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旅と歴史

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歴史(古代史が中心ですがそれ以外も)に関係した旅の記事を写真入りで書いています。
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2020年1月の記事一覧

菟田野と阿騎野

菟田野と阿騎野

 奈良の宇陀市にある菟田野。吉野から伊勢に向かう経路の一つである。「ウダ」と「ウタ」は同じ語源と考えていいだろう。今回は(2016年6月)菟田野にある入谷(にゅうだに)が主な目的地。「にゅう」は「丹生」に通じる。実際,ここには「丹生神社」がある。「丹生」といえば,吉野に丹生川上神社がある。上社,中社,下社の3つがあり,水神を祀っている。菟田野にも水神を祀る宇太水分神社がある。

 近鉄榛原駅前から

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日本武尊の伊吹山に登る

日本武尊の伊吹山に登る

 日本武尊が荒ぶる神を退治しに行ったという伊吹山に登る。とはいっても,バスで頂上付近まで行く,お気楽登山。
 出発はJR関ヶ原駅。ここから伊吹山ドライブウェイで約50分。ドライブウェイはこのように山肌を走る。

 到着。右に見えるのがスカイテラス伊吹山。ここから山頂までは徒歩。ドライブウェイの料金所に書かれていた,山頂の気温は24度。下界より10度低い。

 上に登る前に,ちょっと早いけど昼食。(

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福寿草が群生する姫川源流へ

福寿草が群生する姫川源流へ

 糸魚川ー静岡構造線に沿って,白馬から糸魚川まで流れる姫川。姫川の名の由来は,オオクニヌシが出雲から求婚に来た沼河比売(古事記)であるという。JR大糸線もこの川にほぼ沿いながら糸魚川まで行く。下流にはヒスイの産地があり,長者原遺跡(糸魚川)など,縄文時代の遺跡からこのヒスイで作った勾玉が出土している。

 2016年4月,姫川源流を目指した。
長野駅から白馬行きのバスに乗り,サンサンパーク白馬で下

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千国街道・塩の道を白馬から南小谷まで

千国街道・塩の道を白馬から南小谷まで

 千国街道(ちくにかいどう)は、長野県松本市から新潟県糸魚川市に至る街道である。また,ここは塩の道として、古代から利用されてきた道でもある。
白馬から南小谷まで約10kmを自転車で走った。

 白馬八方を出て,148号線よりひとつ中に入った道を行くと,平川神社があった。

 祭神の誉田別尊は応神天皇,息長足比売令はその母の神功皇后である。応神天皇を祀った神社の多くは八幡神社。ここも鳥居の扁額には「

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乙巳の変前夜:談山神社を訪れる

乙巳の変前夜:談山神社を訪れる

 中大兄皇子と中臣鎌足が,蘇我入鹿の暗殺について相談をした,といわれる多武峰(とうのみね)にあるのが談山神社。

 近鉄の「奈良世界遺産フリーきっぷ 奈良・斑鳩・吉野コース」を利用して,名古屋から近鉄で奈良へ向かった。2016年5月のことである。

 大和八木駅で下車。ガード下のルーシーで昼食をとる。

談山神社には桜井駅からバスで行くのだが,電車で戻るには時間が中途半端なので桜井駅まで自転車で走

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因幡の白うさぎの地は恋人の聖地になっていた

因幡の白うさぎの地は恋人の聖地になっていた

 2014年7月,出雲に行く前に鳥取の白兎海岸を訪れた。「因幡の白兎」の地である。
 山陰本線末恒で下車。ここは無人駅。そのまま出ると南側だけど、跨線橋をわたって北側へ。国道9号線を西進。ほどなく白兎海岸に到着。

オオクニヌシとうさぎの石像。向こうに見えるのが白兎神社の鳥居。

「恋人の聖地」となっている。白兎神社の祭神は白兎神。保食神,豊玉姫命を合祀している。大国主命と八上姫との縁を取り持った

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草薙剣の行方:熱田神宮と氷上姉子神社

草薙剣の行方:熱田神宮と氷上姉子神社

 八岐大蛇の尾から出てきた草薙剣は,天照大神に献上され,その後伊勢神宮の倭比売からヤマトタケルの手に渡って,最後は熱田神宮に祀られたことになっている。
 草薙剣は3種の神器の一つ。源平の合戦で壇ノ浦に沈んだのは形代(かたしろ:レプリカ)で,現在宮中にあるのも形代とされる。
 熱田神宮の草薙剣は誰も見たことがなく,当然宝物館に展示されたりはしていないのだが,ともかく熱田神宮には行ってみたい。

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この世とあの世の境 黄泉の比良坂

この世とあの世の境 黄泉の比良坂

 奥出雲の鉄穴流しあとの棚田を眺めに行った前日,黄泉の比良坂と,いくつかの神社を巡ってきた。
 黄泉の比良坂,ここが一番の目的地である。この世とあの世の境目。伊邪那岐命が黄泉国から還るとき,追ってくる悪霊邪鬼を桃で撃退した坂。また,須佐之男命が大巳貴命に試練を課し,最後に大国主神の名を与えて国造りを託した坂でもある。

 出発は、松江から2駅鳥取側の揖屋駅。駅の近くに揖屋神社がある。祭神は伊弉冉命

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奥出雲鉄穴流しあとの棚田を眺める

奥出雲鉄穴流しあとの棚田を眺める

 2014年の6月に折畳み自転車を買った。旅行用である。よくある折畳み自転車の16インチより一回り小さい14インチで,重さも8.5kgとおよそ半分だ。
 7月,この自転車をかついで,鳥取経由で島根へ。前回探しきれなかった,追谷集落の棚田の展望台に行くためだ。
 前回見ていたのは,山陰中央日報の記事。たたら製鉄の原料となる砂鉄を採掘したあと,そこを棚田にすることによって山が荒れないようにした。古代に

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出雲,素盞嗚尊と奇稲田姫ゆかりの神社を巡る

出雲,素盞嗚尊と奇稲田姫ゆかりの神社を巡る

 2013年11月,初めて出雲を訪れて3ヶ月後,こんどは松江でレンタカーを借りて,八重垣神社,熊野大社,須我神社を経て再び奥出雲を訪れた。

 まず八重垣神社。稲田姫を祀る神社で,縁結びで有名。

境内に「夫婦椿」というのが3本ある。

拝殿。8時半ころなので、まだ掃除中。

末社 脚摩乳神社。稲田姫の父ですな。祭神が脚摩乳命と誉田別命。なぜ誉田別? 誉田別って、応神天皇ですよ。不思議に思って、掃

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出雲大社2拝4拍の謎

出雲大社2拝4拍の謎

 下鴨神社へ行く2週間前に出雲大社に行っていた。だからこそ,下鴨神社の言社で「え?ここは出雲か?」と思ったのだろう。
 出雲大社,古代史に興味を持ってから,一度は行きたいと思っていたところである。私にとっては,いまさら縁結びはどうでもよいので(実際にはその後娘の縁結びのお願いに行くことになるのだが),神話の舞台を見るための旅であった。
 鳥取経由で島根に行き,松江に泊まり,翌日,松江しんじ湖温泉駅

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下鴨神社の謎

下鴨神社の謎

 京都賀茂御祖神社,通称下鴨神社。京都人でなくてもその名は知っている,屈指の「名所」である。
 一度は行ってみたいと思っていた下鴨神社に行ったのは,2013年のことだった。京都大学で行われた研究会の帰り,糺ノ森に入った。

 有名な神社ということ以外に予備知識はほとんどなかった。
 参道をずっと歩いていくと,「下鴨神社の七不思議」という案内板があった。

 カラスのナワテ。祭神賀茂建角身命はヤタカ

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