眠りにつくまで
秋口はいつも体調を崩す。
明日が休みで良かった。
今週も頑張った。
お仕事お疲れさま、私。
昔からあまり身体は強くなかった。
弱いってほどでもなかったけれど。
それでも、布団の中で過ごす時間は、周りの子に比べたら少し多かったかもしれない。
布団は安心する一方、眠りに落ちていくのが怖い時がある。
最近は投薬でだいぶ安定してきたけれど、睡眠におちる瞬間、どこまでも自分が底なしの夜に落ち続けてしまう感覚に目を覚ます。
このまま落ち続けてはダメだ、そういった焦りの感覚が、眠ろうとした自分を何度も叩き起こしてしまう。
しんとした深夜。
汗だくで眠りから跳ね起きることの繰り返し。
軽く咳をしながら、ベッドの縁に腰をかけて座る。
顔を両手で覆い、深くため息を吐くと、自然と涙が溢れた。
こんな夜は嫌いだ。
こんな夜は辛い。
常に何かに追われているような焦燥感。
グズグズとした気持ち。
ゆっくり寝たいのに。
でも大丈夫だ。
明日は休みなのだから、眠れるときにゆっくり寝たらいい。
今度は少し強めの薬を飲んで、静かにもう一度布団の中に入る。
自分に何度も空っぽの『大丈夫』を言い聞かせる。
一回眠れば今の焦燥感ともさよならできるのはわかっている。
大きく深呼吸をし、静かに細く息を吐いていく。
大丈夫、大丈夫。
身体を横にしているだけでも体力は回復するのだし、無理に寝なくても大丈夫。
このまま、ゆっくり眠りに落ちよう。
このまま、朝になったとしても大丈夫。 明日はお休みなんだから。
もう一度ゆっくり深呼吸すると、にわかに瞼が重く感じてきた。 ずっと落ち続けていた夜の底には蓋がされ、その下以上に落ちる気もしない。
ようやく眠れる。
次の瞬間に訪れる朝に期待しながら、私は今日も夜に落ちていく。
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