よわのあき

どうして、難しいよね。どうして、難しいんだろう。

よわのあき

どうして、難しいよね。どうして、難しいんだろう。

マガジン

  • 春と黒髪 赤の芍薬

    日記や駄文、書き殴ったそのときのなにかを置いておくための個人書架。に、なったらきっといい。

  • スターチスの本棚

    読んだ本などの書評を書いたものをまとめておく場所。忘れたくない作品でいっぱいの書架になったらいい。いつか。

  • あなたに宛てる手紙

    手紙のかたちをとった創作のシリーズ。更新はゆっくり続けていく予定のもの。

  • 喫煙所にて。

    煙草1本が燃え尽きてしまう時間のなかで書いた、文章や物語をまとめておく、そんな場所。 かなり前に書いておいたものから、これから書いていくものまで。

最近の記事

白い光、そのままの

 暑い、ということ自体にはさほど嫌悪感のようなものを持っているわけではないけれど、暑いなと考えてしまうことはあまり好きではない。窓から見える、絵に描いたような大きな雲と青い空の中で、大空の花嫁は純白の微笑みを地上で暮らすすべてのものに向けている。  学生という身分の僕たちは、夏休みという時間を享受している。夏休みの課題という敵は早々に倒してしまっている僕の過ごし方はもっぱら読書になっている。家で読んでもいいのだけれど、無条件で空調の効いている場所かつ、適度に話し声のある場所

    • とある男の述懐

      いや、君は心の底から平和なんてものを願っちゃいないよ。口先ではそれらしいことを言っているけどね。わからないようなら教えてあげようか。 いいかい、“平和をもたらす者”と“平和を維持する者”はいつだって別の誰かなんだよ。この世界には万人受けする平和の形も、普遍の幸せもありはしない。ある平和はどこかの誰かの憎悪を生んで、停滞した幸せは人から気力と意志を削ぎ落としていくんだ。 だからこの世にはいつだって悪役が必要なんだよ。それも、誰にも受け入れられない、絶対的な悪が。真に平和と幸

      • 読書のすヽめ『君の話』

        夏だ。 照りつけるような、それでいて心を晴れやかにする日差しも、全力で体を動かして流す汗とそれを追う声援も、不思議な出会いから始まる小さくて大きな冒険もないけれど。 ただ漠然と感じる暑さと少しだけ沈む気持ちが僕に夏の到来を教えてくれている。 僕が日々を送る部屋にはエアコンが備わっているのだけれど、こいつは数年前から僕の指示を聞く気がなくなったようで、今ではただの立派な置物になってしまっている。 必要最低限の機能を持った扇風機が夏の仕事を肩代わりしてくれてはいるけれど、なんと

        • まだ辿り着いたことのない、でも確かにある故郷

          どうも、よわのあきです。 もとよりあまり時間に執着のあるほうではないけれど、気づいたら2024年も半分終わってしまったようだ。きっと今年が終わるときにもまた、気づいたら終わっているというようなことを思うのだろう。 さて、誰にでもあるように、僕にも好きな音楽のジャンルというものがある。 それは俗に“ケルト音楽”と呼ばれるものだ。 もっとも、本来の語義からはそれなりに外れてしまったうえで呼ばれているジャンルだから、ここでいうケルト音楽は現在広く呼ばれているものになると思う。

        白い光、そのままの

        マガジン

        • 春と黒髪 赤の芍薬
          14本
        • スターチスの本棚
          3本
        • あなたに宛てる手紙
          2本
        • 喫煙所にて。
          5本

        記事

          雑談

          どうも。よわのあきです。 特に内容があるわけではないので、とりあえずこんなタイトルをつけておいたわけなんですが、今後も内容がないときはこれにナンバリングをしていくかとしれない。 そんなわけで、さっそく書いておきたいことに入ろうと思う。 誰かに聞かれない限り自分から話すことはほとんどないのだけれど、僕は基本的にゲームやアニメや漫画といったものが好きで、とりわけファンタジー色が強いものが好きだ。最近は全然そんなことはないのだけれど、一昔前はいわゆる“異能もの”だったりといったよ

          あなたに宛てる手紙・2

          あなたに宛てる手紙・2

          恩讐の彼方、そして─

          ─怒りのままに振るった力はどうだった? ─その魂で味わったか? ─否、言うな、何も口にせずとも良い。 ─ソレは、オレたちが最もよく知っている。 ─故に、今こそオレはこう訊こう。 ─【復讐】 ─お前には、どんな味だった? ◼︎ 長い間、共に旅を続けてきた。 苦しいとき、辛いとき、足が止まってしまうとき。 彼の炎に何度助けられてきただろうか。 その炎が今、立ち開かっている。 ─復讐。 激情に任せ、怨念のみによって振るう暴力の極致。 これまでは見ているだけだった力を自分が行使した

          恩讐の彼方、そして─

          【短編小説】赤の芍薬(編集版)

          一章  この世界の現代で生きている僕たちにとって、普通というものは何を、どういったものを指すんだろう。“一般的”“常識”“正常”そして─“誠実”。大衆に向けて言う言葉ならこれらもきっと当てはまると思う。ただこれらが指す内容は誰が誰に対して決めたんだろうと、ふと考えることがある。  少し気取った言い方をするのであれば、人それぞれ今進んでいる道は違うはずだし、万人が一寸も違わない考え方なんてしていないだろう。各個人が抱えている問題と、それに対する答えなんて違うのに、世間はそれを

          【短編小説】赤の芍薬(編集版)

          あなたに宛てる手紙

          あなたに宛てる手紙

          当たり前じゃなくなるという、当たり前のこと。

          今日、僕の住んでいるところはしばらくの間結構な強さで雨が降っていた。調べてみたわけではないから、もしかしたらどこも同じようなものだったのかもしれないけれど。 小さな子どもの頃は、強い雨に濡れることを何も思っていなかったような気がする。むしろ待ち侘びていたかのように降る雨を楽しんでいたようにすら思う。 でも、もうそんなことはできなくなってしまった。どうやったらあんまり濡れないかな、なんてことを考えながら歩くようになってしまった。用事がなければ家にいることを選んでいたかもしれな

          当たり前じゃなくなるという、当たり前のこと。

          ことば

          「女の子の“ほうっておいて”とか、“さみしくない”は、その反対なんだよ」 2人しかいない部室で、先輩は僕に向けてそう言った。 「そんなこと言われたって、理解しろっていう方が無理ですよ。最初からそう言えって話でしょ」 きみはほんとうにロマンのかけらもないねぇ、とそう言いながら笑う顔は、なんというか、とても魅力的だ。 「先輩の笑顔って素敵ですよね。僕、あなたが笑ってるところを見るの好きですよ」 えっ、と呟いて、一回まばたきを挟んだら、先輩の頬は赤く染まっていた。これでもロマンにか

          読了『いとエモし。』

          先日買った本のうち、一冊を読み終えたので感想を残しておこうと思う。 タイトルにも書いておいてあるから改めてになってしまうけれど、『いとエモし。』という本を読み終えた。 年代もジャンルも様々な古典文学の中から主に詩歌を引用して、現代の人にとって理解されやすい言葉(要はものすごく簡単にした話し言葉)で訳したものが、全部で111にもわたって書かれている。 僕自身、古典文学というものには一般の人々よりは遥かに多く触れてきた自覚があるから、結構楽しんで読むことができた。 たまに、とい

          読了『いとエモし。』

          よくないけれど、やめるつもりもないこと。

          僕は予定を立てずに外出することが苦手だ。理由はとても単純で、心配だから。原因は単純でも心は複雑なもので、ふらっと外に出て有意義な時間になっていた、という経験はほとんどない。もしかしたら、まったくないと言い切ってしまえるかもしれない。そんな心境も手伝って、時間前行動の類に関しては結構自信を持っている。けれど、目的が終わったあとは自分でも驚くくらいには何もできないことが多い。あまり来ない場所だから折角なら少し見て回ろうかな、という気持ちになることはあまりない。何かあったら嫌だから

          よくないけれど、やめるつもりもないこと。

          読了『レーエンデ国物語』

          しばらくというかそれなりに前に買っていて、立て込んでいて読み進められていなかったのだけれど、読み終えたので感想を残しておこうと思う。 これから書くから確定ではないのだけれど、もしかしたら物語の内容に少なからず触れる可能性があるので、もしこの記事に目を通す人がいたら、そこだけ注意してほしいと思う。 今回以降、読み終えた本の書評を書いてまとめていこうとも考えている。 タイトルにも載せた通り、今回は『レーエンデ国物語』についての感想を書いて、残しておこうと思う。 王道のファンタジ

          読了『レーエンデ国物語』

          ちいさな報告かつ、あまり意味があるものではないのだけれど、Twitterとの連携を復活させた。前までもしていたのだけれどアクセスできなくなってしまっていたので、もう一度。こちらで書いたものを繋げておくだけのアカウントとして繋げました。

          ちいさな報告かつ、あまり意味があるものではないのだけれど、Twitterとの連携を復活させた。前までもしていたのだけれどアクセスできなくなってしまっていたので、もう一度。こちらで書いたものを繋げておくだけのアカウントとして繋げました。

          特別な時間の終わりと始まり。示すこと、示されること。

          今日、と言っても寝ていないだけだから、実際は3月1日の話になるのだれけど。 この日は僕という人間にとって、特別な1日になった。少しだけ細かく伝えるなら、特別な1日になったと、僕はどうやら感じているらしい。 人間の一生において、なんでもない時間というものはそれほどないように思う。特にそれが顕著なのは、20歳を迎えるまでだろう。学生という特別な時間は、他者から眺めれば取り留めないものだけれど、当事者たちには違う。あの時間にしかない、あの時間だけの何が必ずあるように思う。これは、

          特別な時間の終わりと始まり。示すこと、示されること。