日常に潜む「お肌のバリア機能」が壊れる瞬間。
これまで、肌は私たちの体を守ってくれている大事なバリア機能であることをお伝えしてきました。
そして、
肌の内部に有効成分を届けるための浸透剤によってお肌のバリア機能が壊されていること
必要以上の保湿によってお肌の正常な新陳代謝が妨げられていること
をお話ししてきました。
お肌を健やかにするはずの化粧品によって、私たちはお肌のバリア機能を壊してしまっていることがあるわけですが、私たちも知らずに、日常生活のなかで自ら壊しているシーンがあるとのこと。
今回は、日常に潜む、肌のバリア機能を壊すシーンをご紹介します。
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肌のバリア機能が壊れるとき
私たちは大切な肌のバリア機能を日常生活のなかで自ら壊しています。どんなときに、バリア機能を壊すのかわかりますか?
ボディソープなどで体を洗ったときや入浴剤入りのお風呂に入ったとき。シャンプーなどで洗髪したときや髪を染めたとき、育毛剤を使ったとき。洗顔フォームなどで洗顔したときやメイク落としをしたとき。美白成分など有効成分と呼ばれるものを肌に浸透させようとするとき。
つまり、「洗うとき」と「なにかを浸透させるとき」が、危険なのです。
そして、両方とも、ある成分が関与しています。
それが、合成界面活性剤というものです。
合成界面活性剤が入っている洗剤や化粧品が、皮膚のバリア機能を壊しています。
合成界面活性剤が「肌のバリア」を洗い流す
肌のバリア機能は表皮に集中しており、皮脂膜と角質層がその要であるとお話ししました。皮脂でつくられた「皮脂膜」という膜が、角質層を覆って、肌を守っています。
私たちの皮膚を守る皮脂膜は、合成界面活性剤が配合されたクレンジングやシャンプー、ボディシャンプーなどの洗浄剤を使うと洗い流されてしまいます。
皮膚は一時的に皮脂膜を失います。一般的に皮脂膜の再生までには少し時間がかかります。「その間、皮膚が無防備になってしまうのでは?」と心配になりますね。その通り、とても無防備です。それでもなんとか角質層内に漂ういく層もの油(角質細胞間脂質)が、角質という皮のバリアとともに水の浸透を防いでいます。
ところが、シャンプーやクレンジグで洗浄をくり返していると、やがて皮脂膜だけでなく、角質細胞間脂質まで奪われるようになって、皮膚は水をはじく力を失ってしまいます。
バリアが壊れた肌の場合、水滴状になった水をはじくというよりも、ジワジワと湯が薄く広がっていくような感じになります。
こうなると、角質層内にある水溶性の成分(天然保湿因子NMF)も流出するようになります。バリア機能を失った乾燥肌の人は天然保湿因子の量が少ないのは当然ですが、天然保湿因子の不足が乾燥肌の原因ではありません。あくまでもバリア機能が壊れていることが原因です。保湿化粧品によるイメージのすりかえには注意が必要です。
毎日何人もの髪をシャンプーで洗う美容師さんで手あれに悩む人が非常に多いのは、合成界面活性剤を配合した洗浄剤を1日に何回も使用することが、皮膚のバリアを壊す最大の原因だからです。
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浸透剤が配合されている化粧品を避けることはできそうですが、「洗う」という行為を止めることはできませんよね。
少し間が空いてしまいますが、次回は、「お肌のバリア機能を守りながら清潔を保ち美肌になる方法」「浸透剤入りの化粧品に頼らなくてもお肌を健やかに保つ方法」についてご紹介します。
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(編集部 杉浦)
Photo by engin akyurt on Unsplash
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