2022年9月の記事一覧
Dear child (エッセイ)
あれは水曜日の朝のこと。
わたしと子どもが目覚めたときには、二階でもう教会の賛美が終わっていた。白いひかりにかがやく部屋には、聖霊の気配が漂っていて、孫が起きるまえのしずかな時間に母がひとり、賛美に浸っていたらしかった。
画面のむこうのアラバマのひとびとは、濃霧のようなキリストの気配に酔ったまま、そのなかでたゆたっている。子どもを抱いてパジャマのまま上がってきたわたしも、その状況を察すると、い
Home sweet home (散文)
"When the August is burning low" という一節の詩が、あたまを漂っていた。それ以外は思い出せないけれど、ただなんてうつくしい言葉だろう、と口ずさんでいた。あれはエミリー・ディキンソンの一節だったらしい。
八月が低く燃え尽きるとき、と検索を掛ける前に、わたしはそれをリヒャルト・シュトラウスの『四つの最後の歌』の一節なんじゃないかしら、と思っていた。あれも、ただただうつ