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【散文詩小説】時代遅れの寵児⑩伴走

俺の再就職活動における
最大の功労者は、妻だ。

と言っても、当時はまだ
彼女だった。

彼女とは、再就職を始める
少し前から付き合いはじめ
ていたが、その頃から、
転職の意思は伝えていた。

再就職活動が
四ヶ月かかった理由には、
そんな彼女の存在も
影響していたと思う。

彼女のサポートは、
ほぼ、彼女にとっての
自分事になっていた。

提出資料作りから、
就職情報誌の購入に加え、
面接対策まで、
多岐に渡った再就職活動の
パートナーだ。

決まりかけの小さな会社に
気持ちが傾けば、
「ほんとにそれでいいの?」
と問われた。

もちろん、将来の可能性も
踏まえての意見でもあるが、それはそのまま、
自分自信に対する
確認事項でもあっただろう。

後日談となるが、
断りを入れた会社のあった
場所を数年後に通ったら、
既に無くなっていた。

移転した可能性も
十分あるが…。

いずれにせよ、
俺の再就職活動は
二人三脚で進められたと
言っても過言ではない。

「触れ合う」
「分かち合う」
「連れあう」

恋愛や結婚の形は
いろんな形があって
いいと思う。

「夫婦」
「伴侶」
「パートナー」

呼び方や関係も様々だろう。

だとすれば、
俺たちの場合は、

多分、

「伴走者」

ってことなんだろう。

同じ距離、同じペースで、
一歩づつ、一緒に進む。
目指すゴールも、一緒。

こっちが進めば、
あっちも進む。

あっちが止まれば、
こっちも止まる。

どれだけの通過点を過ぎ、
どこへ向かっているかは
定かではないが、
あれから20年以上、
相変わらず
俺たち二人は伴走者で
あり続けている…。

(続く)



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