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旅行 | 未知の世界への探求が刺激・創造するビジネス観

「旅行」という体験は、日常生活や仕事でのルーティーンもしくはプレッシャーから心身ともに離れる機会を創ってくれて、リフレッシュや非日常の時間と空間を私たちに与えてくれます。

それだけにとどまらず、旅先での新しい文化や習慣を五感で感じ、異なる考え方や価値観にダイレクトに触れることで、自分自身の視野が広がるだけではなく、今までの固定概念・価値観をunlock(解放)することさえもあります。

今回のnoteは、私自身の経験を交えながら、「旅行」から得られる「価値観」、そしてそれが「キャリア」と「ビジネス」にどのような好影響を与えているか、以下をテーマにじっくり語りたいと思います。

旅行 | 価値観 | キャリア | ビジネス |

私自身、20年以上にわたるグローバル環境でのビジネスキャリアの中で、「旅行」が私のキャリア形成に与えた影響は計り知れません。さらには、旅行を通じて体感して得た経験や知見は、大きなギフト(財産)となり、私の「価値観」を醸成し、「ビジネス」における考え方・行動、時には決断に大きな影響を与え続けています。
 
つまり、旅行を単なる娯楽や趣味の領域だけにとどめているとしたら、それは自身の視野を自ら狭くしている機会ロスにつながっていると言えるかもしれません。
 
今回のnote記事では、私が「旅行」を通じて得たこと・学んだこと、またそれにより醸成された「価値観」「キャリア」「ビジネス」に生きた経験について、「Challenge | 挑戦」 「Practices | 場数」 「Experience | 体験」 「Future | これから」 という4つのフェーズを軸に、様々なエピソードを交えて紹介していきます。また、旅行が自分自身やビジネスに与えるメリットについても触れたいと思います。
 
「キャリア」「ビジネス」をより成果的に、かつ充実したものにするために、「旅行」とそこから得られる「価値観」という視点から、新しい切り口でアプローチしていきます。
 
 


1.   Challenge | 挑戦

私が初めて海外を訪れたのは20歳の時。
大学3年生の夏でした。
 
18歳になるタイミングで、金銭面での自立を母親に告げたうえで大学入試に臨んだ私は、大学の入学金や半期ごとの授業料、そして日々の生活費を自身のアルバイトで賄う決断をしました。自身で支払うからこそ、どんなに深夜にアルバイトの時間が及んでも、必ず毎日の授業やゼミには出席をするという、ある種の「オーナーシップ」の好循環も生まれました。
 
プライベートにおいては 「20歳で初めてのひとり海外」という目標を定めて、その資金を賄うために、大学生活とアルバイトの両立の日々はより一層多忙を極めるものになりました。
 
無事に海外渡航の資金の目途もつき、大学3年生の夏季休暇を1か月利用しての初の海外渡航先は「米国カルフォルニア州 サンディエゴ」に決めました。その理由は「直観」だけです。
当時、ある風景写真集で、サンディエゴの「ラホヤ」というエリアの海の光景に心を奪われた – それがきっかけです。
 
スペイン語で「宝石」という意味の「La Jolla(ラホヤ)」の名の通り、大きな夕陽がラホヤの海にまるでボトンと落ちるかのような一瞬をとらえた写真に完全に心奪われた私は、その光景を直接この目で見たいと強く思ったのです。
 
1か月の初の異国の地での滞在で、出会い、失敗、少し危険な目に遭遇など、数多くの経験ができました。
 
当初思い描いていたサンディエゴの風光明媚な海岸線の光景のみならず、ビジネス街に近いダウンタウンエリア沿いのベイエリア、太平洋艦隊の主要な母港としてのNavy(海軍)の町ならではの港など、サンディエゴの一つの都市が表す「海」の光景があまりにも「多様性に富んでいる」ことにも興味が惹かれました。併せて、メキシコ国境沿いの都市という特性上、「異文化と多様性が交わる」都市の風土にも大きな関心を抱きました。
 
■    その様な多様性ある環境と風土に初めて触れることで、「枠にとらわれず、グローバルな視点を持つ」こと。
■    ひとりが故、日々の生活に必要となる現地の初めて出会う方々とのコミュニケーションを通じての「異なる言語で異なる価値観・文化の方々とのコミュニケーションを円滑にする」こと。
■    今までに見たことも体験したこともないことに日々出くわし、一人で対処することで、「創造性を刺激する」ことと「リスクに備える」こと。
 
これらは、初の海外を旅するという体験がもたらした「ビジネスにおいて生かせる」、後々の私の大きな強みになりました
 
1か月の一人での初海外  –  サンディエゴでの経験は、それまで、地元香川県を中心とした枠の中で閉じこもっていた私の心と行動を大きく変えていくきっかけになったことは間違いありません。
なぜなら、「自らオーナーシップと責任を取る」「挑戦する」という、行動にまで自ずとあらわれ出した「新たな価値観」を私にもたらしてくれたからです。
 
それから7年後の27歳  -  私は大きな「挑戦」に出ます。
新卒で入社し、約5年半の期間を勤めた会社の退職を決断しました。
 
理由は、まだ見ぬアメリカの内陸部をしっかり自分の目で見ておきたい。それだけが理由でした。
当時、営業職に就いていた私は、毎月の営業成績で西日本全体のトップに何度も立つことはできておりましたが、個人の成果に心の充足感は満たされず、もっと広い世界をこの目で見ておきたいという気持ちが何よりも勝ったタイミングでした。
 
2001年7月の退職後、次の仕事は一切決めず、8~9月の約2か月間、「アムトラック」というアメリカ大陸横断・縦断鉄道、「グレインハウンド」というアメリカの各都市を結ぶバス、そして「レンタカー」という3つの交通手段でアメリカを横断・縦断しました。
 
その日に向かう町とルートは事前に綿密に調べて決める「慎重さ」を持ちつつ、町に入り直接歩いてその日の宿泊先を決める「大胆さ」の共存  –  これも、私のその後の「キャリア」と「ビジネス」における判断の仕方に大きく影響を与え続けている「価値観・特性」です。
 
ちなみに、アムトラックの到着時間が大幅にずれ、深夜に到着した「テキサス州 サンアントニオ」と「テキサス州 エルパソ」では、アムトラック駅構内で、バックパックを枕にしてベンチで一夜を明かしたりもしました(駅員さんに駅から追い出された都市もありました。。。)。
 
特に今でも印象に残っている都市・場所は、「アリゾナ州 モニュメントバレー」、「ニューメキシコ州 サンタフェ」、「ルイジアナ州 ニューオリンズ」です。特に、モニュメントバレーは心に残るものがあります。車で30分強の距離の「カイエンタ」という町のモーテルを見つけて数泊宿泊し、時間を選んでモニュメントバレーまで車を走らせ、真っ赤に燃えるような夕刻のサンセット、そして真っ暗な中から紫色~水色と変色していく早朝のサンライズの神秘的な光景を連日見ることができたことは一生の思い出です。
 
これも忘れもしませんが、2001年9月と言えば「9.11」。
旅の資金が尽きはじめようとしていたこの時期、私は「カリフォルニア州 サンフランシスコ」にいました。
 
この27歳での2か月の大きな経験と試練は、「挑戦」「リスクを取るからこそ得られるチャンスと見える視界がある」という、その後の「キャリア」と「ビジネス」に大きな影響を与えることになる価値観を私に醸成することになりました。
 
まずの一歩として、アメリカ旅行(というより「放浪?」)からの帰国後は、人生で初めて「東京」に出る機会を模索し、私の17年間の「外資系企業」への挑戦につながり、その後の「キャリア」の道筋に多大な影響を与えることになったのです。

モニュメントバレー | サンセットを眺める



2.   Practices | 場数

2002年4月  –  「人生初の東京生活」と「外資系企業でのキャリア」が同時にスタートしました。
ここから、私の海外旅行は、「場数」を重視するフェーズに入ります。
 
どういうことかというと、「行きたい場所に行きたい時にとりあえず行く!」というスタンスです。
ちょうど「ハッピーマンデー」という、祝日を月曜日に動かして3連休にする動きが出始めて、年間での3連休の頻度が増えた、旅行の契機となるタイミングでした。
その3連休で2泊3日のアジア各国旅行や、外資系ならではですが、旅行費が超格安になるタイミングで10日ほど有給休暇を取得して2週間の連休にして遠出をすることが、私の毎年のお決まりになりました。
 
私の中で海外旅行が最多頻度となった年は2013年でした。
その前年に、英系企業の日本法人HR(人事)責任者になった私は、2013年に計12回の海外訪問をしております。ハッピーマンデーの3連休はことごとく、台湾・香港・マカオ・中国本土・シンガポールとアジア旅行に行きました。
ちなみに、台湾は過去20回以上訪れており、台北市内は基本地図要らずの手ぶらで歩きます。
 
上京して外資系企業のキャリアがスタートした2002年以降、少しでも可能性があるタイミングは全て逃さず瞬時に旅行に対してのアクションを取り、「場数」をどんどん踏むことで、「アジリティ(瞬発力や俊敏性)」、「自律性」、「柔軟性」、「適応力」、「決断力」 といった外資系のビジネスではクリティカルに必須となる志向性と行動特性を自ずと身に付けていくことにつながりました。
 
旅行先で体験する多様性ある文化や価値観のみならず、旅行を決行するという行動自体そのものも、グローバル環境での「ビジネス」シーンで生かされていったことは、私のビジネスパーソンとしての大きな糧になるだけではなく、人生の舵取りにも大きな影響を与えたといっても過言ではありません
 
Practice makes perfect. | 継続は力なり。
と言いますが、20代後半~30代後半のこの期間に「practiceという場数」を躊躇せず踏んでいくことで、キャリアオーナーシップ(自律的キャリアを持つマインドセット)醸成と、グローバルビジネスマインドセットの醸成、双方が伴う結果につながりました。

宿泊先から | 早朝の台北市内



3.   Experience | 体験

「場数」を重視し、ビジネスマインドセットに大きな影響を与えたこのタイミングでの私の旅行の価値観は、徐々に「体験」のフェーズへとシフトしていきます。
 
実は、第2章で語った「場数」の価値観のフェーズでは、3連休でのアジア訪問のみならず、2010年~2016年の7年間は毎年、海外での「年越しの瞬間」も経験しました。
アメリカの各地や欧州、南半球など様々な「年末年始の地元の過ごし方」を見て、実際に一緒になって体験する機会をつくりました。
これはまさに、第2フェーズ「場数」と第3フェーズ「体験」のハイブリッドなスタイルでもありました。
 
そのスタイルが次のフェーズへと完全にシフトしたきっかけは、2017年春に愛犬2匹を我が家に迎え入れたことです。私たちは、愛犬たちとの時間を優先し、海外への訪問はピタッとやめました。
そこからが、第3のフェーズ、「Experience | 体験」 の始まりです。
 
また、2020年春からは、世界的なパンデミックの影響下で、旅行のスタイルのみならず、日常生活や働き方のスタイルも一変することになったこと、そして、それにより、「ビジネス」に及ぼした影響、人によっては「キャリア」や「人生観」に及ぼした影響を、私たちは記憶に留めておかないといけません。
 
様々な経験や環境の変化も経て、第3のフェーズの象徴となる現在地での私たちの旅行のスタイルは「ステイする場でのExperience(体験)を重視すること」です。
 
ドイツを代表する文豪ゲーテ(1749-1832)は、「人が旅をするのは、到着するためではなく、旅をするためである」という名言を残しております。
 
確かに「到着するため」だけではないと私も思うところがあります。
旅行の計画と準備段階、旅先の道中、旅先  –  それら旅のそれぞれの工程で得られる新しい情報・新しい体験・新しい価値観に加えて、旅先での新たな人たちとの出会いと見たこともない風景を目の当たりにすることで、創造力は掻き立てられ、豊かな生き方を導いてくれることが多いことでしょう。
 
それ故に、コロナ禍の旅行における移動と旅行先での外出の制限範囲がフェーズごとに変化していく外的要因もある中で、それぞれの旅行での「限られた中での体験」をより一層豊かにするために、「未知なるステイ先」「ココロが豊かになるステイ先」「独り占めにしたいステイ先」を初めて意識するようになりました。
 
<愛犬たちと過ごせる、小鳥のさえずりがBGMの大自然の中のヴィラ>
<歴史的エリアで、静寂な広大な森の中の別世界に誘うサンクチュアリ>
<海辺のプライベート空間と豊かな食事を独占できるオーベルジュ>
<東京のパノラマな絶景を望む、心身リトリートできる天空ホテル> etc.
 
海外旅行機会が一時的に無くなることでコストセービングができること、旅行の制限範囲の縛りがあったこと、旅先での外出の心理的バリアがあったことなど、諸々の要因が働き、年に一度か二度だけは国内で「豊かなステイ先」で過ごすことがこの数年間の「価値観」になりました。
 
日常では決して得ることができない安らぎと空間
どっぷりと自然に身を委ねて心身共に浸れる空間
多様なモノの見方で新たな探求と発見ができる空間
 
それぞれの空間で得られる「体験」から、研ぎ澄まされる様な感覚を得て、「価値観」にも影響を与える  –  それが私たちの第3のフェーズでの「ステイ先でのExperience | 体験」なのです。
 
それらの「体験」から得られる「価値観」は、「ビジネス」にも多大な影響を与えてくれました。

この「体験」重視の旅行のフェーズは、私自身の外資系企業 日本法人でのHR責任者と日系上場企業でのCHRO(最高人事責任者)の「キャリア」と「ビジネス」フェーズとも重なり、「CX(Candidate Experience)|候補者体験」 と 「EX(Employee Experience)| 従業員体験」 という私の「ビジネス」における大事な「価値観」に大いに生かされました。
 
自身がステイ先の「体験」で得られる感覚に近いことを、
・この会社を働く場の可能性のひとつとして選択してくださった候補者の方々に、選考プロセスというジャーニーを通した体験を経て、何らかの介在価値を提供差し上げたい
・従業員の方々に、入社から退職までのエンプロイーのジャーニーを通して、今までの会社の風土や慣習とは違ったことや新しいことを提供差し上げたい
 
その様な価値観と想いが、「ビジネス」の中で色濃く表れたと思います。

アマン京都 敷地内 | 静寂な緑の中を散策



4.   Future | これから

そして、2023年3月。
世の中は、コロナ禍から、遂に次のステージに前進。
私自身は、会社員人生から、起業家のステージに前進。
 
これからは、「未知の第4のフェーズ」。
このフェーズでの「旅行」は、私にいかなる「価値観」をもたらし、起業家として、そして、お客様の伴走者として、これからの「ビジネス」にどのような好影響をもたらしてくれるのでしょうか。
 
楽しみでしかありません。


#COMEMO
#ビジネスに効く旅行

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人事の仕事

外資系17年(HRトップ 7年)とプライム市場上場企業 Global CHRO(最高人事責任者)経験の私が「誰もが独自性を強みとして持ち、新しい無限の可能性を秘めている」を自身のコーチング哲学に、2023年3月 起業をしました。サポートくださる方々と一緒に日本を元気にしたいです!