群馬県太田市「古民家カレー屋 竹内商店」
~孤独から解放された加藤さんの場合~
古民家カレー屋「竹内商店」は、群馬県太田市。
東武鉄道太田駅の駅前にあり
駅伝ルート沿いで正月は大盛り上がりのエリアだ。
お店を営む加藤さんに話を聞いた。
お店の特徴、アピールポイント
長年空き家になっていた祖父母の営んでいた元タバコ屋「竹内商店」。
商店街の外灯にある看板も、お店の雰囲気も残したくてこの屋号を使っています。
カウンター2席とテーブル4席、小上がりに2席。8名が定員です。
駅近のわりに、こじんまりしてるのが隠れ家っぽくていいかなと。
お店をはじめるにあたって、現代風にアレンジしてもらいました。
出店の経緯
加藤さんは学生時代までは群馬にいたが、その後は埼玉で働き1人暮らしをしていた。託児所などの転職経験を繰り返す中で、年を重ねるごとに父も祖父母も亡くなった。仕事に打ち込む日々の中で燃え尽きてしまい、退職。その直後に母を失ったのがキッカケで群馬に戻ってくることに。家族から残された”店舗兼住居”に移り住んだ。
”雇用されて働くのは難しい”と考えていたところ
同じ群馬県のシェアハウス兼オープンスペース「たむろ荘」を知って現地へ赴き、理念や活動に非常に衝撃を受けた。
”しょぼい起業”のことも知って本に目を通し、各地の店舗へ実際に足を運んだ。その中で兵庫県川西市にあるお店「カレーのケプリ」にも来店し、久木田よりカレー屋の開業を勧められた。
加藤さんはこれまでに見てきたさまざまなスペースや”しょぼい起業”の店舗を実際に見て、「これなら自分にもできるかもしれない」というイメージを少しずつもち、2階建て住居の2階に住みながら1階でカレー屋を開業することに決めた。2019年8月、加藤さんが27歳のときだった。
古くできる範囲でお金をかけずに手作りの内装を準備した。機材も高価な業務用を使わずほとんど身の回りの家庭用のものを使う。はじめからカンペキな店づくりではなく、とりあえず最低限の骨組みから始めて開業する。その上に毎日コツコツと少しずつ改善を積み重ねていく、というスタイルをとった。そのコツコツが積み重なった2021年、加藤さんの”しょぼい起業”はこの度2年目を迎えた。
カレーを注ぐ加藤さん。壁や天井などはさすがに自分ではできなかったので知人を頼り業者に依頼してきれいにしてもらった。
開業後に気づいたこと
いろんなことがあって疲れていましたが、お客さんとの関係に救われています。群馬に帰ったときはひとりぼっちだったのですが、竹内商店のおかげで新しい人とのつながりができています。わたしはもくもくと日々カレーを作り、それを食べに来てくれる人がいる。駅前の風景の一部として自分の店がある事のありがたさを感じます。
2種類のルウのあいがけカレー
印象的なお客さんは?
お店にはご近所さん、親戚、一見さん…いろんな人が食べに来てくれています。中でもご近所に住む60代の女性とは地域活動で知り合ったのですが、祖父母とも交流があったようで親しくしてくれています。「カレー屋(竹内商店)のおかげで、自身の病気が快方に向かっている」と言って下さって毎週来てくれています。本当にやってみてよかったなあって…そういった言葉って、本当に励みになります。
お店の取り組み
昨年に『地方×LGBT×若者inぐんま』というイベントを開催しました。
地方に住むLGBTの若者に向けたものを想定していましたが、東京からもいろんな方が来られて様々なつながりができたのでとてもいい機会になりました。このように自分の店だと自分の興味関心のある内容でイベントを開くことができるのが魅力一つです。訪れてくれた人にカレーでも食べてもらえればより嬉しいですね。コロナが落ち着いたら今後もイベントを企画していこうと思います。
また、このごろ近くにある大型商業施設の地元の商品を扱うコーナーでカレーのお弁当を出しはじめました。もちろん売れたらその金額からいくらか引かれてしまうので利益率は低いですが、出品の手数料が無料なのもあって、少量ずつ気楽に継続できていて、お店のことを知って頂くいい機会になっています。
地域の広場へテイクアウトのカレーも納品する
加藤さんとお話していると数々のご友人が出てくる。
「あ、じゃあそれはさっき仰られてたご友人と同じ方ですか?」と聞くと
「いえ、さっきのとはまた違う友人で…」と、いろんな友人や知人の力を借りながらお店の運営を行っている様子が伺えた。
友人が作ってくれたロゴ
友人が贈ってくれたケーキ
友人が作ってくれたチラシ
見せていただいたチラシ、写真、エピソード、内装…一歩ずつ懸命に努力する加藤さんがいる限り、竹内商店の灯は消えない。
取材・編集:はじはたあつこ
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●書籍『しょぼい起業で生きていく』
●書籍『しょぼい起業で生きていく 持続発展編』
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