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【散文詩小説】時代遅れの寵児③妥協

1勝6敗…

団塊Jr.が蔓延る受験戦争。
俺は、一年浪人の末に、
なんとか1つ合格通知を
手にれた。


工場の職人の末っ子で、
風呂なしアパートで育った。

そんな家庭に金なんてない。

奨学金で進学した俺は、
4年間バイト三昧の日々。

大学へはほとんど行かず、
代返とコピーで単位を取る。

ギリギリの成績で卒業するといった有様だったが、学業以外の勉強は充実した。

バイト先は、
食べ放題の焼肉屋で
食事付き。

高校生やフリーターまで、
多民族な若者が集う場所が、
俺の生活拠点になっていた。

サークルに通う感覚で、
バイトに通う。

酒、タバコ、夜遊び、恋愛…
ひと通りの青春を謳歌した。


金の価値を知らない若造が、
ほぼ毎日バイトして、
必要以上に稼いだ金は、
名実ともにドブに捨てるように、使っては、消えて行く。

謳歌した青春の代償として、
奨学金という、
借金だけが残った…。

丁度、時を同じくして、
散々調子に乗っていた
日本経済は、
バブルが弾けた。

弾けて、消えた。

まるで、
俺のバイト代のように…。

(続く)


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