【スモールビジネス】「買ってください」より「売ってあげます」に人は集まる
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
リアル店舗での販売にせよ、ネット販売にせよ、自社の商品やサービスを販売する際、売る側からすれば、「買ってください」とお願いするのが一般的です。たとえストレートでなくても、それに近い意識で販売に臨む人は多いでしょう。
それは決して間違いではないのですが、「買ってください」より「売ってあげます」に人は集まると、自身で複数のジム経営をしながら、スモールビジネス専門集客コンサルタントとしても人気を博している日野原大輔さんは言います。
そのように持っていくためにはどうすればいいのか?
日野原さんは新刊『神・リピート集客術』の中で、「買ってください」より「売ってあげます」に人は集まるメカニズムと、その方向に持っていくための秘密を詳しく解説しています。そこで今回は、同書の中から該当箇所を全文公開します。
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商品・サービスに、絶対の自信があればできること
売れる商品、サービスになるかどうか、希少性の力は非常に有効です。
ただし、継続して来店していただくためには、「買ってください」とあえて言わないことをおすすめします。
「そうは言っても、営業トークは必要でしょう」と思われるでしょう。それはもちろんそうです。しかし、スモールビジネスをされる方は誰でも、自分の扱っている商品がいいものだと信じているはずです。そして、信じている商品に価格を決めて販売しているはずです。
だからこそ、信じた商品を安売りする必要はありません。これは実際に値段を下げるという意味ではなく、精神的な意味を含めて、ということです。実は、「買ってください」と言わないお店ほど、お客さまはリピーターになってくれるのです。
お客さま視点で、ライバル店を紹介する理由
たとえば、ある高級輸入車ディーラーのトップセールスの男性は、「オープンカーが欲しい」というお客さまがいても、それが自社になければ、別のディーラーを紹介することを主義としていたそうです。
一般的な営業マンなら、自分の売上を上げることを優先する人のほうが多いでしょう。自社商品のなかから欲しい車に近いものを提案し、「オープンカーでなくてもサンルーフですばらしい景色が見えます」「フルレザーシートで当たりが柔らかく、ラグジュアリー感が違います」などと言って、その気にさせようとするはずです。
ところが、その男性は無理に売らないどころか、「それなら〇〇にありますよ」とわざわざライバル店をお客さまに紹介するというのです。
常にお客さま目線に立ち、「オープンカーに乗って風を切って走ることこそが、そのお客さまの目的だ」と思えば、お客さまが喜ぶことを徹底的にやり抜くことが、彼の仕事の価値観なのです。
結果として、そのスマートかつ毅然とした対応がお客さまの記憶に残り、「彼なら信頼できる。次に買うときはこの人から買いたい」という思いを抱かせたということです。そんなお客さまが少しずつ増えていき、いつの間にか日本一の売上を誇るトップセールスにまで上り詰めたのです。
これはつまり、売り手の個性でお客さまの心をつかみ、商品を購入する際の判断基準を変えてしまったということです。
自分の商品・サービスに自信があれば、返金はいとわないという覚悟
私の例で言うと、「買ってください」ではなく、「無条件返金」を申し出て、リピート顧客を増やした経験があります。それはクレームからの逆転劇でした。
ある日、パーソナルトレーニングの体験に来たお客さまがいました。その方の目的は、ダイエットと腰痛の改善でした。体験時にトレーニングを行ない、私の指導が気に入って、その場で回数券も購入していただきました。
ところが、次の週にいらしたとき、「この間のトレーニングのあとに、腰痛が悪化した」とクレームをつけられました。そのような指導をしたつもりはないので聞き取りをしたところ、トレーニングの3日後に腰痛がひどくなったこと。そのあと鍼灸院へ行き、先生から「トレーニングが原因だ」と言われたとのことでした。
それに対して、トレーニングで腰の痛みは助長されないことと、「今日のセッション後も腰痛が出たら、チケットの残金は特別に返金します」とお伝えしました。
日本では、お客さまの勝手な都合による返金には応じないのが一般的です。ですが、私に不信感を持ちながら「もうお金を払ってしまったから」と、惰性でトレーニングをしても信頼関係は築けず、身体にいい変化は起こりません。それがわかっていたので後悔もありませんでした。
結果的に、その日のトレーニングでお客さまの腰痛はほぼなくなり、その後、通い続けてダイエットも順調に成果を出し始めました。さらには、「先生のトレーニングを受けて腰痛が改善した」というその方の口コミで、職場の同僚の方が「私もそのスタジオに行きたい」と来店されました。今ではお二人そろって、定期的に来店されています。
買ってもらわなくてもいいお客さまには無理に売らない
正直に言えば、そのときの私は、自分の価値を下げたくなかったのです。お客さまの言いなりになって謝罪するなどもってのほかです。その気持ちの表れが「返金」でした。その真意を汲み取っていただいたのかどうかはわかりませんが、2回のトレーニングでその方の心理状態が、おそらく不信から信頼に変わったのです。
自分が無理をして、価値観の合わない人をお客さまとして選びたくない。お客さまは神様ではない。対等でありたい。そう思う気持ちを貫いたことが、逆にその方とのボンディングになったというエピソードです。
言い方を換えれば、自分にウソをつかないことが、ボンディング接客術の核心なのかもしれません。
売り手としては、一人ひとりのお客さまに精一杯の情報を提供し、精一杯、寄り添いますが、それで買ってくれないなら仕方ない。自分の価値観と合わなければ安売りして買ってもらおうとしないという姿勢は、どの業種にも通用する話でしょう。
自分がお客さまの立場でも、「買ってください」より「この人に売ってあげたい」という気持ちが伝わってくるお店に心地よさを感じます。そして、「買って良かった」という満足感も高いと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。
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いかがでしたか?
「新規客の獲得」コストは、「リピート客の確保」コストの5倍かかるといわれています。スモールビジネスの経営を安定させるのに必要なのは、100人の新規顧客より1人100回の予約――。
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