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「ほかの人が先に降りていくのです」

降誕節第7主日 2024.2.11 板野靖雄 板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  ヨハネ福音書5章1節以下は病人のいやしの奇跡物語である。「その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに上られた(1節)」。物語の時期は「ユダヤ人の祭り」の時。ただし如何なる祭りであるかは不明である。「エルサレムには羊の門の傍らに、ヘブライ語で『ベトザダ』と呼ばれる池があり、そこには五つの回廊があった(2節)」。物語の場所はエレサレムのベトザダの池である。なお後代の発掘調査で

    • 「『知られざる神に』と刻まれている祭壇」

      板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  使徒言行録とルカ福音書は同じ作者によって書かれている。福音書はイエスの物語であった。使徒言行録はイエスの弟子たち、そしてパウロの物語である。その中で彼らは、「神の福音」をまずユダヤ人に宣べ伝えた。ついで非ユダヤ人(;異邦人)に伝えていく。15章36節以下、エルサレムの使徒会議でユダヤ人以外への伝道が条件付きで決議され、異邦人へ伝道計画が始動する。  第二回の伝道の旅でバルナバとパウロは、仲違いをして、袂を分かつ。人間同士の諍いによ

      • 「この個所から説き起こして」

        使徒言行録8章26-40節  板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  本日の聖書の箇所はフィリポがエチオピアの高官にキリスト教の伝道をした物語である。8章4~25節を見るとフィリポはサマリアにいたことがわかる。そのフィリポに「主の天使」が「ここをたって南に向かい、エルサレムからガザへ下る道に行け(26節)」と言う。「主の天使」とは何かと問わない。「神の霊」、「聖霊」、「神の言葉」など、どのように表現してもよい。フィリポはそこで「エチオピアの女王カンダケの高官(27節)」に出

        • 「遠くにいるすべての人にも」

          板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ 使徒言行録2章37~42節 聖霊降臨節第3主日 2023.6.11  使徒言行録2章1節に五旬祭の日のペンテコステの出来事が語られる。「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然激しい風が吹いてくるような音が、天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた」。これが聖霊降臨の出来事である。それが実際にどのような出来事なのかはわからない。しかし確かなことがある。この日から「ペトロは11人と共に立って、声を張り上げ、話し始めた(

        「ほかの人が先に降りていくのです」

          「約束された聖霊を御父から受けて」

          三位一体主日礼拝(聖霊降臨節第2主日) 使徒言行録2章29~36節 板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  イースターから40日目にキリスト昇天の出来事があり、50日目の五旬祭の日にペンテコステの出来事が起こった。本日の聖霊降臨節第2主日礼拝は三位一体主日の礼拝である。使徒言行録2章14節するとペトロは11人と共に立って、声を張り上げて、「話し始めた」。ペトロは聖霊の導きに促され、「新しい言葉(マルコ16章17節)」ペンテコステの出来事とは何か?それは「立ち上がった」であ

          「約束された聖霊を御父から受けて」

          「父の約束されたものを待ちなさい」

          使徒言行録1章1~5節 復活節第6主日 2023.5.14 板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  本日より、使徒言行録の学びに入る。その1章1~2節が使徒言行録の序文である。それは「テオフィロさま、私は先に第一巻を著して、イエスが行い、また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて書き記しました」である。ここでルカはこれに先立つ第一巻をテオフィロに献呈したと述べている。この先立つ第一巻とはルカ福音書である。

          「父の約束されたものを待ちなさい」

          「イエスが離れ去って行かれるとき」 

          使徒言行録1章6~11節キリスト昇天日礼拝(復活節第7主日)2023.5.21 板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  本日は、教会暦によれば、キリスト昇天日にあたる。イースターの40日後がこの昇天日となる。なぜ40日後か?それは使徒言行録1章3節「イエスは苦難を受けた後、御自分が生きていることを、数多くの証拠を持って使徒たちに示し、40日にわたって彼らに現れ、神の国について話された」の記載に依っている。「甦りのイエス」は弟子たちに40日間、「神の国について」説教し、彼ら

          「イエスが離れ去って行かれるとき」 

          「聖書を悟らせるために」

          復活節第5主日 2023.5.7 ルカ24章44~53節 板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ 日本基督教団信仰告白はこのように始まる。「我らは信じかつ告白す。旧新約聖書は、神の霊感によりて成り、キリストを証し、福音の真理を示し、教会の拠るべき唯一の正典なり」。  これは何を告白しているか?それは「旧新約聖書が教会の唯一の正典である」と告白している。まず始めに聖書について信仰告白が行われている。「正典」とは何か?それは英語ではCanonであり、その語源は定規(ものさし

          「聖書を悟らせるために」

          「イエス御自身が彼らの真ん中に立ち」

          復活節第3主日 ルカ 24 章 36~43節 板野のメモによる八谷牧師の説教まとめ 「こういうことを話していると、イエスご自身が彼らの真ん中に立ち、『あなたがたに平和があるように』 と言われた (36節)」。 36節以降は、 先週の13~35節の物語の続きである。 二人の弟子がエルサレムからエマオという村に向かっていた。そこに一人の人が近づいてきて、 一緒にエマオに向かった。 一行はタ方にエマオに到着し宿を取った。 そこで二人は一緒にいたその人が 「甦りのイエス」 だと分かっ

          「イエス御自身が彼らの真ん中に立ち」

          「わたしについて来たい者は」

           イエスとは誰か?「イエスが1人で祈っておられたとき、弟子たちは共にいた(18節)」。イエス自らがその弟子たちに尋ねる。「群集は、私のことを何者だと言っているか(18節)」と。「弟子たちは答えた『洗礼者ヨハネ』と言っています。他に『エリヤだ』という人も、『だれか昔の預言者が生き返ったのだ』という人もいます(19節)」。人々は「洗礼者ヨハネの再来」、「旧約の偉大な預言者の再来」、「旧約の預言者の甦り」などといっていた。そこには様々な答えがあった。この「群集はどう言っているのか?

          「わたしについて来たい者は」

          「残ったパン屑を集めると」

          ルカ9章10~17節 板野のメモよる八谷先生の説教のまとめ  イエスは「弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた(6章13節)」。ルカ福音書は紀元80~90年頃に書かれている。それは、マルコ福音書(紀元50~60年代に成立)より一世代後の福音書である。その頃にはすでに教会ができ始めていた。福音書では弟子(;イエスに直接従った者たち)と使徒(;教会の中でリーダーになっていった者)が区別されている。「使徒」は本来教会の中での働きを意味する言葉である。だか

          「残ったパン屑を集めると」

          「新しいブドウ酒は、新しい革袋に」

          板野のメモによる八谷先生の説教のまとめ  本日の聖書箇所は四つの部分から構成されている。33節の「断食について」34~35節の「花婿について」、36節の「新しい服と古い服のたとえ」37~39節の「新しいぶどう酒と古いぶどう酒のたとえの四部分である。まず「断食について」「人々はイエスに言った『ヨハネの弟子たちは度々断食をし、祈りをし、ファリサイ派の弟子たちも同じようにしています。しかしあなたの弟子たちは飲んだり食べたりしています(33節)』人々はイエスの弟子を批判することで、

          「新しいブドウ酒は、新しい革袋に」

          「イエスに手をかけて捕らえた」

           先週より受難節に入っている。マルコ14章43~50節は、イエスがユダに裏切られ、逮捕される物語である。旧約聖書の創世記第3章において、人間は蛇に誘惑され、その誘惑に負けてしまう。神の戒めを破る人間の罪が描かれる。新約聖書において、イエスは40日間にわたるサタンの誘惑を受ける(1章12~13節)。そしてそれを退けて試練に打ち勝つ。人間は蛇の誘惑に負け、イエスはサタンの誘惑に勝つ。 「神の子(神の愛する子)(1章11節)」イエスの生涯は試練・誘惑をもつて始まつている。「神の国は

          「イエスに手をかけて捕らえた」

          「罪人を招くためである」

          マルコ2章13~17節降臨節第9主日2022.2.20  マルコ13節以下は徴税人レビの招きの物語である。この箇所は13~14節と15~17節の2つの伝承部分に分けられる。マタイ福音書9章の平行記事では「徴税人マタイの招き」に変えられている。古代教会ではこのマタイがマタイ福音書の著者と考えられていた。  「イエスは、再び湖のほとりに出て行かれた。群衆が皆そばに集まって来たので、イエスは教えられた(13節)」。物語の場所が設定される。「そして通りがかりに、アルファイの子レビ

          「罪人を招くためである」

          「イエスは起き上がって」

          マルコ4章35~41節降臨節第10主日 2022.2.27  「その日の夕方になって、イエスは『向こう岸に渡ろう』と弟子たちに言われた。そこで、弟子たちは群集を後に残し、イエスを船に乗せたまま漕ぎ出した。ほかの船も一緒であった(35~36節)」。「その日」とは4章1節の「イエスは、再び湖のほとりで教え始められた。おびただしい群集が、そばに集まってきた。そこで、イエスは船に乗つて腰を下ろし、湖の上におられたが、群集は皆、湖畔にいた」の続きの日である。「湖」とはガジラヤ湖(別

          「イエスは起き上がって」

          「神の国の秘密が打ち明けられている」

          マルコ4章1~12節降臨節第8主日 2022.2.13  2022年はマルコ福音書を読んで、イエスの姿を見つめ、「イエスとは誰か?」を問うている。イエスにはいろいろな姿がある。弟子を招くイエス、病人を癒すイエス、悪霊を追い出すイエス、パリサイ人や律法学者を論破するイエスなど様々なイエスの姿がある。  今日の箇所、1節に「イエスは、再び湖のほとりで教え始められた。おびただしい群衆がそばに集まってきた」、2節には「イエスはたとえでいろいろと教えられ、その中で次のように言われた

          「神の国の秘密が打ち明けられている」