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日日と魂に:子育てや疾患についての走り書き_2

11/26
生まれたばかりの娘とガラス越しに面会。臍の緒にこぶができて、首を絞めてしまい心拍が弱まった。オペは急いで執り行われた。息をしてないように見えるほど動かないが、微かに揺れたり舌を出したり。
PPE対応を条件に、30分妻との面会を許可される。死ぬほど頑張った直後。会話の合間に無意識に唸り続けている。
機器に繋がれた自分を撮れと言われ渾身のピースサイン、これには引きながらiPhoneを向ける。
各方面へ連絡、書類を準備。関係性の深さと文面の温度のバランスを度々間違える。

11/27〜30
ほぼ記憶なし。映画一本、ネトフリでドラマ『ウェンズデー』、GOGホリデースペシャルを見るなど。かまぼこを焼いて食った。何故か水曜どうでしょう以外のテレビが見られなくなる。後から妻に聞くと自分はジャニーズ関連のみ見れたと(生粋のジャニオタ)。

12/1
祖母(二十山の母)上京。最寄りまでの行程を説明。祖父の糖質制限の影響で自分まで美味いもの食えないとぼやいていた。外食へ連れて行く。

12/2
東京の住まいに自分の母が居る時間の何とも言えなさ。ステーキ屋で、いつもの店員のおっさんが母にデレつく。鬱陶しい。

12/3
退院する妻と娘を迎えに。
車窓から差し込む光に照らされる娘の皮膚から目が離せない。
祖母の呼び方が仮でババティになる。

12/4
娘、出産直後以来の大泣き。たまたま抱いていた父(自分)も大泣き。ようやく娘の生を実感、緊張の糸が一緒に切れた。
妻が、祖母から見えないところで慰めてくれる。
糖質制限中の祖父から、自炊の夕食の写真が送られてくる。

12/5
腰が冷たく、痛むようになる。

12/6
吐き出したミルクが入ってしまったためか、間違えて父の乳を吸おうとして柔軟剤を使ったTシャツに擦り付けたためか、娘の右眼周囲が赤く腫れる。妻がシャワー中に気付き、指示を受けるまで何も出来ず狼狽えてしまった二十山家2名は落ち込んだ。
ようやくげっぷをさせる技術が上達した。
東大の殺人事件。

12/7
沐浴とオムツ替えをくり返し、腰部がより冷たく感じるように。誰にも言えず、一人緊迫した状況に陥る。

12/8
娘を祖母に託し、妻と気晴らしに外へ。駅のIN NATURALで無駄に高級なタオルなどやけに買い漁る。
腰にモーラステープを貼るようになる。

12/10
予定より一日早く、ババティが帰る。

12/12
妻と喧嘩。先行きに不安を覚える。お互い様すぎる。

12/13
新生児用3000gのオムツが限界を迎えたため、卒業。クーファンが尿漏れでびしゃびしゃに。ゴミ捨てをしに早朝外へ出ると、恐ろしく冷え込んでいた。ここまで寒くなっていることにこの日まで気付かなかった。

12/16
娘がどうやら初便秘。踏ん張って苦しんでるように見え気持ちが落ち着かず。職場の不満や不安が、些細な内容であるのにも関わらず神経を苛む。
育児の所作が荒くなっていたのか、娘を全く寝かせつけられず苛立つ自分に妻が「今日は寝ろ、目覚ましかけずに、私は大丈夫だから」と声をかけてくれら別室へ移動。内服薬を飲み、ラインに既読をつけ、スマートフォンで水曜どうでしょうを流しつつ目を瞑る。不意にベッド傍の窓枠にかけられたカーテンを力任せに引き、レールが破損してしまう。欠けたプラスチックの破片をゴミ箱に向けて力任せに放る。メンタルがぶれている。胃も悪くなり消化機能が働かない。いま忘れてる自分の周りのものを一つずつ思い出し、取り戻すのだと声に出して自身に言い聞かせる。
自分の頭の中だけで、サイレンが鳴った?

日付不明
ちいちゃな呼吸。
ふと絞り出される細い悲鳴。
こんな薄着でも寒くないらしいから不思議だ。
心配で一睡も叶わない日が続いたが、
可愛い悲鳴を聴いて、
暗闇に潜む寝顔を見つめるだけで、
幸福を実感する夜が来た。

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