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【今ならありがとうでいっぱい】学生時代、お母さんが作ってくれたお弁当にケチをつけていた話



テレビでお弁当のおかずについて特集されていた。


なにを作ろうか悩む。
手間がかかって大変。


そんなお母さんに向けての特集で、
私はお母さんではないけど、ぼーっと観ていた。
 

「お弁当か……」


観ながら自分の学生時代のお弁当を思い出した。




中、高とお母さんのお弁当を食べていた。
中学のときはなかったけど、
高校のときには食堂があって
ときどきパンとか定食を友達と食べていた。



でも、ほんとにときどきで。
月に一回食堂を利用するかしないか程度。



だから、お母さんが作ってくれていたお弁当が
メインだったけど、



当時の私はちょっとワガママだった。
(ゲンコツを落してやりたい)



もっと美味しそうなおかずを入れてくれやら、
スカスカだとおかずやご飯が端に寄って見栄えが悪くなる。だからもっとおかずを入れてくれやら。


朝早くに起きて、卵焼きやら炊きたてのご飯やらをお弁当に入れてくれているのに。



なにがもっとおかずを入れてくれだ、と
テレビを観ながら反省した。



作るだけでも大変なのに。
作ったら「はいおしまい」じゃない。
その後に洗い物が待っているのに。


それを済ませて朝ごはんも作って、
その後に仕事に行くわけだから、

朝からそんな激務をこなしているお母さんになにふざけたことを言っているんだ。


私ほんとバカだったなって思った。
自分のことしか見ていなかった。


自分の世界。
学校とプライベートだけの狭い狭い世界しか。





こうやって親のもとを離れて家事をすべて自分でしないといけなくなって、
ありがたかったな、ってもう何回身にしみたか。


お弁当だけじゃない、
食卓に出てくるおかずは栄養のことを考えて出してくれていた。


でもたまに適当なときがあって。
ジャンクフードだったり、こってりとしたおかずが出てきたときはテンションがあがった。


栄養を考えて作るって大変なのに。
下手したらケチばかりつけていたかもしれない。




でも、
すごく満足するときがあった。

運動会や校外学習などのイベントのとき。



「おにぎりは俵型にして!」
「ミートボールも入れて!」



私の要望に笑って「はいはい」と言ってくれていた。そして、私のお願い通りにちゃんとおにぎりは俵型だったし、ミートボールも入れてくれていた。


すごくかわいいお弁当だった。
私はすごく満足だった。


友達のかわいいお弁当に負けないくらいの
お弁当だったから。
見た目も満足。
お腹も満足。


すごく幸せだった。



幸せだったのに……




ありがとう。
ごちそうさまを言った記憶がない。



もしかして一回は言ったかもしれないが、
覚えていないから、言っていないに等しい。



もう学生時代を味わうことはできない、
あのときのお母さんのお弁当も食べることはできない。



だからこそ大切にしている。


「ごちそうさま」
「美味しかった」を。



たまに食べるお母さんのご飯。
そのときにはちゃんと、


ありがとう
美味しかった
ごちそうさま



を伝えている。


それだけじゃ味気ないから
もっとひねって、



「○○の味はありがたい。胃がもたれやすいから食べやすい」

「昔からこのおかずは好き。ご飯が進むし味付けが私好みだから」

いろいろ思ったことを伝えるようにしている。



まあ、お母さんからしたら
ありがとうだけでも満足するかもしれないけど、



やっぱり少しでも具体的に伝えたい。
具体的に伝えるということは、
それだけお母さんと、お母さんが作ってくれた
ご飯と向き合っているってことだから。




当たり前だった日々を、

懐かしいとか
もっと堪能しとけばよかったとか


ちょっと後悔があるからこそ




今を大切にしなきゃなと思っている。












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