストテンについての記録誌。 日本映画と海外映画を問わない形で。 1.炎のデス・ポリス(監督:ジョー・カーナハン、2021年製作) 2.13人の命(ロン・ハワード、2022) 3.リコリス・ピザ(ポール・トーマス・アンダーソン、2021) 4.アポロ10号1/2 宇宙時代のアドベンチャー(リチャード・リンクレイター、2022) 5.ピノキオ(ロバート・ゼメキス、2022) 6.WANDA/ワンダ(バーバラ・ローデン、1970) 7.

      • 日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_9

        2023/11/2 朝から練馬の家を飛び出して、新宿へ邦画を2本見に行く。都心の映画館に出かけるのは、これを機にしばらく控えることとする。 車で移動中、渋滞にハマったことで酷く焦り、車を路肩に停めてこれまた無駄に妻へ電話。つくづく重い彼。出来た妻は優しい言葉をかけてくれ、解決策を淡々と教えてくれる。 あんまり情けなかったため、帰りは妻が妊娠中に唯一吐かずに美味しく食べられたRITUELのケーキを買って帰る。映画はどちらも好み。久しぶりに劇場で満足感を味わうことができ、無性に嬉

        • 石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー5)

          2021年に日本公開された映画のベストテンについて個人的なメモ。 日本映画、海外映画を問わない10本。 1.ビーチ・バム まじめに不真面目(監督:ハーモニー・コリン、2019年製作) 2.オールド・ジョイ(ケリー・ライカート、2006) 3.草の響き(斎藤久志、2021) 4.愛のまなざしを(万田邦敏、2020) 5.ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(トッド・ヘインズ、2019) 6.キング・オブ・シーヴズ(ジェームズ・マーシュ、2018) 7.ミークス・カットオフ

        日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_10

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_8

          2023/10/29 お土産を買い回るため妻、娘、母と市内を車でうろうろ。必要確実な個数を表にまとめて、少しでも買い物がスムーズに進むよう努める。もっと適当にやればいいものを。結局皆を振り回していたのかもしれないし、結局それは今にならないと分からない。 両親から引越し初期費用分の資金を工面してもらう。必ず返さなければならない恩を、この歳になってまた受けてしまった。プレッシャーとは捉えないが、二人を早く安心させたいと心から思った。 10/30 東京帰還。 この2ヵ月(発症、離

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_8

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー4)

          2020年に日本公開の映画ベストテン。 1.ヴィタリナ(監督:ペドロ・コスタ、2019年製作) 2.空に住む(青山真治、2020) 3.死霊魂(ワン・ビン、2018) 4.れいこいるか(いまおかしんじ、2019) 5.魔女がいっぱい(ロバート・ゼメキス、2020) 6.ブルータル・ジャスティス(S・クレイグ・ザラー、2018) 7.リチャード・ジュエル(クリント・イーストウッド、2019) 8.一度も撃ってません(阪本順治、2020) 9.空に聞く(小森はるか、2018)

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー4)

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_7

          2023/10/25 まだ実家にいる。 エアコン設置業者の対応、引越しの電話対応2件。疲弊したのか、夜中に強めの不穏状態に陥る。家族、友達、自らの将来、これまでの生き方他ありあまる無駄な色々なことに思考を巡らせては、声に出してそれを否定したり怖がったり、部屋で一人静かに暴れて過ごす。明け方、ようやく寝落ち。 10/26 妻にも好きな映画を見るため出かけてもらい、娘と8〜9時間ほど二人きりで過ごす。夕方にこの歳の差でも喧嘩みたいな空気になりかけたが、気まずそうに擦り寄ってくれ

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_7

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_6

          2023/10/21 娘と二人、30分×2回横に並んで眠れた。『お笑いの日2023』?というようなタイトルの番組が流れるテレビを横目に一日無為に過ごす。さらには、KOC決勝戦を眺めながら一時間半ほど家族と話さずぼうっとしてしまい、気付けばリビングには自分以外誰も居なかった。夜を迎えるまで、趣味などに時間を費やす気力は湧かず。ひたすら家の中で何もしない。これが治療でありセルフケアであると。言わんとすることは分かるけれども。胃荒れ深刻。食欲は亢進、減退を繰り返している自覚症状あり

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_6

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー3)

          2019年に日本公開された映画のベスト10。 今になって記録用のノートを見返すと、もはや鑑賞条件的に見ることの叶わなそうなものも入っていたりして、この歯痒さにこそ小さな快感を得る。 続けるってなーんて素敵、続けるってなーんて大変と歌ってたのはファースト・アルバムを出したばかりのおとぎ話だったか。 1.恋するふたり(監督:稲葉雄介、2018年製作) 2.ワイルドツアー(三宅唱、2018) 3.さらば愛しきアウトロー(デヴィッド・ロウリー、2018) 4.ドント・ウォーリー(ガ

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー3)

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_5

          2023/10/17 過酷な内容の悪夢を見て目覚める。地球上の自分以外の生命がゆっくり目を閉じて、滅亡していくさまをひたすらに見届ける。実在の親しき人々の死に際を何度も見せつけられる。 日中、精神的な不安が強くあり、お金を使いたくなったため、TSUTAYAとマクドナルドへ一人で出かける。芳しくない体調、思考の詰まりは一向に善くならず、18時頃から自室にて薬を飲み横になる。 10/18 今週はじめより徐々に精神状態の飛空高度が下がりつつある自覚あり。ざわつきは遠くの方からやっ

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_5

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_4

          2023/10/14 真夜中の読書中、乾燥器の満水を報せるアラート音の幻聴を耳にする。 昨日においては昼間、娘のただならぬ様子の泣き声が聴こえ洗面所から急いでリビングへ駆け戻ったが、娘はこれといって興奮した様子もなくおもちゃで遊んでいて、リビングに居た妻、母と黙って見合ってしまった。妻は自分の焦る様子に気付き、優しく声をかけてくれた。 また実家で、2階の自室にこもっているときに、階段下から家族の声で「文仁」と呼ばれ(両親どちらかの声のはずだがはっきり思い出せない)、返事をして

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_4

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_3

          2023/3/7 娘のお風呂に一緒に入り、洗いじめに身体を立たせて肩まで浸からせたときに、突然嘘みたいな笑顔を作られ、思いきり笑われた。 「きゃはは!」 介助に入っていた妻と俺は、あまりの衝撃に目を見開いた。娘が生まれて初めての、明らかに「笑い」。 黙って顔を見合わせてたら、もう一度「ェハハ!」と甲高い声を出す。 二人は情けないことに思考がホワイトアウトしてリアクションとれず。 娘は、自身が発声して笑った行為自体に違和感を覚えてしまったのか、 両親の反応が時化ているように見

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_3

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー2)

          (ネットの海を漂う過去の自分が書いたテキストを掬い上げる。別人のものと思えてしまう文体、好みのありように衝撃を受け、大変新鮮に感じられたため、新たにここへ移行し残しておく) 2017/12/26 2017年の好きだった映画ベスト10。 1位 マリアンヌ (監督:ロバート・ゼメキス) 2位 散歩する侵略者 (黒沢清) 3位 ファウンド (スコット・シャーマー) 4位 パーティーで女の子に話しかけるには (ジョン・キャメロン・ミッチェル) 5位 ミス・ペレグリンと奇妙なこども

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー2)

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_2

          11/26 生まれたばかりの娘とガラス越しに面会。臍の緒にこぶができて、首を絞めてしまい心拍が弱まった。オペは急いで執り行われた。息をしてないように見えるほど動かないが、微かに揺れたり舌を出したり。 PPE対応を条件に、30分妻との面会を許可される。死ぬほど頑張った直後。会話の合間に無意識に唸り続けている。 機器に繋がれた自分を撮れと言われ渾身のピースサイン、これには引きながらiPhoneを向ける。 各方面へ連絡、書類を準備。関係性の深さと文面の温度のバランスを度々間違える。

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_2

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー1)

          32歳になってすぐのとある日。国内、海外製作を問わず、オールタイム・ベストムービー300を一覧にしたことがある。 幼少期からずっと映画が好きで変わらない。リストを作ろうと思ったのは、コロナ禍がきっかけでもあった。 例えば思い付いた作家ごとにベスト3まで選び、年代順に並べる作業。 あの頃好きだった気がしたものの、今はどうよ?とその作品をかいつまんで見直してみる作業。 自分に正直に、理屈抜きに好きだと言えるもの、時期ごとに正確に衝撃を受けたもの、などのコンセプトは念頭に置きつつ

          石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー1)

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_1

          2022/11/26 13時26分。 コロナ禍にて出産の立会いは不可。 産婦人科病棟駐車場にて車内待機中、着信が入る。 「二十山さん」 術前に約束を交わした男性医師の声と異なる、おそらく助産師の女性の快活な声。 「元気な女の子です。保温器の中に居てもらいますからね」 精一杯大人らしく返事。焦っておりませんと。電話を切り、嬉しい嬉しいと一人で何遍も呟いたが、妻の状態も早く教えてほしかった、聞けばよかった。冷静さの欠片もなし。 10年以上も前、旅行先のホテル滞在中に火災報知器が

          日日と魂に(子育てや疾患についての走り書き)_1