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【スモールビジネス】お客さまは「通わなくなった理由」を説明しない。だから……

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
自分がお客の立場だったとして、そのお店のサービスや商品そのものに満足しなかったり、裏切られた場合、「もうこの店に行くのはやめよう」と思ったりしたことはありませんか?
 
その際、行かなくなった理由をわざわざお店側に伝える人はほぼ皆無でしょう。特に日本人は、欧米人に比べてその傾向が強いといわれます。
 
お店側からすれば、定期的に来てくださっていたお客さまが、ある日を境に来なくなったら、気が気ではないでしょう。何が悪かったのか、思い当たることがなければ、なおさらつらいものです。
 
自身で複数のジム経営をしながら、スモールビジネス専門集客コンサルタントとしても人気を博している日野原大輔さんは、新刊『神・リピート集客術』で、お客様が急に店に来なくなった理由の向こう側に何があるのか、それを回避するために何をすべきか、詳しく解説しています。そこで今回は、同書の中から該当箇所を全文公開します。

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来なくなった理由の向こう側にあるもの

 お店が提示するコンセプトに共感し、リピート客になってくれる人がいる一方、いつの間にか離脱し、来なくなる人もいます。
 しかし、辞めていくときに本当の理由は教えてくれません。なぜなら、教える必要がないからです。
 もっと言えば、辞める少し前から「辞めよう」と考えているはずです。
 たとえば、1年続けた英会話教室を辞めようと思っている人は、「講師と相性が良くない」「長く通っているわりに効果が感じられない」「1カ月にこれだけ支払うなら、ディズニーランドに行ったほうが楽しいかもしれない」「駅から近いあっちの教室のほうが、料金も安いし予約も取りやすそう」など、何かしら比べてマイナス評価がプラスを上回り、最終的に来ないことを選びます。
 それはつまり、お客さまにとって〝必要のない存在〞とみなされたことを意味します。そうなったら二度と取り返しがつきません。
 しかし、お客さまも初めはその場所が必要だと思うから通い続けてくれたはずです。トレーニングスタジオなら、「自分には運動が足りていない」「運動は続けないと効果が出ない」という認識があり、勇気を出して体験に来てくれたのだと思います。そして、体験のあとには「入会しませんか?」の営業トークがあることも承知していて、ハードルをいくつも越えた上で「ここで続けてみよう」と決めたに違いありません。
 なのに「辞めたい」気持ちにさせてしまったとしたら、そこには私たち店側の責任もあるのではないでしょうか。
 これはレッスン系ビジネスに限った話ではなく、カフェや居酒屋さんであっても、本屋さんであっても、クリーニング屋さんであっても同じです。よく見かけていたあの人が、常連の〇〇さんが、ある日を境にパッタリ姿を見せなくなったとしたら、経営者として、特に個人に近い形でお店をやっているスモールビジネスオーナーなら、経営に不安を感じるのはもちろん、切なさが身にしみるでしょう。
 だったら、お客さまが黙っていなくなる前に、いい関係性をつくったほうがいいとは思いませんか?

お客さまが黙っていなくなる前に講じたい接客メソッド

 その解決策となるのが、これからお話しする「ボンディング接客術」です。
 テクニックやポイントはいろいろありますが、ボンディング接客術の第一ステップであり、土台となるのは、「マンツーマン・コミュニケーション」です。
 目の前のたった1人のお客さまを大事に思い、相手と呼吸を合わせていくことです。つまり、相手の調子に自分を合わせて接してみるのです。
 すると、お客さまの小さな変化に気づくことができ、その日のサービス内容すら変わってきます。そして、お客さまにとって相性のいいサポーターになり、相手の心中を察した上でコミュニケーションが取れるようになります。
 マンツーマン・コミュニケーションをすればするほど、お客さまとの感情の行き違いが減っていきます。その結果、あなたを必要としてくれる人が確実に増え、永く愛されるお店になっていくはずです。

「マンツーマン・コミュニケーション」のやり方

 たとえば、私にはこんな経験があります。
 パーソナルトレーニングに週1回通ってくるA さんがいます。ここのところ疲れて見えたので、
「調子はどうですか?」
 と聞いてみました。すると、
「かなり仕事が忙しくて。でも、がんばって来ました」
 ということでした。
 その返事に対して、私はAさんに同調しつつ、ねぎらいの言葉をかけました。
「Aさん、お仕事で疲れているのにがんばって来てくれたんですね。ありがとうございます」
 そして、
「今日は指導というより、一緒に動くことにしましょう。何も考えず、僕に合わせて身体を動かしてみてください」
 と言いながらセッションをスタートさせました。
 つまり、Aさんの変化に気づき、セッションのメニューを急きょ変更することにしたのです。
 すると、どうでしょう。
 Aさんは普段より身体がスムーズに動いています。文字どおり、呼吸を合わせながらの60分のセッションが終わり、
「Aさん、どうでしたか?」
 と尋ねると、
「気持ち良く汗をかけて、すごくすっきりしました。実はここ1年ほど業務がハードになり、本当はしばらくお休みしようと思っていたんです。でも、ちょうどいい息抜きになりました。来て良かったです」
 と答えてくれました。
 そこで、
「それは良かった。今日はいつも以上に動けていましたよ!」
 とお伝えしたところ、とても満足した表情で、
「じゃあ、先生、また来週!」
 と言って帰っていかれました。その方は今も変わらずセッションに来られています。

「相手に寄り添う」とは、どういうことか?

 私のジムでも、過去には何も言わずに辞めていくお客さまが何人もいらっしゃいました。
 その方のまとっている空気が後ろ向きだなと感じつつも、「最近どうですか?」とうっかり聞いてしまい、「実は辞めようと思って……」なんて言われたらショックで、何も聞き出せなかったこともあります。今振り返ると後悔しかありません。
 しかし、目の前にいる一人ひとりを本当に大事に思うようになり、「この方がいなくなったら寂しい」と思うほど、その人のために改善できることがあればしたい、トレーニングを続けることに何か問題があれば、原因を取り除きたいという熱い気持ちが湧いてきて、相手に寄り添うことを第一に考えるようになりました。
 今では、「最近、どうですか? 運動していて身体がすっきりしませんか?」など、自分から積極的に声をかけられるようになりました。
 相手に寄り添えるというのは、結局のところ、
「お客さまへの愛情がどれだけ深いか」
 ということです。
 そもそも熱い思いが土台になければ、相手の変化にも気づかず、声をかける気も起こりません。言い方を換えれば、スモールビジネスであれば、もっとお客さまへの愛を表に出していいのです。
 たとえば、まだそれほど馴染みのないとんかつ屋さんで、「いらっしゃい! いつものですね!」と言われるだけでも、「あ、僕のことを覚えていてくれたんだな」と思えて、お店への愛着が湧いてきます。
 マニュアルではない、愛情のあるストレートなひと言。それはフランチャイズチェーン店には真似のできないことです。
 常連のお客さまが次に来店するか、しないかは、あなたの愛ある接客にかかっています。

【著者プロフィール】
日野原大輔(ひのはら・だいすけ)
ジム経営者。スモールビジネス専門集客コンサルタント。
1976年、福井県出身。サラリーマンの養父、専業主婦の養母に育てられる。活発な幼少期を過ごし、小学生時代は生徒会役員、サッカー部の副キャプテンを務める。中学、高校時代、野球部の活動に励む。千葉商科大学に進学し、演劇部の活動に励む。卒業後も演劇を続け、映画(藤原竜也の映画)に出演。当時先輩に「役者で大成したかったら肉体を鍛えろ」と言われ、スポーツクラブでアルバイトを始める。すると、売れっ子のパーソナルトレーナーとなり、個人売上は平均月80万円以上、営業成績は120店舗中で全国3位内を8年キープ、店舗売上No.1を8年キープした。26歳のとき、役者よりもトレーナーとして一流になる道を選択する。2009年、独立し「加圧スタジオLib」を開設。「お客さまを喜ばせる日本一のスペシャリストになりたい」という理由で、20種の資格を取得。2019年、東京都台東区にヨガスタジオMAKOTOを開設。2021年、同区に「ピラティススタジオFeel Body」を開設。また、ジム運営をする中で編み出した「ボンディング接客術」を軸に、パーソナルトレーナーやフィトネスインストラクターそしてスモールビジネスオーナーに向けた経営セミナーを実施している。人生のミッション「Life is beautiful 出会った人々の人生を少しでも美しくする」を基に「お客さまと一緒に感動する人材」を一人でも多くすることを目標に活動をしている。

いかがでしたか?

「新規客の獲得」コストは、「リピート客の確保」コストの5倍かかるといわれています。スモールビジネスの経営を安定させるのに必要なのは、100人の新規顧客より1人100回の予約――。
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