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アジア訪問記

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アジア訪問記まとめ。中央~南アジア中心です。
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2019年10月の記事一覧

カスピ海のごちそう

カスピ海のごちそう

 イラン北部、カスピ海にほど近い都会の街ラシュトを旅していた時の話。

 この地へ来た目的は三つだ。一つ目、アシュバルという魚卵の珍味を見つけ、食べること。二つ目、チョウザメの身を見つけること。そして三つ目、酒を見つけること。

 ノンフィクション作家で翻訳家の高野秀行氏の本「イスラム飲酒紀行」によると、イラン北部の街ラシュトでは、マーヒーセフィード(白魚)という魚の卵を塩漬けにして発酵させたアシ

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パミール高原・ワハーン回廊

パミール高原・ワハーン回廊

 一週間の滞在で、一生分の絶景を見たと言っても誇張表現にならないくらい、タジキスタンの辺境には美しい景色が広がっていた。

 中央アジアの中でも、日本から物理的に行きにくい辺境がタジキスタンのパミール高原とワハーン回廊である。特に、ワハーン回廊はそこへ向かう公共交通手段がないこと、ならびに日数上の制約から訪問を敬遠する旅人もいるくらいの辺境の地である(旅程は最後に記載)。

パミール高原 パミール

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風吹く丘、千年動く伝統の風車

風吹く丘、千年動く伝統の風車

 イラン北東部の村、ナシュティファ―ン。

 イラン第二の都市にしてシーア派の一大聖地・マシュハドから直線距離にして南に約250km。さらに東に約30km進めばアフガニスタン国境にぶつかる、イランの最果ての地にある人口7,000人程度の村である。

テヘランからナシュティファーンへ さて、僕はしばらくイランを旅している。北に接するトルクメニスタンから陸路で入国し、前述のマシュハドから主要都市及び辺

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ザグロス山脈でピクニック

ザグロス山脈でピクニック

 イランのザグロス山脈にはサルアガセイエッド(Sar Agah Sayed)という辺境の村があるらしい。そこは「世界の半分」エスファハーンから西に約300km、ザグロス山脈の谷にあり、山に沿って家が何層にも折り重なり連なっている集落に、春~秋の間だけ麓町から人が移り住んで放牧生活を営んでいるらしい。そんな情報を知り、景色見たさに訪れることとした。

 僕がその地に向かおうとしたのは金曜日。エスファ

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トルクメニスタンを通過して

トルクメニスタンを通過して

中央アジアの北朝鮮 世界に「〇〇(大陸・地域)の北朝鮮」と呼ばれる国がいくつかある。いわゆる圧政の君主独裁国家だ。
 中央アジアの北朝鮮は、タイトルにあるトルクメニスタンである。では南米の北朝鮮はどこだろうか?ヨーロッパは?アフリカは?この記事の一番最後に具体的国名を列挙していくので、頭の体操ということで想像しながら読んで頂きたい。あえて書いたが、一党独裁国家ではなく、君主(大統領・国王など)独裁

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未来都市・ヌルスルタン

未来都市・ヌルスルタン

 日本の建築家、故・黒川紀章氏が都市デザインに携わったカザフスタンの首都ヌルスルタン(旧アスタナ。2019年3月に突然、前大統領の名前が都市につけられた)。1997年にカザフスタン南東部のアルマトイから遷都されてからこの地の都市が作られることとなる(黒川紀章建築都市設計事務所HP)。

 改めて都市中心部の約5kmのエリアにおける目立つ建物を写真に収めてみた。とてもユニークな形の建物ばかりであるの

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