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キリストと生きる日常について (散文)

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ただイエス・キリストと生きているわたしの日々を、誠実に、飾ることなく、じぶんの言葉で書くことが出来たなら。
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2022年9月の記事一覧

Dear child (エッセイ)

Dear child (エッセイ)

あれは水曜日の朝のこと。

わたしと子どもが目覚めたときには、二階でもう教会の賛美が終わっていた。白いひかりにかがやく部屋には、聖霊の気配が漂っていて、孫が起きるまえのしずかな時間に母がひとり、賛美に浸っていたらしかった。

画面のむこうのアラバマのひとびとは、濃霧のようなキリストの気配に酔ったまま、そのなかでたゆたっている。子どもを抱いてパジャマのまま上がってきたわたしも、その状況を察すると、い

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完全なもの

完全なもの

サッカーのルールは、ゴールに球を入れることくらいしか知らないけれど、信州ダービーとやらが開催されると聞いたとき、信州マニアのわたしは、飛び上がりたいくらいに興奮した。だって、松本と長野が戦うんだもの。

過去の「地獄の北信越リーグ」信州ダービーについては読んで知っていた。五月の試合の日には、Twitterで現地にいったひとの感想を検索してばかりいた。そして十月のダービーはホーム戦、いまから楽しみで

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Home sweet home (散文)

Home sweet home (散文)

"When the August is burning low" という一節の詩が、あたまを漂っていた。それ以外は思い出せないけれど、ただなんてうつくしい言葉だろう、と口ずさんでいた。あれはエミリー・ディキンソンの一節だったらしい。

八月が低く燃え尽きるとき、と検索を掛ける前に、わたしはそれをリヒャルト・シュトラウスの『四つの最後の歌』の一節なんじゃないかしら、と思っていた。あれも、ただただうつ

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