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石灰岩のスクリーン:闇りの中心へ(映画エッセー5)

2021年に日本公開された映画のベストテンについて個人的なメモ。
日本映画、海外映画を問わない10本。

1.ビーチ・バム まじめに不真面目(監督:ハーモニー・コリン、2019年製作)
2.オールド・ジョイ(ケリー・ライカート、2006)
3.草の響き(斎藤久志、2021)
4.愛のまなざしを(万田邦敏、2020)
5.ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(トッド・ヘインズ、2019)
6.キング・オブ・シーヴズ(ジェームズ・マーシュ、2018)
7.ミークス・カットオフ(ケリー・ライカート、2010)
8.ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(ジェームズ・ガン、2021)
9.サマーフィルムにのって(松本壮史、2020)
10.砕け散るところを見せてあげる(SABU、2020)

製作と日本初公開が2021年じゃないもので最も感動したのは『憂鬱な楽園(35mm上映) 』、『ゾンからのメッセージ』。この年に劇場で見られて本当によかった。
『風が踊る デジタルリマスター版』、『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』も面白かった。もちろん『アイス・ロード』も。見逃して厳しいと思っているのが『デッドロック』、『最後にして最初の人類』、『ボストン市庁舎』、『水俣曼荼羅』。翌年の巨匠新作連打に向けて待機、と自分なりに気合いを入れていたよう。

また、当時Twitterでこんな#も流行っていたらしく、

#わたしの年ベス1位洋画10年分
2012年 Virginia/ヴァージニア(フランシス・フォード・コッポラ、2011)
2013年 ムーンライズ・キングダム(ウェス・アンダーソン、2012)
2014年 収容病棟(ワン・ビン、2013)
2015年 アメリカン・スナイパー(クリント・イーストウッド、2014)
2016年 ザ・ウォーク(ロバート・ゼメキス、2015)
2017年 デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人(S・クレイグ・ザラー、2017)
2018年 30年後の同窓会(リチャード・リンクレイター、2017)
2019年 ドント・ウォーリー(ガス・ヴァン・サント、2018)
2020年 ヴィタリナ(ペドロ・コスタ、2019)
2021年 ビーチ・バム まじめに不真面目(ハーモニー・コリン、201

#わたしの年ベス1位邦画10年分
2012年 アウトレイジ ビヨンド(北野武、2012)
2013年 なみのこえ YIDFF特別版(濱口竜介、2013)
2014年 超能力研究部の三人(山下敦弘、2014)
2015年 螺旋銀河(草野なつか、2014)
2016年 ジョギング渡り鳥(鈴木卓爾、2015)
2017年 息の跡(小森はるか、2015)
2018年 きみの鳥はうたえる(三宅唱、2018)
2019年 恋するふたり(稲葉雄介、2018)
2020年 空に住む(青山真治、2020)
2021年 草の響き(斎藤久志、2021)

本国での製作年でなく、日本公開年を基準にベストテンを日記につけていた。2024年7月現在見返してみても、おおむね賛成。どれも傑作ばかり。『アメリカン・スナイパー』から十年近く経過していることに背筋がひやりとする。イーストウッドもワイズマンもゴダールも(タロットカードのホドロフスキーも)みんな元気すぎた。自分も、若い女性を猛々しく抱けなくったって、90歳代までステーキを食い続けることを目標としたい。
こんな仕方ないことを今も本気で考える。先日マイケル・マンの『フェラーリ』を見て心底肝が冷えた。逸脱に次ぐ逸脱。身構えている膝の裏を軽く小突かれて、よろけて受け身を取ろうとしたらメガホンで顎からぶん殴られた感じ。頭の悪い文章表現だが、本当にそうだったのだ。

言いたいことは、10年かけても自分の中身は大して変わらない(知識量も脳の底が見えてきた気がしてつくづく時間は容赦がない)。

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