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『新型格差社会』を読んで

コロナ禍で可視化された日本における様々な格差について解説している。家族、教育、仕事、地域、消費の5つの分野に分けて書かれているのだけど、この中の地域格差に気になる下りがあったのでそれについて書いておこうと思う。

こうしてリモートワークが社会的に定着したとしても、100%フルリモートでない限り、遠方の地方への移住は難しい現実もあります。
それを示すようにコロナ以降、時に転入者が増加したのは、埼玉や千葉、神奈川などの都市近郊エリアです。神奈川県の逗子や鎌倉などの湘南エリアは人気で、中古物件を探す人も多いと聞きます。風光明媚で四季を楽しめる、毎日の通勤は少々きついが、週に一、二回程度の出社なら可能。そういったエリアが好まれています。
(中略)
そう、コロナ以降地方移住で重視されているのは、東京へのアクセスの容易さなのです。
とはいえ、この傾向は今になって始まったわけではありません。高度経済成長期以降、都心へのアクセスは常に重視されてきました。「職住接近」は長時間労働が一般的な日本社会では、前提条件ですらありました。仮に終電が近くなっても、なんとか自宅にたどり着ける。そのためには利便性の高い路線に自宅を構えるのが一番ですから。
(中略)
コロナ以降の「勝ち組」「負け組」の土地や地方が出現していくでしょう。そこに顕れるのは、単なる人口の増減だけでなく、文化・産業的な「勝ち・負け」です。個人だけでなく、企業が従業員のためのワーケーション滞在施設を設けたりなどの動きも生まれています。その流れにコミットできる土地と、新たな魅力を発信できずに見いだされない土地が確実に生じていくのです。(第4章地域格差 ~土地の「勝ち組」「負け組」P.131~134より抜粋)

随分と長い引用をさせてもらったが、以前から読んでいるドイツのまちづくりのほんと自身のたびの経験から、上記のライフスタイルが「職住接近」と定義されていることと、「まちづくりにおける違和感と隙間のないまちづくり」が僕はとても気になった。

「職住接近」について

長時間労働が一般的な日本社会では、前提条件ですらありました。仮に終電が近くなっても、なんとか自宅にたどり着ける。そのためには利便性の高い路線に自宅を構えるのが一番

とあるのだけど、職住が近くあるということは余暇時間を作ったり、豊かに暮らすための発想であると思っていた僕にとってこういった説明はいがいであった。なので、日本の都市部では僕は職住接近は困難ないし出来ていない方が多いのではないかと感じている。なので、この定義ないし、感覚を根本から変えていく必要があるのではないかと感じた。体は1つだし、壊してしまっては元も子もないので。ただ、この辺りの感覚は世代によっても違うのかもしれない。


「まちづくりにおける違和感と隙間のないまちづくり」

ヨーロッパにレースをしに行くと、必ず、集落都集落の間に緩衝地帯のように広い緑がある。農場だったり山だったり色々なのだけど、途切れなく家やビルが並び続けるのは、日本特有の風景なのではないだろうか。

日本は東京を中心に一極集中をして発展してきた(もちろんそれだけではないけれど)。一方、ヨーロッパの街並みは旧市街を中心に都市部が形成され、その衛星のように多くの集落が点在し、緑や空間が多く残る。地形的な事情は承知しているが、空間や土地がなければそもそも開発の余地がない(開発は公園だったり、自然を親しむこと含め、建造物に限ったことを指していない)。

そのため、古くなった家を建て壊したり立て替えたりが日本では主にならざるを得ないのではないだろうか?利用可能な土地がかなり限られている以上の利活用がどこまでできるかは疑問が残るし、合意形成などに苦労するように思える。

こういった場合、必要になるのは明確なビジョンだ。どんな街にするのか?目指すのか?何が街の魅力なのか?それを活かすためにはどうすべきか?現在の街の課題は?その課題解決のためには?そのために何が必要で必要でないのか?かけられる予算は?…考えるべきこと、取り組むべきことは山とある。これらを話し合う、そもそも議論する、必ずしも誰が正しくて間違ってということではなく、そういった素地をどんどんと育てる必要があると思う。


今回僕が気になった点について、残念ながら僕は解決策を持ち合わせていないし、僕一人でどうこうできるものでもない。けれど、もし誰かが少しでもなるほどと思ってくれたならば、これから先に起こることについては影響を与えることができる。僕自身がこの時に何を感じ考えたかの記録の意味でもこうして記しておくことに意味はあると思っている。

コロナ禍で色々な意味で暮らしに余裕がなくなった。レースの出場も困難になり、大会の開催はハードルが一気に上がった。公私共に苦しい日々だ。僕だけでなく、多くの人が悩み苦しんでいると僕は思っている。だからこそ、問題提起や対話の提案など出来ることを出来る範囲、出来るペースでもいいから日々コツコツと続けていきたい。



【今後の予定】
7/25(日) 赤ちゃんから聞ける小さな小さな音楽会(第1部)と子どもも大人も一緒に学べる音楽会(第2部)

8/28(土) Duo Espoir 20周年記念リサイタル
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/10(日)トレイルシンポジウム2021

10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
10/31(日)第7回YAMANASHI Jr TRAILRUN in 武田の杜 

11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

「RUNNING ZUSHI」
逗子市内池子の森自然公園内400mトラックを拠点にしたランニングチームです。
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2021-05-12 07.45.23のコピー


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