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一隅を照らす


2024年4月1日(月)朝の6:00になりました。

己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり。

どうも、高倉大希です。




時の流れと共に、簡単になかったことになるのではないか。

仕事をしていると、時々こんな不安に駆られます。


間違いなく目の前では、よい変化が起こっています。

そんな変化に対して、働きかけることもできています。


しかしひとたび離れて見れば、もはや何も起こっていないに等しいのではないか。

どうしても、こう思ってしまうのです。


本当の話、あなたが人生で何をするかは、そんなに重要なことじゃない。あなたが限られた時間をどう使おうと、宇宙はまったく、これっぽっちも気にしていないのだ。

オリバー・バークマン(2022)「限りある時間の使い方」かんき出版


自分にしかできないことなんて、体調と共に簡単に止まってしまいます。

自分にしかできないことなんて、寿命と共に簡単に失われてしまいます。


だからこそ、自分がこの世を去った後にも遺る何かを生み出せたらなと思います。

生きている間にこの世を少しでもよくしてから、立ち去ろうというわけです。


それに比べて、目の前で起こる変化は本当に微々たるものです。

前述のとおり、簡単になかったことになってしまうかもしれません。


私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、そうしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。

内村鑑三(1946)「後世の最大遺物 デンマルク国の話」岩波書店


一隅を照らす、これすなわち国宝なり。

天台宗の開祖、最澄の言葉です。


ひとりの人間にできることなんて、一隅を照らすことくらいです。

いちどに全体を明るくすることなんて、できっこありません。


一隅を照らす人がたくさんいるからこそ、全体が少しずつ明るくなります。

一隅を照らす人がいなければ、いつまで経っても暗いままです。


もっと平たく言えば、人間は誰でも生きているだけで周囲にものすごく影響を与えているんです。僕だってそうです。今、こうして生きているだけで人生の目的の99%は達成している。

深井龍之介(2022)「歴史思考」ダイヤモンド社


そもそも、本当にこの世がよくなるかどうかなんて誰にもわかりやしません。

よかれと思ってやったことが、わるい方向に働くことも十分に考えられます。


今はよいと思われていても、数年後にはわるいと思われていることだってありえます。

この場ですぐに判断できるほど、単純ではないのです。


だからこそ、信じなければなりません。

だからこそ、問い続けなければなりません。






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