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喜び 悲しみ 醜さ 美しさの結晶 生命を燃やして生き抜いた 僕の証達です。
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2024年2月の記事一覧

【聖者ムルィカ】

【聖者ムルィカ】

聖者ムルィカはパンを食う

パンが好きだからパンを食う

食えないものにはこだわらない

こだわらないから怒らない

聖者ムルィカは黄昏れる

夕陽に照らされねむたそう

余計なものは見つめずに

風に撫でられうっとり顔

聖者ムルィカは柔らかい

目を合わせずとも怒らない

興味がないから怒らない

自分の世界を愛してる

聖者ムルィカはなにもしない。

好きなこと以外なにもしない。

食ったり

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【鈍色】

【鈍色】

額縁に飾られている豚のような気分だ。

鈍色の空から降り注ぐ雨粒が肉塊を抉りやがる。

頭を掻きむしって、お隣さんの迷惑にならないように嗚咽混じりの唸り声を地の底に思い切り響かせる。

こんなもんやってたってなんにもなりゃしないんだよ、とアセファルを羨みながら呟く。

これはもう吐血だ。

悲しみと痛みを吐き出す言葉には、鮮明すぎる血が混じってる。

四方八方から降り注ぐ痛みが脳をギュッと締め付け

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【道楽賛歌】

【道楽賛歌】

役に立たぬもの不要なら、工具のみが必要ならば

美味い飯など食わぬがよい

酒もタバコも呑まぬがよい

やたらな恋もやらぬがよい

服も安物にするがよい

道楽全てを断ち捨てて、パンのみかじって生きるがよい。

そうして文化は廃れゆき、いよいよこころは滅びゆく。

生命の鼓動は我が胸に

人を愛する我が胸に。

私が言葉を紡ぐ時 世界は光に満ち溢れる。

不要な言葉が時を超え世界のこころに火を灯す

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【春愁】

【春愁】

春の夜 優しい香りが僕を包む。

酷薄な夜は通り過ぎ、羽毛布団のような空気が漂う。

ふわりと優しい春の香り……時すらも今は眠りにつく。

春の香りは希望の香り。

生命を実らす花の香り。

今日の夜空は何か違う

希望の香りだけじゃない。

赤子をあやし寝かしつけるよう

月が微笑んで語りかける。

今日の春の夜は涙の香り。

どこからともなく漂ってる。

幼子が抱く桃の香り。

布団に包まれる

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【上州よりゴールデン街に想い馳せ】

【上州よりゴールデン街に想い馳せ】

僕は1人で酒を飲む 安いウィスキーで解脱する

ガバガバガバガバ 37パー 性格一致のストレート

明日も仕事だが知ったこっちゃねぇ それより刺激をくださいな。

明日には「今」は賞味期限切れ この瞬間こそ我が全て。

ゴールデン街を探し求めてほろほろ揺蕩う西東。

鹿爪らしさにゃしかめっつらさ、それより月夜の声を聴け。

自転車がサッと風を切り、冷気が顔に押し寄せる。

放課後は決して消えないぜ

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【アンファンテリブル】

【アンファンテリブル】

子どもの冷たい笑い声

けたたましい嘲笑の声

全身から毛が離れてく

鷲掴みにされ千切られて、ぶちぶちと毛が離れていく。

若い男女が抱き合って 生命の泉に身を投げる

無数に湧き出る黒い手が熱い抱擁を引き剥がす

言葉に代わって溢れるあぶく

互いを求めて腕を伸ばす

服 皮膚 肉体 内臓が巨人の指で毟り取られる

ケンタッキーを食べるようにバリバリバリバリ貪られる

陽射しを遮る水の中 ぷか

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【ツルニチソウカ】

【ツルニチソウカ】

小春日和のお披露目会

衣装を着込み1番乗り

紫色のタキシード とってもクールな僕の衣装

みんなはまだまだ寝てるけど いてもたってもいられない

鼻歌が運ぶ僕のアリア 平和な空に飛んでいく

ふわふわ香る ちょうちょうの音色

小鳥も一緒に歌い出す

もうすぐ世界はドレスコード 

張り切って僕がエスコート

わだかまりのない昼下がり

早くみんなもこないかな

【アポカリプティックサウンド】

【アポカリプティックサウンド】

ラッパの音が聞こえてきた

他の誰の耳にも届かず

この耳にだけ鳴り響いた

吹き出した汗に塗れる額

高鳴る鼓動 揺れる心臓

コンクリを蹴って命を刻む

リビドーが悪戯に囁き出す

こんな時にも関わらず

最期の時にも関わらず

揺れる脳内 白濁の光景

乳房に吸い付く幼き子

母を求めれば涙する 父を思っても涙する

夕暮れの風に揺れるブランコ

静かに寂しく揺れている

ブランコが辺りを歪

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