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お肌の若々しさを守るために避けたほうがいいものとは?

全国に被害をもたらした秋雨前線の影響から一転、強い日差しが戻ってきました。
強烈な夏の紫外線を避けるために、帽子に日傘、日焼け止めなど、あらゆる装備を動員したくなりますが、まずは、お肌そのもののバリア機能が健康であるかが大切です。

こちらの記事で、肌のバリア機能を壊すものとして合成界面活性剤について触れましたが、私たちの皮膚を守る皮脂膜は、合成界面活性剤が配合されたクレンジングやシャンプー、ボディシャンプーなどの洗浄剤を使うと洗い流されてしまうそう。

「次回は『お肌のバリア機能を守りながら清潔を保ち美肌になる方法』『浸透剤入りの化粧品に頼らなくてもお肌を健やかに保つ方法』についてご紹介する、とお伝えしたのですが、まずは、「合成界面活性剤」についてもう少しお話しさせてください。

『ウソをつく化粧品』(小澤貴子 著、2015年刊行)より抜粋・編集して、ご紹介いたします。

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「界面」とは「2つの物質の境目」のことを表します。
 たとえば、水と油を1つのコップに入れると2層に分離し、両者の間に線が入っているかのように見えます。この水と油の接している面が「界面」です。
 物質の「表面」といったほうが、イメージが湧きやすいかもしれません。水と油は、そのままだとけっして混じりません。この水と油の「界面」に働きかけて、性質を変える働きをするのが「界面活性剤」です。仲が悪いはずの水と油は、界面活性剤によって手をつなぎ、混ざり合います。通常、お皿にこびりついた油汚れは、水で流してもなかなか取れません。ですが、合成界面活性剤を成分とする「洗剤」をかけると、合成界面活性剤が油汚れと水道の水を結びつけて流してくれるので、油汚れが落ちるのです。「油と水を結びつける」のが界面活性剤です。

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 ここで、簡単に化粧品の歴史についてお話ししましょう。
 古代ギリシャ時代、すでにクリームがつくられていたことがわかっています。油と水を、ホウ砂(ホウ酸ナトリウムの結晶)というアルカリ剤を用いて混ぜてクリームにしていました。
 けん化法という手法です。その後、化学が進歩すると、コールドクリームや、脂肪酸と水を混ぜてさっぱりした感触のバニシングクリームなどがつくられるようになりました。
 大昔は、天然の弱い界面活性剤(カゼイン、サポニン、レシチン)、そしてその後は、石けん程度の弱い界面活性剤を使って油と水を混ぜていました。
 界面活性剤は、ひと言でいえば、「油と水を混ぜる成分」です。

 その後、近代化にともない、化粧品の歴史に大きな事件ともいえる出来事が起こりました。
「合成界面活性剤」や洗剤といわれる強い界面活性剤の登場です。これまで使われていた界面活性剤より、油と水を混ぜる力がずっと強力でした。

 合成界面活性剤が急激に化粧品に導入されはじめていて、アメリカでは、電気洗濯機に用いた合成洗剤(ソープレスソープ)が大流行していました。祖父は、それまでの弱い界面活性作用しかないものに対して、作用が強いものを区別して、「合成界面活性剤」といっていました。
 戦時中にドイツで開発された非常に強い界面活性剤、つまり合成界面活性剤は、硬水に溶けやすくて洗浄力があったことから、台所用洗剤や合成シャンプーとして、またたくまにアメリカ社会に普及しました。同時に、この合成界面活性剤を利用して、油と水を混ぜたクリームや乳液がつくられはじめます
 こうした強力な合成界面活性剤が日本に入ってくると、日本の化粧品は一気に様変わりしていきました。当時の日本は、まだ石けんしかなかった時代です。そのようなときに、台所用洗剤や合成シャンプーが入ってきたのです。
 そして、この台所用洗剤を使うと、とても簡単に手触りのいいクリームがつくれることがわかり、化粧品会社は、大量の水と少量の油脂できれいに乳化したやわらかいクリームや乳液を大量に生産するようになりました。

「合成界面活性剤」の便利な点は量を増やしたり、複数の種類を併用することで、強い乳化力や洗浄力を得られることです。種類も膨大です。
 強い洗浄力によって肌の油分を流出させ、肌の表面を覆う表皮の重要なバリア機能を壊します。そして、さまざまな成分や薬剤を皮膚の内部に入れることができるのです。皮膚病にかぎらず、薬品を急速に皮膚の内部に浸透させたいケースでは、治療上、とても有効です。浸透剤という強い界面活性剤や溶剤を使って、表皮の下の真皮に走る毛細血管に薬を取り込ませれば、成分を全身に流すことができます。だから背中に塗ると呼吸が楽になるような軟膏があるのです。
 しかし健康な肌にとってはどうでしょうか?
 マイナスに働いてしまいます。
 皮膚のバリアを壊して、化粧品に含まれる異物や有害物、香料、タール色素を肌の内部に浸透させてしまうのです。そうした物質が表皮の下、内部の生きた細胞部分に入り込む。
 そして、内側の生きた細胞がダメージを受ける。だから、生きた細胞を守る生体反応として、メラニンがつくられ、シミになる。細胞がダメージを受けて壊されかけている部分ですから、こうした部分のシミは、取ってもまたすぐにシミになります。そして同時に、皮膚の油も内側の水分も失われ、急速に乾燥肌になります。つまり、合成界面活性剤はシミやシワの原因となり、肌の老化を早めるのです。

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(編集部 杉浦)

Photo by Cristian Palmer on Unsplash

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