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ぼくが聖書を好きな理由

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キリスト教の礼拝でするお話の原稿はこちらにまとめています。そんなに「新しい」とは自負していませんが、「正統派」に疲れた方々に届けたい聖書のまた一味違った魅力を書いています。
大体月に4本です。 一本200円の記事をマガジン登録で500円でお読みいただける設定にしています。…
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#物語

箱舟の中で〜最後の一週間〜

箱舟の中で〜最後の一週間〜

 壮絶な洪水の中、終わりなきトンネルのような舟旅に変化が訪れました。風が吹いた(1)のです。古代ユダヤの民が暮らした地域では、火や風が神の存在を表すのに用いられ

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フネの中の人

フネの中の人

歴史的記憶に基づいて

聖書に記載されている話は誰が書いたのか?といえば私は「書いたのは人間」と応える。それは正解ではないと思う人がいるのはいいけど、正解じゃないことを同時に悪と言い回っては蹴り飛ばすような輩がクリスチャンの中にはいる。それに遭遇すると心の中で「聖書読んでないのかしら」と思う。さらに、先週のメッセージではYouTubeに初めて低評価を一つ押された。別に高評価を押して欲しいとは思って

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後悔後

後悔後

 創世記6章5−8節からのお話です。
古くから伝わるノアの洪水物語のすごさは、私たちに現代の世界について考えさせるところにあると思います。

 「主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのをご覧になって」(5)

 と読むと、私たちの眼差しも、地上へ移されます。「地上に人の悪が増しているのだろうか?」と。「心の中を見られたかな?」と思い自分自身をかえりみるよう自然と促されて

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往生際が悪い神〜命乞いのキリスト教

往生際が悪い神〜命乞いのキリスト教

近頃気づくかされるようになったのは、洪水物語に不満満々になってしまう自分の中にはそもそも、神って正しく、優しく、そして人を殺しやしない、という幻想があったということ。
無条件に「神は『私にとって』良いもの」という刷り込みがどこかでなされたのか、いや私自身の聖書の読み方が

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妹も弟もいない時

妹も弟もいない時

物語は無造作に並べられているのではありません。命、エバと名付けられた女性が産んだ子どもたちが成長し、ささげものをめぐり最悪の結末を迎えました。兄弟を殺すということです。

殺された側はもちろんのこと、殺した側にとってもこんなに不幸なことはありません。何も良いことが残らなかったという衝撃の物語が、

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地下から湧き出る憂いの水

地下から湧き出る憂いの水

他者を愛するふりをして、自己愛にまみれて生きているのではないか。自分だけが守られるためのルールを他者に押し付けて生きているのではないか。美しいとみなしたものだけを独占しそれ以外を冷遇する不義で造られたように生きているのではないか。

私たちは一体何で造られたように生きているだろうか。

こんな問いが物語から聞こえてきませんか?聖書の箇所は創世記2章4節後半から17節です。
私たちとはこの物語を語り

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どろんこはどっちだ

どろんこはどっちだ

人の創造についての後半の記述は不穏な響きが広がります。
そもそも、このように聖書の冒頭を物語として読むことに抵抗がある方にはこの先をお勧めできないです。残念。でも、この物語はとっても面白いのですが。

ひとりの世界

アダムは「食べると必ず死んでしまう」その実がなる木を中心に

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土に

土に

荒涼とした大地が描かれます。野の木も、野の草も生えていない場所がどこまでも続くのみ。そこには未来を見つけることができません。いのちのうごめきがありません。芽が土を蹴破って出てくる音、木の実をついばむ鳥たちのさえずりは聞こえません。その荒涼とした地には雨と耕す人がいないのです。

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膝を折る〜創世記を読もう Gen.1:26~27

膝を折る〜創世記を読もう Gen.1:26~27

聖書を貫くメッセージがあるとしたら何でしょうか。キリスト教のメッセージは何でしょうか。
今、失われてしまったのは「膝を折る神」について考えることだと思うのです。私たちは強い神ばかりを求め、求めさせているのではないでしょうか。

法そのものが差別的だったとしたら

イエスは、一部の限られた人々のみが大切にされ、生きることができる仕組みに直面しました。そして、それを指摘しました。それは律法を遵守すると

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カフェ・オレの世界

カフェ・オレの世界

 朝というのは一体何時ぐらいだと思いますか?
昨日電話をかけた時、それはちょうど夜の8時でした。
「こんにちは!」という明るい声に、心がふっと緩む感じになりました。外は真っ暗。私が同居している黒猫が横切りましたが黒猫の黒さが溶け込むような暗さでした。

常に同時にそれはある〜ひとりで綱引きはできない

でも声はとっても明るくて、ああ声を聞けてよかったなあって思うのです。「こんにちは」。

慌てて「

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恐怖のテキスト?〜石を取りのけろ!復活だ

恐怖のテキスト?〜石を取りのけろ!復活だ

神殿の境内で商売をする人々を追い出したイエスが、ぶどう園のたとえ話をしました。神殿の境内で語ったことになっています。ぶどう園で働いていた農夫たちが収穫を納めず送り込まれてきた僕を次々と追い出すことと、イエスの行動が被ります。このたとえ話はいかようにも受け取れました。ぶどう園の労働者として働いたことのある人が聞くとどうでしょうか。畑を任せきりにして長旅に出かけた主人の不在、あれは何だ?と思い返したで

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ぶれぶれの芯

ぶれぶれの芯

ぬれ煎餅を初めて食べた時、目が覚めた思いがしました。煎餅は硬いもの、という先入観、いや偏見があり、「こんなものを煎餅と呼んでいいのか!」とツッコミを入れたくなりましたが、実際に食べると「これ、どこで売ってるの?」と聞きたくなるほどの美味しさでした(人それぞれだとは思うのですが、私はそうでした)。一方で、ふわっふわのパンを大事にしているアルプスの少女ハイジのせい?で「パンは柔らかいもの」が「いい」か

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