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【散文詩小説】時代遅れの寵児シリーズ

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観察眼も文章力も感性もないのですが、とにかく書いてみようと、散文詩と小説の掛け合わせのような作品をひたすらに書いてます。重ねるごとに上手くなって行けたらいいなと思います♪
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#エッセイ

【散文詩小説】時代遅れの寵児⑩伴走

【散文詩小説】時代遅れの寵児⑩伴走

俺の再就職活動における
最大の功労者は、妻だ。

と言っても、当時はまだ
彼女だった。

彼女とは、再就職を始める
少し前から付き合いはじめ
ていたが、その頃から、
転職の意思は伝えていた。

再就職活動が
四ヶ月かかった理由には、
そんな彼女の存在も
影響していたと思う。

彼女のサポートは、
ほぼ、彼女にとっての
自分事になっていた。

提出資料作りから、
就職情報誌の購入に加え、
面接対策ま

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【散文詩小説】時代遅れの寵児③妥協

【散文詩小説】時代遅れの寵児③妥協

1勝6敗…

団塊Jr.が蔓延る受験戦争。
俺は、一年浪人の末に、
なんとか1つ合格通知を
手にれた。

工場の職人の末っ子で、
風呂なしアパートで育った。

そんな家庭に金なんてない。

奨学金で進学した俺は、
4年間バイト三昧の日々。

大学へはほとんど行かず、
代返とコピーで単位を取る。

ギリギリの成績で卒業するといった有様だったが、学業以外の勉強は充実した。

バイト先は、
食べ放題の焼

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【散文詩小説】時代遅れの寵児②過信

【散文詩小説】時代遅れの寵児②過信

「あなたが一番輝いていたのはいつですか?」

もし、そう聞かれたら、
俺は「いつ」
と、答えるだろうか?

7歳上の姉と、
3歳上の兄に続いて、
工場で働く職人の
末っ子として生まれた。

風呂なしアパートの
狭い部屋で家族五人暮らし。

親子で銭湯に通ひ、
兄弟三人、並んで眠る。

一人の時間なんてない。

姉の会話の中で、
兄のペースに併せて暮らす。

いつも身の丈にあってない。

気がつけば

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