FAR通信

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🌏各国の現地にいる美大生やアート関係者がアート情報を発信中!只今プロバイダは🇬🇧イギリスに2名・🇩🇪ドイツに1名・🇸🇦サウジアラビアに1名。随時ライターを募集しております、お気軽にご連絡ください。ご質問はこちらから→https://peing.net/ja/fartsushin

最近の記事

<コラム:社会変革とポートレートの関係>

今回紹介したアリア・モハメドを含め、近年のサウジアラビアのアート界では女性アーティストが多く活躍しているようだ。それは、アラブの春に始まるさまざまな歴史的事柄が影響しているようだ。そこで、サウジの近現代の社会的変革の歴史を通して、女性を描いたポートレートに焦点を当てて、ざっくりとではあるがサウジのアートシーンを外観してみようと思う。 60年代から90年代にかけて、アート作品の中で描かれる女性は、伝統的な衣装を着ており、男性が描く女性といった気色が強く現れていた。そのため、女

    • ポートレートから見る女性の女性による女性のための現代アート|Alia Mohammed(アリア・モハメド)

      サウジアラビアのアートシーンは年々熱さを増している。それはアートギャラリーの増加やアートフェアの設立などが大きな起因となっているが、女性アーティストの増加もそれに拍車をかけている要因の一つだ。その中で注目されている新進気鋭のアーティストの1人として挙げられるアリア・モハメドを今回は紹介したい。 遅きに失せずフランス語の諺に « Mieux vaut tard que jamais(六十の手習い) »とあるが、アリア・モハメドはまさにこの諺に相応しいアーティストである。この諺

      • 全ては大地から生まれ、大地へと還る|THANATOPSIS展

        The English text is shown after the Japanese text. THANATOPSIS展は、前回の記事同様、アート学生を主体とするポップアップ展示で、ロンドン芸術大学に通う12名の学生が参加しました。開催場所であるCrypt Galleryは、St Pancras Parish Churchの地下にあり、非常にユニークな特徴を持っています。教会が設立された1822年から1854年までの間、過密になっていた村の埋葬地の代替案として、経済的

        • 新進気鋭のアーティストがアートの世界を切り開く|ST.ART Gallery展

          The English text is shown after the Japanese text. 4月8日から11日にかけて、ST.ART Galleryが主催するグループ展がBSMT Spaceで開催されました。アート学生を中心とした12名のアーティストが展示を行ない、フレッシュで力強い作品が集まりました。 ST.ART Galleryは、2021年に設立されたまだ新しい団体で、新進アーティストのプロモーションとサポート、そしてアートの世界を切り開くことを主な目的と

        <コラム:社会変革とポートレートの関係>

        • ポートレートから見る女性の女性による女性のための現代アート|Alia Mohammed(アリア・モハメド)

        • 全ては大地から生まれ、大地へと還る|THANATOPSIS展

        • 新進気鋭のアーティストがアートの世界を切り開く|ST.ART Gallery展

          ディリーヤ・ビエンナーレ|国際文化に向けたグローバルな顔

          The English and Arabic texts are shown after the Japanese text. サウジアラビア初の国際的なアートイベント『ディリーヤ現代アートビエンナーレ』が、2021年12月11日から2022年3月11日にかけてディリーヤのJAX地区にて開催されました。このアートの祭典には、世界各国から60名以上のアーティスト(日本からは柳幸典、田中功起)が参加し、グローバルな対話と文化交流の場としてインタラクティブな芸術体験を提供しました

          ディリーヤ・ビエンナーレ|国際文化に向けたグローバルな顔

          反復と差異|Repeater(リピーター)展

          The English text is shown after the Japanese text. 今回紹介するグループ展『REPEATER』は、高級店がずらりと立ち並ぶショッピングエリアとして有名なリージェント・ストリートのすぐ裏手に位置する、現代アートギャラリーSadie Coles HQで開催されました。このギャラリーは、1997年にオープンして以来、新興の国際的なアーティストの作品に焦点を当てた展示を行なっており、オーナーのSadie Colesはヤング・ブリティ

          反復と差異|Repeater(リピーター)展

          David Shrigley: Mayfair Tennis Ball Exchange レビュー

          The English text is after the Japanese text. Stephen Friedman Galleryでの「MAYFAIR TENNIS BALL EXCHANGE」は、英国人アーティストである、David Shrigley (デヴィッド・シュリグリー)によるインスタレーション作品の展示です。彼は独特のドローイングスタイルと、日常の状況や人間関係を風刺した作品で知られています。 今回の展示は壁に設置された棚にテニスボールが敷き詰められて

          David Shrigley: Mayfair Tennis Ball Exchange レビュー

          Dance With the One Who Brought You ❘ Sin Park

          The English text is after the Japanese text. 6枚の大きなペインティングとドローイング群で構成されたSin ParkのPatricia Fleming での初個展は、Parkの最近の作品であり、展示タイトルでもある’Dance With the One Who Brought You’や、ここ5年間のうちに制作された絵画も展示されている。激しいブラッシュストロークやマークメイキングが鑑賞者を引き付ける彼女の絵画は、じっと鑑賞をして

          Dance With the One Who Brought You ❘ Sin Park

          内面から強くなるために|Wedad Al Ahmadi(ワダード・アル・アフマディ): Jasoor

          The English and Arabic texts are shown after the Japanese text. あるアーティストの作品がアルジャジーラの文化雑誌の見出しを飾り、大きな注目を集めています。 大きなキャンバスに描かれた褐色とグレーの映える色彩構成に、緩急のついた線が縦横無尽に走るこの作品は、2021年に開催されたワダード・アル・アフマディの初個展《Jasoor(橋)》展で展示された33点のシリーズ作品のうちの一つです。そして、それがムハンマド・

          内面から強くなるために|Wedad Al Ahmadi(ワダード・アル・アフマディ): Jasoor

          私たちを呼び戻す記憶の抽象化|Eidah Al Zahrani(エイダ・アル・ザハラニ): Survival

          The English and Arabic texts are shown after the Japanese text. 抽象表現がもたらす無限の広がりは、内なる平和における私たちの精神を成長させる。また、時として美しい芸術は鑑賞者の心に大きな影響をもたらし、私たちの記憶の中に深く刻まれる。このような素晴らしいアート作品が、2021年12月5日から9日にかけて、リヤドのNaila Art Galleryで展示されました。Eidah Al Zahrani(エイダ・アル・

          私たちを呼び戻す記憶の抽象化|Eidah Al Zahrani(エイダ・アル・ザハラニ): Survival

          未来の緩やかな抹消|Jack Lavender(ジャック・ラベンダー): Tired but Wired

          The English text is shown after the Japanese text. ベスナル・グリーンの静けさのある住宅街の一角に佇むパブ『The Approach Tavern(アプローチ・タバーン)』の2階に、真っ黒に包まれた部屋があった。 黒いパネルが床と壁に貼られ、蛍光灯が灯すブラックボックス。 ギャラリーの端の方には、ユーカリの木、枝にはパーティー用の風船がぶら下がっている。その反対側には、電話ボックスがあり、中の台には50ペンスが一枚置かれてい

          未来の緩やかな抹消|Jack Lavender(ジャック・ラベンダー): Tired but Wired

          Abbas Akhavan(アッバス・アカヴァン): curtain call, variations on a folly

          The English text is shown after the Japanese text. 今回紹介するのは、Chisenhale Galleryで開催されたAbbas Akhavan(アッバス・アカヴァン)の展示です。二つの作品のみというシンプルな構成ですが、内容は濃く、考えさせられるような内容になっています。 アッバス・アカヴァンは、イラン・イラク戦争の際に家族と共にモントリオール(カナダ)へ移住しており、それ以降は、モントリオールを拠点に活動を行なっていま

          Abbas Akhavan(アッバス・アカヴァン): curtain call, variations on a folly

          光が生み出すアンビエントな絵画|Brian Eno(ブライアン・イーノ): The Surrenderer

          The English text is shown after the Japanese text. ギャラリーに入ると、左手に3つの正方形のLEDパネルがそれぞれ2色に染まっている。その反対側には、抽象的な形をしたパネルを様々な色が照らし出している。しばらく眺めていると、どの作品も徐々に色合いが変化する。奥に入っていくと、大きな花瓶に生けられた花から小気味良い音楽が聞こえてくる。その横にはピラミッドのような山景のライトボックスが飾られており、それに見惚れていると、先程の作

          光が生み出すアンビエントな絵画|Brian Eno(ブライアン・イーノ): The Surrenderer

          第四の次元:科学を芸術に取り込む|Takis(タキス)

          The English text is shown after the Japanese text. アテネ(ギリシャ)で生まれたタキス(1925-2019)は、電磁気力を初めて芸術に持ち込んだアーティストで、目の見えないエネルギーを芸術の「第四の次元」として研究していました。パリ、ロンドン、ニューヨーク、そして母国ギリシャで活躍したタキスは、1960年代以降、数多くの国際展ードイツのカッセルで開催されたドクメンタ(1977)や、ヴェネチア・ビエンナーレ(1995)、大賞を

          第四の次元:科学を芸術に取り込む|Takis(タキス)

          星空と境のない世界|Bronwyn Katz(ブロンウィン・カッツ):I turn myself into a star and visit my loved ones in the sky

          The English text follows the text. ホワイトキューブで開催されたブロンウィン・カッツの展示「I turn myself into a star and visit my loved ones in the sky(私は自分自身を星に変えて、空にいる愛する人を訪ねる)」では、物質性、物語、社会的歴史をテーマにした作品が展示され、それぞれが本質的に繋がっていることを訴えています。南アフリカ出身のカッツは、ケープタウンやヨハネスブルクを拠点とする

          星空と境のない世界|Bronwyn Katz(ブロンウィン・カッツ):I turn myself into a star and visit my loved ones in the sky

          見た人を映し出す自画像|Areej Obaid(アリージ・オバイド)

          The English text follows the text. アリージ・オバイドは、ジェッダ出身のアーティストで、キング・アブドゥルアジーズ大学で心理学を学び、自身の気持ちを表現するような絵画制作を行なっています。彼女は、女性という存在を自身の感情ー愛、安心感、恐怖などーと結びつけて考え、自らの内面を映し出すような自画像を描いています。 幼少期から絵を描き始めた彼女は、大学卒業後に油彩での絵画表現に目を向け、アーティストとしての自己表現を突き詰めていきました。20

          見た人を映し出す自画像|Areej Obaid(アリージ・オバイド)