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HRBPを語る 【前編 – 出会い、そして】

起業 - 株式会社EpoChを設立して早一ヶ月が経ちました。

当社のコアサービスである「組織戦略・人事戦略アドバイザリー」と「エグゼクティブコーチング / パーソナルパートナリング」を通して、現在、経営者・組織リーダー・起業家・幹部候補の方々に、それぞれの組織と人事課題に向き合いソリューション提供をさせていただく中で、「戦略人事組織体制への変革」「HRBPの新構築」「次世代HRリーダーに対するメンタリング」を追加でご相談やご依頼してくださることがあります。
 
今回は2週にわたり、日系企業でも近年増えている「戦略人事」の一機能とも言える「HRBP(人事ビジネスパートナー)」について解説いたします。

今号では、導入として以下の2つのテーマに触れていきます。
そのうえで次号では、具体的施策事例と必要要件にも触れていく予定です。

HRBPとの出会い


私は、日本ではHRBPの概念がまだ一般普及していなかった2008年にドイツ系製薬会社にてHRBPの役割を担い始めました。日本でHRBPが普及していく初期のきっかけは、製薬会社を中心に幾つかの外資系企業で新設されていったこのタイミングだと、後に複数の方々から伺いました。
 
HRBPの役割を担い始めたきっかけは、Talent Acquisitionとして2年半の経験を積んでいたタイミングで、当時の人事本部長が、HRBPという機能を人事本部に新設することを発表したことです。皆が「それって何?」状態だったことを覚えております。

人事本部長の意図を何度か聞いていくうちに、未知のこと・新しいことに挑戦できるチャンスだと思い、自ら手を挙げました。

私はビジネスサイドであるCommercial部門のHRBPを担いたい気持ちが強く、マーケティング本部と事業企画本部のHRBPとしてミッションを持つことを希望し、その機会を得ることができました。ここでHRBPとして歩み始めたことが、その後のキャリアの礎になったとも言えます。

以降の外資系企業3社に関しては、自ら転職活動は主体的に行っておらず、全てリテーナーサーチと呼ばれるヘッドハント型でのご提案からの熟考したうえでの転職です。その3社のうち、後半の2社では、30代半ば過ぎからの計7年間、日本法人HRトップの責任を担う機会にも繋がりました。それは、HRBPを深く経験できたからこそだと自信もって言えます。

マーケットスタンダード的に早いタイミングでHRBPが存在する環境に身を置けたことは、その後のチャンスを掴む転機として非常に幸運なことでした。

今回は、その様なバックグラウンドを持つ私自身の経験や知見をベースに、HRBP経験をお持ちでない方や目指している方の頭に入りやすくなるよう、実例ケースも交えながらの解説にしたいと思います。

業界・組織規模・日系/外資・経営スタンス・企業カルチャー・会社の中でのHRの立ち位置等によって「期待されるHRBP像」は多様かもしれません。よって、私の経験や知見も「一つのサンプル」程度に見ていただければ良いと思います。サンプルが多ければ多いほど選択肢の幅は広がりますので、今回の記事や次号での具体事例を通して、HRBPに対する理解を深めていただく機会や関心を持っていただくきっかけになれば嬉しいです。


HRBPとは?


「HRBP」とは、「Human Resource Business Partner」の略称で、そのまま日本語に訳すと「人事ビジネスパートナー」です。各企業でのニーズ・組織成熟度/規模感・HR組織体制等により当然異なってはきますが、一般的に「HRBP」は、経営者目線での人事を行う役割・機能として、経営者や各事業責任者の戦略的パートナーと言えるでしょう。更には、従業員目線での従業員のチャンピオンを担う場合もあったりします。

つまり、HRBPは、経営者目線で人事関連業務の遂行をして、経営戦略や事業戦略の実現に向けて戦略的に人事施策を導入し実施します。
「従業員のチャンピオン」とは、分かりやすく言えば、従業員の声を経営側・事業責任者側に反映する橋渡しの役割を期待されております。

そのためには、オペレーショナルに受け身的に人事業務を行うのではなく、世の中目線と組織全体の視点から能動的な人事活動を行う必要があります。

@Unsplash


従来、日本の人事活動は、給与関連実務や福利厚生の導入・管理、事業活動と業務遂行のための人の採用や会社の規則の整備・管理、労務的な管理がその中心になっておりました。ただ、それらに加えて、一例として以下のような視点が私の経験上、HRとして重要だと考えております。

「社員視点」では、働きがいある職場環境と役割が用意され、キャリア実現を導く制度や施策
「事業責任者視点」では、事業目標を達成するための外部人財獲得、社員活躍のための社内人財育成・登用、そしてそれに連動した評価制度や仕組み
「経営視点」では、不確実な中でアジャイルに経営・事業の判断と決断ができるための組織編制と人財配置・将来の後継者特定
「同業界内視点」では、競合優位性を明確にして競合他社との競争に勝つための企業価値向上
「世の中視点」では、Purpose実現とサステイナブルに世界・地球規模で貢献できるようなイノベーションや変革を可能とする人財発掘 と獲得

つまり、「人財こそが競争優位を築く礎」だという思考が浸透し始めようとしているのです。

もともと戦略人事・HRBPの考え方や導入は欧米を中心に普及していました。ただ、上記のような多角的視点や、Covid-19に代表される未曽有の危機や不確実な世の中を誰もが意図せずにも経験せざるを得なかった環境によって、近年、改善改革を推進していこうとする日本組織においても導入されることが増えてきており、HRBPの認知度も自ずと高まってきたと言えるでしょう。

このように、人事機能に、急激な状況の変化に対応できるスピードと柔軟性が求められるようになった背景からも、HRBPは人事という枠内に留まらず、経営視点でも必要不可欠な役割の一つになってきたのです。

次回「HRBPを語る【後編】」では更に踏み込んで、「HRBPのミッションと推進アクションの実例ケース」「HRBPに求められる要件と成功要因」について詳細な解説をいたします。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
次号【後編】も是非覗きにきてください!

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人事の仕事

外資系17年(HRトップ 7年)とプライム市場上場企業 Global CHRO(最高人事責任者)経験の私が「誰もが独自性を強みとして持ち、新しい無限の可能性を秘めている」を自身のコーチング哲学に、2023年3月 起業をしました。サポートくださる方々と一緒に日本を元気にしたいです!